管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問21

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問21 (訂正依頼・報告はこちら)

情報伝達物質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • アセチルコリンは、交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌される。
  • ドーパミンは、黒質の神経細胞で産生される。
  • 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、下垂体後葉から分泌される。
  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)は、卵巣から分泌される。
  • アドレナリンは、副腎皮質から分泌される。

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この過去問の解説 (3件)

01

神経伝達物質について関係するホルモンの名称と場所、役割を整理しておきましょう。

選択肢1. アセチルコリンは、交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌される。

(×) ノルアドレナリンは交感神経後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌されます。

 

交感神経後線維の神経終末からはノルアドレナリンが分泌され、副交感神経後線維の神経終末からはアセチルコリンが分泌されます。

 

選択肢2. ドーパミンは、黒質の神経細胞で産生される。

(〇)

 

中脳の黒質に存在する神経細胞はメラニンを含み、ドーパミンを産生します。

選択肢3. 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、下垂体後葉から分泌される。

(×) 副腎皮質刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌されます。

 

下垂体前葉からは成長ホルモン、副腎脂質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチンが分泌されます。下垂体後葉からはバソプレシンとオキシトシンが分泌されます。

選択肢4. 卵胞刺激ホルモン(FSH)は、卵巣から分泌される。

(×) 卵胞刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌されます。

 

エストロゲンが下垂体前葉に働きかけ卵胞刺激ホルモンの分泌を増加させます。

選択肢5. アドレナリンは、副腎皮質から分泌される。

(×) アドレナリンは副腎髄質から分泌されます。

 

交感神経の活動が亢進すると副腎髄質からカテコールアミン(アドレナリン)の分泌が増加します。

副腎皮質はコルチゾールとアルドステロンを分泌します。

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02

情報伝達物質にはホルモン、サイトカイン、神経伝達物質などがあります。

 

ホルモンは体内環境を調節する働きを持つ情報伝達物質で、主に内分泌臓器や組織で生成されて血流に乗って全身に運ばれます。

 

サイトカインは、細胞から分泌される低分子のたんぱく質で、細胞間の情報伝達や免疫応答に感やする生理活性物質の総称です。

 

神経伝達物質とは、神経細胞が産生する化学物質で、神経細胞の興奮や抑制を他の神経細胞に伝達します。

神経伝達物質にはアミノ酸、ペプチド類、モノアミン類(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミンなど)、アセチルコリン等があります。

 

ノルアドレナリンは交感神経の情報伝達に関与する神経伝達物質でもあり、副腎髄質から分泌血されるホルモンでもあります。

選択肢1. アセチルコリンは、交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌される。

不適です。

 

アセチルコリンは、副交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌されます。

ノルアドレナリンは、交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌されます。

 

アセチルコリンの分泌部位

①運動神経の神経筋接合部

②自律神経(交感神経と副交感神経)の節前線維と節後線維の接合部

③副交感神経の節後線維と効果器(消化管平滑筋など)の接合部

選択肢2. ドーパミンは、黒質の神経細胞で産生される。

適切な文章です。

 

ドーパミンは黒質の神経細胞で生産され、黒質と線条体の接合部で分泌されます。

選択肢3. 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、下垂体後葉から分泌される。

不適です。

 

副腎皮質刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌されます。

 

下垂体後葉から分泌されるのはバソプレシン(抗利尿作用)とオキシトシン(乳汁射出・子宮収縮促進)です。

選択肢4. 卵胞刺激ホルモン(FSH)は、卵巣から分泌される。

不適です。

 

卵胞刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌されます。

 

卵巣から分泌されるのはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)です。

選択肢5. アドレナリンは、副腎皮質から分泌される。

不適です。

 

アドレナリンは副腎髄質から分泌されます。

 

副腎皮質から分泌されるのは、コルチゾール(糖新生促進、免疫抑制、水・電解質・血圧調節)、アルドステロン(血圧上昇、腎臓でのK・Hイオン排泄・Na再吸収促進)、アンドロゲン(男性化)です。

まとめ

ホルモンの産生部位

 

視床下部

・成長ホルモン放出ホルモン

・ソマトスタチン(成長ホルモン・甲状腺刺激ホルモン分泌抑制)

・甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン

・副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン

・ゴナドトロピン放出ホルモン(黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン分泌促進)

・ドーパミン(プロラクチン分泌抑制)

 

下垂体前葉

・成長ホルモン(血糖値の上昇)

・プロラクチン(乳汁産生促進、黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン分泌抑制)

・甲状腺刺激ホルモン(トリヨードチロニン・チロキシン分泌促進)

・副腎皮質刺激ホルモン

・ゴナドトロピン(黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン)

 

下垂体後葉

・バソプレシン(抗利尿作用)

・オキシトシン(乳汁射出、子宮収縮促進)

 

甲状腺

・甲状腺ホルモン(トリヨードチロニン・チロキシン)代謝亢進

・カルシトニン(血中Ca値の低下)

 

副甲状腺

・副甲状腺ホルモン(血中Ca値の上昇、P値低下)

 

膵臓

・インスリン(血糖値低下)

・グルカゴン(血糖値の上昇)

・ソマトスタチン(インスリン・グルカゴンの産生・分泌の抑制)

 

腎臓

・エリスロポエチン(赤血球の成熟)

ホルモンではないが

 ・レニン(血圧上昇)

 ・活性型ビタミンD3(血中Ca値の上昇)

 

副腎皮質

・コルチゾール(糖新生促進、免疫抑制、水・電解質・血圧調節)

・アルドステロン(血圧上昇、腎臓でのK,Hイオン排泄・Na再吸収促進)

・アンドロゲン(男性化)

 

副腎髄質

・カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン等。交感神経と同様の作用)

 

精巣

・アンドロゲン(主にテストステロン。男性の第二次性徴の発達)

 

卵巣

卵胞発育・排卵、女性の第二次性徴の発達

・エストロゲン(卵胞ホルモン)

・プロゲステロン(黄体ホルモン)

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03

ホルモンの分泌部位を理解しておきましょう。

選択肢1. アセチルコリンは、交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌される。

アセチルコリンは、副交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌されます。

 

交感神経節後線維と消化管平滑筋の接合部で分泌されるのはノルアドレナリンです。

選択肢2. ドーパミンは、黒質の神経細胞で産生される。

正解です。

 

ドーパミンとは中枢神経に存在する神経伝達物質であり、

副腎髄質でドーパミンからノルアドレナリン、アドレナリンが産生されます。  

選択肢3. 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、下垂体後葉から分泌される。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、下垂体前葉から分泌されます。

 

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の他に、下垂体前葉からは

成長ホルモン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、

副腎皮質刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンが分泌されます。

下垂体後葉からはバソプレシン、オキシトシンが分泌されます。

選択肢4. 卵胞刺激ホルモン(FSH)は、卵巣から分泌される。

卵胞刺激ホルモン(FSH)は、下垂体前葉から分泌されます。

 

卵巣から分泌されるホルモンは、

エストロゲン、プロゲステロンです。

選択肢5. アドレナリンは、副腎皮質から分泌される。

アドレナリンは、副腎髄質から分泌されます。

 

副腎皮質から分泌されるのはアンドロゲン、アルドステロン、コルチゾールです。

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