管理栄養士の過去問
第36回
午前の部 問22

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問題

第36回 管理栄養士国家試験 午前の部 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

個体の恒常性に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 副交感神経の興奮は、消化管運動を抑制する。
  • 膵液の分泌は、内分泌である。
  • 血糖値が上昇すると、グルカゴンの分泌が促進される。
  • 自然免疫は、抗原特異的である。
  • 体液性免疫は、抗体が関与する。

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この過去問の解説 (4件)

01

✕1 .副交感神経の興奮は、消化管運動を抑制する。

→誤りです。

副交感神経の興奮は、消化管運動を促進します。

また、消化管運動の促進のほか

心臓機能の抑制、末梢血管の開張、血圧の下降

瞳孔(どうこう)の縮小がみられます。

✕2 .膵液の分泌は、内分泌である。

→誤りです。

膵液の分泌は、外分泌です。

汗、唾液、消化液は、これらを分泌する組織や臓器から導管という管が出ていて

ここから分泌されます。

このような分泌を外分泌といいます。

✕3 .血糖値が上昇すると、グルカゴンの分泌が促進される。

→誤りです。

血糖値が上昇すると、グルカゴンの分泌は抑制されます。

グルカゴンの主な作用は、肝においてグリコーゲン分解と糖新生による

ブドウ糖の産生・放出を促進し、血糖を上昇させることです。

血糖値が上昇している際は、グルカゴンの分泌は抑制されます。

✕4 .自然免疫は、抗原特異的である。

→誤りです。

自然免疫は、抗原特異的ではありません。

一方、獲得免疫は、抗原特異的です。

自然免疫は抗原非特異的に迅速に反応する初期応答であり、

獲得免疫は微生物やがん細胞の特異抗原に対する抗原特異的免疫応答です。

〇5 .体液性免疫は、抗体が関与する。

→正解です。

体液性免疫は、抗体が関与します。

体液性免疫は、獲得免疫において中心的に働く免疫システムの1つです。

体液性免疫において、B細胞から分化した形質細胞から作られる抗体が

主な働きを担っています。

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02

正答は【5】です。

1.×

副交感神経は、身体がリラックスしているときにはたらく神経です。副交感神経系がはたらくと、心臓と呼吸は抑制されて心拍と呼吸はゆっくりとなり、消化管の運動と消化液の分泌は促進されて、消化・吸収が盛んになります。

2.×

膵液は「外分泌部」から分泌される、膵臓から小腸管腔への分泌液です。

3.×

グルカゴンは、すい臓のA細胞から分泌され、肝臓に作用してグリコーゲンを分解し、グルコースとして血液中に放出させて血糖値を上昇させます。血糖値が上昇すると、グルカゴンの分泌は「低下」します。

4.×

自然免疫とは、受容体を介して、侵入してきた病原体や異常になった自己の細胞をいち早く感知し、それを排除する仕組みのことで、「抗原非特異的」です。

5.

体液性免疫は、血液その他の体液中に放出された抗体が主力に働きます。抗体は、食細胞の食作用を促して(オプソニン化)、生体を感染から防御します。

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03

生体を安定した状態に保とうとするシステムのことを恒常性といい、神経、内分泌、免疫は恒常性を維持するために重要な部分です。

では、問題をみていきましょう。

選択肢1. 副交感神経の興奮は、消化管運動を抑制する。

× 

交感神経の興奮は、消化管運動を抑制します。

副交感神経の興奮は、消化管運動を促進します。

【副交感神経の働き】

臓器や器官の働きを抑制します。

例えば、血管の拡張、心拍数を下げる、血圧を下げる、胃が収縮することで胃液の分泌増えて消化が促進するなどが副交感神経の働きです。

副交感神経は、リラックスしているときや、寝ているときなど優位に働く自律神経です。

選択肢2. 膵液の分泌は、内分泌である。

× 膵液の分泌は、外分泌です。

【外分泌・内分泌】

・外分泌は、消化酵素をつくり、腸管に送り出します。

・内分泌は、ホルモンをつくり、血液中に送り出します。

【膵臓・外分泌は膵液】

・膵液は、膵管を通して十二指腸内へ送られます。

・膵液には、消化酵素(アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど)が含まれています。

【膵臓・内分泌はインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン】

・膵臓にある内分泌腺をランゲルハンス島といいます。

・ランゲルハンス島のα細胞でグルカゴン、β細胞でインスリン、δ細胞でソマトスタチンがつくられます。

選択肢3. 血糖値が上昇すると、グルカゴンの分泌が促進される。

× 血糖値が上昇すると、グルカゴンの分泌が抑制されます。

インスリンとグルカゴンは互いに干渉しあうことで、血糖値を一定の値に調節しています。

【インスリンの働き】

血糖値が上昇すると分泌が促進されます。

・血液中のブドウ糖を細胞にとりこませます。

・余ったブドウ糖を脂肪組織に蓄えさせます。

・ブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓や筋肉に蓄えます。

・骨格筋に作用してアミノ酸を取り込み、たんぱく質を合成します。

【グルカゴンの働き】

血糖値が低下すると分泌が促進されます。

・肝臓で糖を作らせ血糖値を上昇させます。

・脂肪組織の脂肪をブドウ糖につくりかえます。

選択肢4. 自然免疫は、抗原特異的である。

× 自然免疫は、抗原特異的ではありません。

自然免疫

・自然免疫は、ヒトの体に先天的に備わっているもので、異物が体に入ると無差別に攻撃します。

抗原特異的

・一つの細胞が認識できる抗原は1種類だけということです。

選択肢5. 体液性免疫は、抗体が関与する。

〇 体液性免疫は、抗体が関与します。

【体液性免疫】

免疫グロブリン(抗体)や補体(体に入った抗原を排除するための免疫反応を進めるたんぱく質のこと)などにより、体の異物(抗原)の排除を行う機構のことです。

免疫グロブリンは(抗体)は、血清中に存在します。

まとめ

生体の恒常性に関する神経、内分泌、免疫について復習しましょう。

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04

神経、内分泌、免疫は恒常性を維持するために重要な部分です。各部分でどのようなものが関わっているのか確認しましょう。

選択肢1. 副交感神経の興奮は、消化管運動を抑制する。

副交感神経の興奮は、消化管運動を促進します。

選択肢2. 膵液の分泌は、内分泌である。

膵液の分泌は、外分泌です。

選択肢3. 血糖値が上昇すると、グルカゴンの分泌が促進される。

血糖値が上昇すると、インスリンの分泌が促進される。

選択肢4. 自然免疫は、抗原特異的である。

体液性免疫は、抗原特異的です。

選択肢5. 体液性免疫は、抗体が関与する。

正解です。

まとめ

神経、内分泌、免疫は恒常性を維持するために重要な部分です。各部分でどのようなものが関わっているのか確認しましょう。

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