管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問47

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問47 (訂正依頼・報告はこちら)

食品に含まれるビタミン及びプロビタミンに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • エルゴステロールは、紫外線によりコレカルシフェロールに変換される。
  • L−デヒドロアスコルビン酸は、抗酸化作用をもつ。
  • シアノコバラミンは、分子内に銅を含む。
  • β−カロテンは、水溶性の色素である。
  • リボフラビンは、紫外線に対して不安定である。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

それぞれのビタミンの特徴を理解しておきましょう。

選択肢1. エルゴステロールは、紫外線によりコレカルシフェロールに変換される。

エルゴステロールは、紫外線によりエルゴカルシフェロールに変換されます。

 

紫外線によりコレカルシフェロールに変換されるのは

7-デヒドロコレステロールです。

選択肢2. L−デヒドロアスコルビン酸は、抗酸化作用をもつ。

L−デヒドロアスコルビン酸は、抗酸化作用をもちません。

 

L-デヒドロアスコルビン酸は酸化されているためです。

抗酸化作用をもつのは還元型のL-アスコルビン酸です。

選択肢3. シアノコバラミンは、分子内に銅を含む。

シアノコバラミンは、分子内にコバルトを含みます。

 

ビタミンB12のことです。

選択肢4. β−カロテンは、水溶性の色素である。

β−カロテンは、脂溶性の色素です。

 

加熱やpHの変化等の影響を受けにくい色素です。

 

選択肢5. リボフラビンは、紫外線に対して不安定である。

正解です。

 

酸性、中性の条件下ではルミクロールに、

アルカリ性ではルミフラビンに変化します。

リボフラビンは光増感剤であり、食品の変香や着色に関係します。

参考になった数10

02

ビタミンに種類と用語を整理しておきましょう。

選択肢1. エルゴステロールは、紫外線によりコレカルシフェロールに変換される。

(×) エルゴステロールは、紫外線によりエルゴカルシフェロールに変換されます。

 

ビタミンDにはD₂、D₃があり、ビタミンD₂はエルゴステロールが紫外線に照射されることによって生成されます。

選択肢2. L−デヒドロアスコルビン酸は、抗酸化作用をもつ。

(×) アスコルビン酸が、抗酸化作用をもちます。

 

アスコルビン酸が、アスコルビン酸オキシダーゼにより酸化され、デヒドロアスコルビン酸になります。

 

選択肢3. シアノコバラミンは、分子内に銅を含む。

(×) シアノコバラミンは、分子内にコバルトを含みます。

 

シアノコバラミンは水溶性ビタミンの一種で、分子内にコバルトを含有し、メチルコバラミン、シアノコバラミンなどがあります。

選択肢4. β−カロテンは、水溶性の色素である。

(×) β−カロテンは、脂溶性の色素です。

 

β−カロテンは、カロテノイド系色素に属する脂溶性の色素です。

選択肢5. リボフラビンは、紫外線に対して不安定である。

(〇) 

 

リボフラビンは水溶性ビタミンのひとつで、光やアルカリで分解されやすいため、紫外線に対して不安定となります。

参考になった数5

03

ビタミンとは、ヒトの生理機能を正常に維持するうえで補助的にはたらく微量栄養素です。

体内で合成できない、もしくはごくわずかしか生成できないため体外から摂取しなければなりません。

選択肢1. エルゴステロールは、紫外線によりコレカルシフェロールに変換される。

不適です。

 

エルゴステロールは、紫外線によりエルゴカルシフェロールになります。

 

7ーデヒドロコレステロールが紫外線によりコレカルシフェロールになります。

選択肢2. L−デヒドロアスコルビン酸は、抗酸化作用をもつ。

不適です。

 

L-アスコルビン酸(還元型ビタミンC)は、抗酸化作用をもちます。

 

Lーアスコルビン酸が酸化されてL-デヒドロアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)が生じます。

選択肢3. シアノコバラミンは、分子内に銅を含む。

不適です。

 

シアノコバラミンは、分子内にコバルトを含みます。

選択肢4. β−カロテンは、水溶性の色素である。

不適です。

 

βーカロテンは、脂溶性の色素です。

 

プロビタミンAの一つで、にんじんやかぼちゃなどに含まれるカロテノイド系の黄色や赤色の色素です。

選択肢5. リボフラビンは、紫外線に対して不安定である。

適切な文章です。

 

リボフラビンは、ビタミンB2で、光により分解し、活性が低下します。

まとめ

脂溶性ビタミン

⚪︎ビタミンA(レチノール)

 ・体内でビタミンAに変換される主なプロビタミンAに

   α-,β-,γ-カロテン、β-クリプトキサンチンがあります。

 ・酸化されやすく、光に弱い。

 

⚪︎ビタミンD(カルシフェロール)

 プロビタミンD2:エルゴステロール(キノコ類)

    ↓紫外線

 ビタミンD2:エルゴカルシフェロール

 

 プロビタミンD3:7-デヒドロコレステロール(ヒトの皮膚に存在)

    ↓紫外線

 ビタミンD3:コレカルシフェロール(魚介類)

    ↓肝臓と腎臓で代謝

 活性型ビタミンD3:1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール

 

⚪︎ビタミンE(トコフェロール)

 ・α-トコフェロールが体内のトコフェロールの90%を占める

 ・油脂などの酸化防止剤

 

⚪︎ビタミンK(フィロキノン、メナキノン)

 ・フィロキノン(K1)は葉緑体によって産生

 ・メナキノン(K2)は一部の細菌によって産生

 ・人体の腸内細菌によっても産生

 

 

水溶性ビタミン

⚪︎ビタミンB1(チアミン)

 ・酸性で安定、アルカリ性で不安定

 

⚪︎ビタミンB2(リボフラビン)

 ・光に弱い

 ・食品中で光増感作用を示す

 

⚪︎ビタミンB6(ピリドキシン)

 ・酸に強く、光で分解されやすい

 ・人体では腸内細菌で生成

 

⚪︎ビタミンB12(コバラミン)

 ・コバルト原子を含み、赤い

 ・熱に強いが、アルカリ溶液で加熱すると分解する

 ・人体では腸内細菌により生成

 

⚪︎葉酸

 ・光、熱、空気酸化に不安定

 ・人体では腸内細菌により生成

 

⚪︎ビオチン

 ・食品中ではたんぱく質のリシン残基に結合したものが多い

 ・人体では腸内細菌により生成

 ・生の卵白のアビジンと強く結合し、吸収が妨げられる

 

⚪︎ナイアシン

 ・ニコチン酸、ニコチンアミドの総称

 ・熱、光、空気、酸、アルカリに安定

 ・生体内でトリプトファンからも合成

 

⚪︎パントテン酸

 ・コエンザイムAの構成成分

 ・酸、アルカリ存在下で加熱すると分解する

 ・人体では腸内細菌により生成

 

⚪︎ビタミンC(アスコルビン酸)

 ・水溶性の酸化防止剤として利用

 ・L-アスコルビン酸(還元型)は不安定なため

  容易にL-デヒドロアスコルビン酸(酸化型)となる

 ・酵素的褐変反応を阻害

参考になった数3