管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問34

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

呼吸器疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • COPDでは、呼気時に口すぼめ呼吸がみられる。
  • 重度に進行したCOPDでは、呼吸性アルカローシスがみられる。
  • アトピー型の気管支喘息は、成人以降に発症することが多い。
  • 気管支喘息の治療には、β遮断薬を用いる。
  • 間質性肺炎では、閉塞性障害がみられる。

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この過去問の解説 (3件)

01

呼吸器疾患の症状、メカニズムについて理解しておきましょう。

選択肢1. COPDでは、呼気時に口すぼめ呼吸がみられる。

正解です。

 

呼気時に口すぼめ呼吸をすることにより、

気管に圧がかかり、息が吐きやすくなります。

選択肢2. 重度に進行したCOPDでは、呼吸性アルカローシスがみられる。

重度に進行したCOPDでは、呼吸性アシドーシスがみられます。

 

アシドーシス、アルカローシスは4つに分類されます。

酸性に傾くことをアシドーシス、アルカリ性に傾くことをアルカローシスといいます。

 

呼吸性アシドーシス:体内のPaCO2が増加

呼吸性アルカローシス:体内のPaCO2が減少

代謝性アシドーシス:体内のHCO3-が減少

代謝性アルカローシス:体内のHCO3-が増加

 

COPDが進行すると、息が吐きづらくなりガス交換に障害が生じ、

PaCO2が上昇し、呼吸性アシドーシスとなります。

選択肢3. アトピー型の気管支喘息は、成人以降に発症することが多い。

アトピー型の気管支喘息は、小児期に発症することが多いです。

 

アトピー型の気管支喘息IgEが関与するI型アレルギーによって生じるものです。

選択肢4. 気管支喘息の治療には、β遮断薬を用いる。

気管支喘息の治療には、β遮断薬を用いません

 

β2刺激薬などを用います。

β遮断薬は血圧や眼圧を下げる薬です。

気管支を収縮させるため、気管支喘息には用いてはいけません。

選択肢5. 間質性肺炎では、閉塞性障害がみられる。

間質性肺炎では、拘束性障害がみられます。

 

閉塞性障害とは気道閉塞があり呼気が十分にできない状態です。

COPD、気管支喘息、などがあてはまります。

拘束性障害とは肺活量の低下で吸気が十分にできない状態です。

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02

それぞれの呼吸器疾患の特徴を理解しましょう。

選択肢1. COPDでは、呼気時に口すぼめ呼吸がみられる。

適切な文章です。

 

口すぼめ呼吸とは、口をすぼめてゆっくりと息を吐く呼吸をすることで、呼気では気道内圧が高まり、気道が拡張されることで気流閉塞が緩和されます。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)では他に、咳、喀痰、労作時呼吸困難などが見られます。

選択肢2. 重度に進行したCOPDでは、呼吸性アルカローシスがみられる。

不適です。

 

COPDでは、呼吸性アシドーシスがみられます。

 

排出すべき二酸化炭素が血液中に残ってしまうので、動脈血ガス分析では、酸素分圧の低下および二酸化炭素分圧の上昇(呼吸性アシドーシス)がみられます。

選択肢3. アトピー型の気管支喘息は、成人以降に発症することが多い。

不適です。

 

アトピー型の気管支喘息は、小児期(5歳未満)に発症することが多いです。

 

成人以降(40歳以上)に発症することが多いのは、内因性の非アトピー型です。

選択肢4. 気管支喘息の治療には、β遮断薬を用いる。

不適です。

 

気管支喘息の治療には、β作動薬(β刺激薬)を用います。

 

β遮断薬は、高血圧症の治療に用いられます。

選択肢5. 間質性肺炎では、閉塞性障害がみられる。

不適です。

 

間質性肺炎では、拘束性喚起障害がみられます。

 

拘束性喚起障害では、肺・胸郭が広がりにくいため吸気しづらく、呼気はスムーズに行えます。

閉塞性喚起障害では、吸気はスムーズ(例外あり)で、気道閉塞があるため呼気はしづらくなります。

まとめ

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

有害物質の長期吸入が原因で生じる肺の炎症疾患です。

また、呼吸機能検査で非可逆性の気流閉塞を示す閉塞性喚起障害です。

喫煙が最も重要な危険因子であり、女性に比べて男性に多く発症します。

高齢者では肺機能が衰えるため、若年者に比べて高齢者の発症は急激に増えます。

呼気時に口すぼめ呼吸がみられます。

呼吸性アシドーシスがみられます。

 

 

気管支喘息

気道の慢性炎症、気道過敏症の亢進、可逆性の気道閉塞を特徴とする閉塞性喚起障害です。

 

⚪︎アトピー型

 小児期(5歳未満)にみられ、Ⅰ型アレルギーが関与。

 遺伝的要因あり。

 多くは軽症で、成人までに寛解する。

 

⚪︎非アトピー型

 成人(40歳以上)にみられ、喫煙と肥満が関与。

 遺伝的要因なし。

 中等症〜重症であることが多い。

 

 

間質性肺炎

肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、主な症状は呼吸困難や咳で進行すると呼吸不全の状態となります。

肺の柔軟性が低下して肺の容積が少なくなる拘束性喚起障害です。

正常な肺活量の80%以下になります。

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03

呼吸器の構造と呼吸のメカニズム、疾患についてまとめておきましょう。

選択肢1. COPDでは、呼気時に口すぼめ呼吸がみられる。

(〇) 

 

COPDでは気管が閉塞し息が吐きにくい。口すぼめ呼吸をすることで気道内圧が上がり、息が吐きやすくなります。

選択肢2. 重度に進行したCOPDでは、呼吸性アルカローシスがみられる。

(×) 重度に進行したCOPDでは、呼吸性アシドーシスがみられます。

 

COPDでは血中の二酸化炭素分圧が上昇し、呼吸性のアシドーシスになります。

選択肢3. アトピー型の気管支喘息は、成人以降に発症することが多い。

(×) アトピー型の気管支喘息は、小児期に発症することが多いです。

 

アトピー型のほとんどが小児期であり、非アトピー型の多くは成人で発症します。

選択肢4. 気管支喘息の治療には、β遮断薬を用いる。

(×) 気管支喘息の治療には、β刺激薬を用います。

 

気管支喘息の治療には2種類あります。

喘息発作が起きた場合:気管支を広げる吸入薬「β2刺激薬」を使用

コントロールできない場合:ステロイドの点滴

選択肢5. 間質性肺炎では、閉塞性障害がみられる。

(×) 間質性肺炎では、拘束性障害がみられる。

 

間質性肺炎は%VTが低下する拘束性歓喜障害に分類されます。

閉塞性換気障害にはCOPDや気管支喘息があげられます。

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