管理栄養士の過去問
第38回
午後の部 問35

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第38回 管理栄養士国家試験 午後の部 問35 (訂正依頼・報告はこちら)

29歳、女性。身長155cm、体重26kg、BMI 10.8kg/m2。神経性やせ症と診断され、精神科に通院していた。最近食事を全く摂らなくなり、動けなくなったため、救急搬送され入院となった。この患者における入院中の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 経管栄養は、禁忌である。
  • エネルギーは、2,000kcal/日から開始する。
  • たんぱく質は、制限する。
  • 嗜好食品は、禁止する。
  • 血清カリウム値を、モニタリングする。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

神経性やせ症とは、やせに起因する基礎疾患がなく、顕著なやせを呈します。

食べることを極端に少なくし、体重が増えることを恐れ、低体重を維持しようとします。

心理的な要因が高い疾患です。

選択肢1. 経管栄養は、禁忌である。

不正解です。

BMI10.8は重症であり、最近食事を全く摂らなくなり、動けなくなったとあるため、経管栄養での栄養状態の回復が必要です。

選択肢2. エネルギーは、2,000kcal/日から開始する。

不正解です。

飢餓状態にあるところに、急に栄養を入れると再栄養症候群を起こす可能性があります。

再栄養症候群とは、リフィーデイング症候群ともいい、急激な栄養補給により低リン血症を伴う全身症状(発熱、痙攣、意識障害、心不全、呼吸不全)が現れます。

エネルギーの設定は患者の意見を取り入れ、800~1000kcalから開始し、徐々に増加させることが望ましいです。

選択肢3. たんぱく質は、制限する。

不正解です。

たんぱく質は制限はしません。

体たんぱくの異化亢進状態になっている場合が多く、1.0~1.2/kg標準体重の補給が必要です。

選択肢4. 嗜好食品は、禁止する。

不正解です。

食べてはいけない食品はなく、患者が食べたいと思えるものがあれば積極的に食べ、エネルギー補給をすることが望ましいです。

選択肢5. 血清カリウム値を、モニタリングする。

正解です。

カリウム、クロールの低下により、自己誘発嘔吐、下痢、利尿薬の使用状況などを把握します。

参考になった数2

02

神経性やせ症は、食事量だけではなく、嗜好に合わせた調理など、工夫をして食欲を増進させることが大切です。

 

また、食事面だけではなく、心理的側面を把握したうえで、カウンセリングや面談を行う必要があります。

選択肢1. 経管栄養は、禁忌である。

不適当です。

 

動けなくなり、自分で食事をすることができない場合は、経管栄養などの活用が効果的です。

選択肢2. エネルギーは、2,000kcal/日から開始する。

不適当です。

 

食事をまったくとらない状況から、いきなり2000kcalから開始することは、胃腸にも負担がかかり危険です。

選択肢3. たんぱく質は、制限する。

不適当です。

 

食事が徐々にできるようになれば、たんぱく質の制限など、特別な栄養素の制限は必要ありません。

選択肢4. 嗜好食品は、禁止する。

不適当です。

 

極度のエネルギー不足なので、嗜好品でも何かしら召し上がることのできるものを食べて、エネルギー摂取量を増やすことが効果的です。

選択肢5. 血清カリウム値を、モニタリングする。

適当です。

 

脱水や代謝性アルカローシスを引き起こしている場合もあるので、血清カリウム値のモニタリングが適切です。

参考になった数0