管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問51

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

正解は「ボツリヌス菌は、偏性嫌気性菌である。」です。

 

ボツリヌス菌は偏性嫌気性菌という、通常の空気中の酸素下では死滅してしまう食中毒菌です。

酸素下で死滅するため、缶詰や瓶詰めの食品など空気に触れにくい食品が原因となりやすいです。

 

また1歳未満の乳児で発症する乳児ボツリヌス症は、はちみつが原因食品となるため1歳未満の乳児にはちみつを与えることは禁忌です。

選択肢1. 黄色ブドウ球菌は、ベロ毒素を産生する。

黄色ブドウ球菌は「エンテロトキシン」という毒素を産生します。

エンテロトキシンは100℃、30分間の加熱でも完全に不活性化しない特徴があります。

選択肢2. ボツリヌス菌は、偏性嫌気性菌である。

先に述べたように、ボツリヌス菌は偏性嫌気性菌です。

選択肢3. カンピロバクターによる食中毒は、主に煮込み料理で発生する。

カンピロバクターは肉類や井戸水が原因で発生します。

乾燥や熱に弱いため、生食や生焼けでの肉類摂取が原因で食中毒を発症することが多くあります。

煮込み料理で発生しやすい食中毒はウェルシュ菌などです。

選択肢4. 腸管出血性大腸菌による食中毒の潜伏期間は、3~8時間程度である。

腸管出血性大腸菌(O157)による食中毒の潜伏期間は、「3-5日程度」です。

選択肢5. わが国におけるセレウス菌による食中毒は、主に下痢型である。

セレウス菌による食中毒は、下痢型と嘔吐型の2種類あります。

下痢型のセレウス菌は生体内毒素型であり、摂取した細菌が腸管内で増殖し毒素を産生して食中毒を起こします。

嘔吐型のセレウス菌は毒素型であり、食品中で細菌増殖して産生された毒素を摂取することで食中毒を起こします。

参考になった数4

02

細菌性食中毒は、発生機序から感染型毒素型に分けられます。

 

毒素型は、食品中で発生した毒素を摂取して、腸管上皮細胞を刺激します。

原因菌は、ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌、嘔吐型のセレウス菌などです。

 

感染型は、生体内毒素型感染侵入型の2タイプあります。

 

生体内毒素型は、食品中の細菌を摂取して腸管内で毒素を産生します。

原因菌は、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、下痢型セレウス菌、毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌などです。

 

感染侵入型は、食品中の細菌を摂取した後、摂取した細菌が腸管を刺激します。

原因菌は、腸管病原性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌、サルモネラ属菌、赤痢菌、カンピロバクター、チフス菌などです。

では、問題をみていきましょう。

 

選択肢1. 黄色ブドウ球菌は、ベロ毒素を産生する。

✖ 間違いです。

黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖するときに、エンテロトキシン(耐熱性)という毒素を発生させます。

ベロ毒素を産生するのは、腸管出血性大腸菌です。

選択肢2. ボツリヌス菌は、偏性嫌気性菌である。

〇 正解です。

ボツリヌス菌は、偏性嫌気性菌です

ボツリヌス菌は、酸素要求性による菌の分類で偏性嫌気性菌です。

毒性の強い神経毒を産生しますが、酸素があると増殖できません。

 

選択肢3. カンピロバクターによる食中毒は、主に煮込み料理で発生する。

✖ 間違いです。

カンピロバクターによる食中毒は、主に生肉や加熱不良な肉料理、生乳、調理過程で二次汚染したものにより発生します。

煮込み料理で発生するのウェルシュ菌です。

選択肢4. 腸管出血性大腸菌による食中毒の潜伏期間は、3~8時間程度である。

✖ 間違いです。

腸管出血性大腸菌による食中毒の潜伏期間は、3~5日です。

 

選択肢5. わが国におけるセレウス菌による食中毒は、主に下痢型である。

✖ 間違いです。

わが国におけるセレウス菌による食中毒は、嘔吐型と下痢型があります

セレウス菌は土壌細菌のひとつで、土壌、ほこりなどの自然界にある物質です。

嘔吐型の原因食品は、チャーハンやピラフ、スパゲティーなどのでんぷん食品で、下痢型の原因食品は肉、プリン、バニラソースです。

まとめ

細菌性食中毒の特徴を理解して、安全な食事の提供に役立てましょう。

参考になった数2