管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問39

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

血液疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が低下する。
  • 血友病では、プロトロンビン時間が短縮する。
  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与する。
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が減少する。
  • 急性白血病では、赤血球数が増加する。

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この過去問の解説 (3件)

01

血液疾患について理解しておきましょう。

選択肢1. 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が低下する。

喫煙者では、ヘモグロビン濃度が上昇します。

 

ヘモグロビンが一酸化炭素と結合し、酸素の供給量が減少します。

これを補うためにヘモグロビンが増加します。

 

選択肢2. 血友病では、プロトロンビン時間が短縮する。

血友病では、プロトロンビン時間は短縮しません

 

血友病とは、血液凝固因子の欠乏、分子異常により生じる出血性疾患です。

プロトロンビン時間は正常ですが、部分トロンボプラスチン時間は延長します。

 

選択肢3. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与する。

正解です。

 

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは、血小板が減少し、出血傾向を生じる疾患です。

選択肢4. 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が減少する。

播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が増加します。

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)とはさまざまな重症の基礎疾患の病態において、

微小血栓が全身の細小血管に過剰に生じることにより、

凝固因子や血小板が消費されて減少した結果出血傾向をきたす合併症です。

選択肢5. 急性白血病では、赤血球数が増加する。

急性白血病では、赤血球数が減少します。

 

骨髄で行われるはずの造血能が障害され、赤血球、白血球、血小板が減少します。

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02

貧血、血液疾患について押さえておきましょう。

選択肢1. 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が低下する。

(×) 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が上昇する可能性があります。

 

喫煙によってヘモグロビンが一酸化炭素と結合するため全身への酸素の供給量が減少します。その結果、ヘモグロビンが増加する代償現象が起こります。

選択肢2. 血友病では、プロトロンビン時間が短縮する。

(×) 血友病では、プロトロンビン時間は正常となります。

 

血友病ではATPPは延長するが、PTは正常となります。

選択肢3. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与する。

(〇)

 

ITPはヘリコバクター・ピロリ菌感染率が高く、除菌療法により血小板数が増えることから、ITPに対するヘリコバクター・ピロリ菌の関与が考えられています。

選択肢4. 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が減少する。

(×) 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が増加します。

 

DICでは、全身の細い血管の中で血栓が多発します。

身体にできた血栓は次々と溶けてしまうため、血栓の分解時にできるフィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)や血栓が溶けた際に生じる物質「D-dimer(D-ダイマー)」が増加します。

選択肢5. 急性白血病では、赤血球数が増加する。

(×) 急性白血病では、赤血球数が減少します。

 

急性白血病では白血病細胞の増殖によって、正常な血球(赤血球・白血球・血小板)が減少し、貧血や易感染・出血傾向がみられます。

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03

血液疾患について深い知識が必要です。

選択肢1. 喫煙者では、ヘモグロビン濃度が低下する。

不適です。

 

喫煙者では、ヘモグロビン濃度が増加します。

 

喫煙によって一酸化炭素ヘモグロビンが増加し、酸素運搬脳低下を代償するため、ヘモグロビン濃度が増加することがあります。

 

 

選択肢2. 血友病では、プロトロンビン時間が短縮する。

不適です。

 

血友病では、プロトロンビンの時間は正常なままです。

 

 

プロトロンビン時間は、肝機能の低下やビタミンK欠乏による凝固因子の欠乏により、外因系の血液凝固反応が阻害される場合に延長します。

血友病では、内因系の血液凝固反応に異常が起こるため、プロトロンビン時間は正常なままです。

選択肢3. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与する。

適切な文章です。

 

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療により改善することがあります。

 

選択肢4. 播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物(FDP)が減少する。

不適です。

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)では、フィブリン分解産物が上昇します。

 

血小板減少、血漿フィブリノゲン減少、プロトロンビン時間延長がみられます。

選択肢5. 急性白血病では、赤血球数が増加する。

不適です。

 

急性白血病では、赤血球数は減少します。

 

 

まとめ

⚪︎血友病

 第Ⅷ因子、第Ⅸ因子の凝固活性の先天的欠乏による出血性疾患です。

 伴性潜性遺伝(劣性遺伝)であり、男性のみに発症します。

 内出血と外出血がみられます。

 

⚪︎特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

 血小板に対する自己抗体により血小板が破壊されて起こる疾患です。

 皮膚・粘膜の出血傾向があります。

 

⚪︎播種性血管内凝固症候群(DIC)

 重症感染症や悪性腫瘍、産科疾患などの基礎疾患に合併して、血液凝固系の活性化をきたし、全身の細小血管内に微小血栓が多発して臓器障害が起こる病態のことです。

 凝固系と線溶系の双方が亢進して多臓器障害と出血症状が出現します。

 

⚪︎急性白血病

 骨髄の中にある造血幹細胞がわずかに分化した段階の細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患です。

 

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