管理栄養士の過去問
第36回
午前の部 問11

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問題

第36回 管理栄養士国家試験 午前の部 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

高齢者の健康および骨・関節疾患に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • 健康日本21(第二次)の目標設定においては、高齢者のBMI 20.0kg/m2以下を「低栄養傾向」としている。
  • 健康日本21(第二次)の目標では、ロコモティブシンドロームを認知している国民の割合を増加させることとしている。
  • ロコモティブシンドロームは、運動器の障害が原因で要介護になるリスクの高い状態のことである。
  • 骨粗鬆症の予防には、やせの防止が重要である。
  • 変形性膝関節症は、男性に多い疾患である。

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この過去問の解説 (4件)

01

誤っているものは【5】です。

1.

健康日本21(第二次)の基本的な方向、および目標について、もう一度復習をしましょう。健康日本21は、2013~2022年の健康プランであり、基本的な方向について、5つが示されました。

 ①健康寿命の延伸と健康格差の縮小

 ②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底

 ③社会生活を営むために必要な機能の維持および向上

 ④健康を支え、守るための社会環境の整備

 ⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善

2.

健康日本21の「③社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標(12項目)」のなかに、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を認知している国民の割合の増加とあります。

3.

ロコモティブシンドロームは、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。要介護となる原因の約2割は運動器の障害であり、女性においては約3割にものぼっており、ロコモティブシンドロームの予防や改善には、日頃からの運動が重要となっています。

4.

骨粗鬆症とは、骨量の減少や骨質の崩壊を特徴とする骨疾患です。骨の脆弱性の亢進、脆弱性骨折の増大をきたす病態です。骨粗鬆症に関与する因子として、体格(やせ)以外にも、年齢や生、遺伝、食事制限や運動不足などの生活習慣も考えられています。

5.×

変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減ったり、消耗したりして、痛みや腫れをきたす慢性退行性悉皆です。関節は加齢とともに変性するため、高齢化とともに変形性関節症患者数は増加します。女性は男性よりも関節を支える能力が弱いので、関節への負荷が大きくなることや、女性ホルモンの影響で、患者数は男性の約3倍にのぼっています。

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02

〇1 .健康日本21(第二次)の目標設定においては、高齢者のBMI 20.0kg/m2以下を「低栄養傾向」としている。

→正解です。

高齢者のBMI 20.0kg/m2以下を「低栄養傾向」としています。

平成29年(2017)「国民健康・栄養調査」より、65 歳以上の低栄養(BMI≦20 kg/m2)は、16.4%(男性 12.5%、女性 19.6%)であると発表されています。

〇2 .健康日本21(第二次)の目標では、ロコモティブシンドロームを認知している国民の割合を増加させることとしている。

→正解です。

ロコモティブシンドローム (運動器症候群)を認知している国民の割合の増加を目標としています。

現状は44.4%(参考値、平成27年) であり、目標を80% (平成34年度)に設定しています。

〇3 .ロコモティブシンドロームは、運動器の障害が原因で要介護になるリスクの高い状態のことである。

→正解です。

ロコモティブシンドロームとは、からだを動かすのに必要な運動器に何らかの障害が起こり、日常の動作が出来にくくなり、

将来寝たきりになる危険性が高くなる状態を指します。

〇4 .骨粗鬆症の予防には、やせの防止が重要である。

→正解です。

やせは、骨粗しょう症の原因となることが分かっています。

理由として、体重の減少に伴って骨への負荷が少なくなることや、食事による栄養のバランスがくずれて、骨をつくるために必要な栄養が不足してしまうことなどが挙げられます。

✕5 .変形性膝関節症は、男性に多い疾患である。

→誤りです。

変形性膝関節症は、女性に多い疾患です。

変形性膝関節症とは、関節の軟骨の質が低下し、少しずつすり減り、歩行時にの痛みが出現する病気です。

性別の他、加齢、体質、骨密度、肥満、ホルモンなどが影響するとされています。

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03

高齢者の健康に関することについては、健康日本21(第二次)に健康増進法により定められています。確認するようにしまししょう。

選択肢1. 健康日本21(第二次)の目標設定においては、高齢者のBMI 20.0kg/m2以下を「低栄養傾向」としている。

正解です。

選択肢2. 健康日本21(第二次)の目標では、ロコモティブシンドロームを認知している国民の割合を増加させることとしている。

正解です。

選択肢3. ロコモティブシンドロームは、運動器の障害が原因で要介護になるリスクの高い状態のことである。

正解です。

選択肢4. 骨粗鬆症の予防には、やせの防止が重要である。

正解です。

選択肢5. 変形性膝関節症は、男性に多い疾患である。

変形性膝関節症は、女性に多い疾患です。

まとめ

高齢者の健康に関することについては、健康日本21(第二次)に健康増進法により定められています。確認するようにしまししょう。

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04

この問題は、高齢者の健康に関する質問なので、健康日本21(第二次)に関する質問が入っています。健康日本21(第二次)は、平成25年度から10年間の計画であり、基本となる方針や理念、具体的な目標は、健康増進法第7条に基づき厚生労働大臣が定めることとされています。

【健康日本21(第二次)における目標5項目】

1、健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標 

2、主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に関する目標

 ①がん②循環器疾患③糖尿病④COPD

3、社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標

 ①こころの健康②次世代の健康③高齢者の健康

4、健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標

5、栄養・食生活、身体活動・運動、休憩、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標

 ①栄養・食生活②身体活動・運動③休憩④飲酒⑤喫煙⑥歯・口腔の健康

骨や関節については、代表的な病気について復習しておきましょう。

 

選択肢1. 健康日本21(第二次)の目標設定においては、高齢者のBMI 20.0kg/m2以下を「低栄養傾向」としている。

〇 健康日本21(第二次)の目標の、「高齢者の健康」の項目で、「低栄養傾向(BMI20以下)の高齢者の割合の増加の抑制」と記載があります。

BMIとは肥満指数のことです。

計算式は、体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)

BMI は栄養状態の指標として用いられています。

BMI 20.0㎏/㎡以下の場合、要介護や総死亡リスクが統計的に高くなる値といわれています。

 

選択肢2. 健康日本21(第二次)の目標では、ロコモティブシンドロームを認知している国民の割合を増加させることとしている。

〇 健康日本21(第二次)の目標の、「高齢者の健康」の項目で、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を認知している国民の割合の増加」と記載があります。

選択肢3. ロコモティブシンドロームは、運動器の障害が原因で要介護になるリスクの高い状態のことである。

〇 ロコモティブシンドロームは、運動器の障害が原因で要介護になるリスクの高い状態のことです。

これは、2007年に日本整形外科学会により提唱された概念です。

選択肢4. 骨粗鬆症の予防には、やせの防止が重要である。

〇 骨粗鬆症の予防には、やせの防止が重要です。

骨密度が低下する原因は、加齢、閉経、女性、喫煙、飲酒、ダイエットで栄養素不足になること、運動不足などです。

選択肢5. 変形性膝関節症は、男性に多い疾患である。

× 誤っているのは、「変形性膝関節症は、男性に多い疾患である。」です。

変形性膝関節症は、女性に多い疾患です。

変形性膝関節症は、膝の関節軟骨が加齢や体重増加などが原因ですり減り、炎症を起こしたり膝関節が変形したりする病気です。

主な原因は、体重増加、加齢、女性(女性ホルモンの変化など)、膝への負担が大きい仕事、O脚、遺伝、感染、外傷などです。

まとめ

健康日本21(第二次)の目標項目や、骨粗鬆症、変形性膝関節症など高齢者の健康について復習しておきましょう。

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