管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問22

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

疾患に伴う変化に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 発赤は、炎症の4徴候(Celsusの4徴候)に含まれる。
  • 乾酪壊死は、クローン病でみられる。
  • アポトーシスは、炎症を引き起こす。
  • 扁平上皮化生は、食道でみられる。
  • 良性腫瘍は、悪性腫瘍に比べて異型性が強い。

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この過去問の解説 (3件)

01

疾患に伴う変化には多くの種類があります。

それぞれの特徴を理解しておく必要があります。

選択肢1. 発赤は、炎症の4徴候(Celsusの4徴候)に含まれる。

正解です。

炎症の4徴候(Celsusの4徴候)とは発赤(赤くなる)、発熱(熱が出る)、

疼痛(痛い)、腫脹(腫れる)として知られています。

これに炎症の結果生じた機能障害(動かせないなど)を加えて炎症の5徴候といいます。

選択肢2. 乾酪壊死は、クローン病でみられる。

乾酪壊死は、結核でみられます。

結核では壊死巣ができ、

この部分は凝固したたんぱく質に加えて脂質を含むため、

乳白色でチーズ状に見えます。

 

クローン病では非乾酪性肉芽腫がみられます。

非乾酪性肉芽腫は壊死を伴いません。

 

選択肢3. アポトーシスは、炎症を引き起こす。

アポトーシスは、炎症を引き起こしません

アポトーシスとは生理的にプログラムされた細胞死のことです。

炎症を伴うのは壊死です。

選択肢4. 扁平上皮化生は、食道でみられる。

扁平上皮化生は、気管支や子宮頸部などでみられます。

 

食道でみられるのは円柱上皮化生です。

 

選択肢5. 良性腫瘍は、悪性腫瘍に比べて異型性が強い。

良性腫瘍は、悪性腫瘍に比べて異型性が弱いです。

 

個体が死ぬまで増殖を続けるものが悪性腫瘍で、

増殖が一定の状態で停止するものが良性腫瘍です。

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02

疾患に伴う身体への影響は種類が多く、覚えるのが大変だと思いますが、疾患ごと整理しておきましょう。

選択肢1. 発赤は、炎症の4徴候(Celsusの4徴候)に含まれる。

(〇) 

 

炎症の4兆候(Celsusの4徴候)には発赤、発熱、疼痛、腫脹があります。

ガレノスが提唱した炎症の5兆候には上記に加え、機能障害も入ります。

 

選択肢2. 乾酪壊死は、クローン病でみられる。

(×) 非乾酪性肉芽腫は、クローン病でみられます。

 

乾酪壊死は、壊死した細胞のたんぱく質が凝固してチーズのようにみえる状態で、結核でみられます。

クローン病では乾酪壊死は形成されません。

選択肢3. アポトーシスは、炎症を引き起こす。

(×) 壊死は炎症を引き起こします。

 

細胞の死には壊死(ネクローシス)とアポトーシスがあります。

壊死は、破壊で生じた細胞片を処理するために炎症が起きます。

アポトーシスを起こした細胞は縮小し、周囲の細胞に貧食されて処理されるため炎症は起きません。

選択肢4. 扁平上皮化生は、食道でみられる。

(×) 扁平上皮化生は、気管支でみられます。

 

扁平上皮化生は、上皮が重層扁平上皮に置き換わる現状です。

気管支上皮は喫煙などで扁平上皮化生を起こします。

食道上皮である重層扁平上皮は正常な上皮であり、扁平上皮化生は起こしません。

選択肢5. 良性腫瘍は、悪性腫瘍に比べて異型性が強い。

(×) 悪性腫瘍は、良性腫瘍に比べて異型性が強いです。

 

異型性は組織や細胞と異なる形態を示すことです。

異型性が強いほど悪性度が強いです。

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03

疾患に伴う変化には特殊な用語を用いるので整理して覚えましょう。

選択肢1. 発赤は、炎症の4徴候(Celsusの4徴候)に含まれる。

適切な文章です。

 

炎症の4兆候は、発赤、熱感、腫膓、疼痛です。

選択肢2. 乾酪壊死は、クローン病でみられる。

不適です。

 

乾酪壊死は、結核で見られます。

 

乾酪壊死とは、肉眼的にチーズのような外観を呈することから名付けられています。

乾酪壊死は結核菌の死骸ではなく、マクロファージの壊死です。マクロファージが脂質に富む結核菌の細胞壁骨格を多く貪食しているために虚血で死んでも凝固できず、処理する細胞も死んでいるので液化した死骸のまま存在します。

選択肢3. アポトーシスは、炎症を引き起こす。

不適です。

 

アポトーシスは、炎症を引き起こしません。

 

アポトーシスとは、細胞の自然死の一種で、遺伝的にプログラムされた細胞の死です。

アポトーシスが起こると、細胞は萎縮して隣接細胞から離れ、マクロファージなどの貪食細胞に貪食されます。

アポトーシスの機構がうまく働かない場合に周囲に炎症を起こしながら細胞が死に至るネクローシス(壊死)が起こります。

選択肢4. 扁平上皮化生は、食道でみられる。

不適です。

 

扁平上皮化生は、気管支粘膜や子宮体部などで見られます。

食道で見られるのは円柱上皮化生です。

選択肢5. 良性腫瘍は、悪性腫瘍に比べて異型性が強い。

不適です。

 

悪性腫瘍は良性腫瘍に比べて異型性が強いです。

 

異型性とは、顕微鏡学的に正常細胞との形態の違いの程度です。腫瘍を評価する指標で、一般に分化度の高い良性腫瘍に比べて分化度の低い悪性腫瘍で強いです。

まとめ

扁平上皮化性とは、本来扁平上皮でない組織が、何らかの刺激で扁平上皮に置き換わる現象のことを指します。

喫煙によって気管支粘膜が傷つくことで戦場日から重曹扁平上皮への化生が起こることがあります。

 

円柱上皮化性とは、重曹扁平上皮が単層円柱上皮になることで、逆流性食道炎を起こした食道などでみられます。

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