管理栄養士の過去問
第38回
午後の部 問91
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問題
第38回 管理栄養士国家試験 午後の部 問91 (訂正依頼・報告はこちら)
K病院の消化器内科病棟に配置されている管理栄養士である。
患者は、75歳、男性。C型慢性肝炎で、10年前より通院加療していた。摂食機能に問題はない。最近、朝方の全身倦怠感が強くなり受診したところ、精査目的で入院となった。
入院時、身長165cm、体重55kg、BMI 20.2kg/m2。標準体重60kg。浮腫(−)、腹水(−)。空腹時の血液検査値は、アルブミン2.7g/dL、血糖90mg/dL、AST65U/L、ALT50U/L、アンモニア65ng/dL(基準値30~80ng/dL)。
精査の結果、肝硬変、重症度はChild-Pugh分類のCと診断され、早朝の呼吸商は低下していた。この患者の優先すべき栄養療法である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
患者は、75歳、男性。C型慢性肝炎で、10年前より通院加療していた。摂食機能に問題はない。最近、朝方の全身倦怠感が強くなり受診したところ、精査目的で入院となった。
入院時、身長165cm、体重55kg、BMI 20.2kg/m2。標準体重60kg。浮腫(−)、腹水(−)。空腹時の血液検査値は、アルブミン2.7g/dL、血糖90mg/dL、AST65U/L、ALT50U/L、アンモニア65ng/dL(基準値30~80ng/dL)。
精査の結果、肝硬変、重症度はChild-Pugh分類のCと診断され、早朝の呼吸商は低下していた。この患者の優先すべき栄養療法である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- たんぱく質制限
- 食塩制限
- 鉄の付加
- LES(late evening snack)の導入
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この過去問の解説 (2件)
01
初めに検査値や身体所見から患者の病態をきちんと理解しましょう。
患者は慢性C型肝炎から肝硬変を発症しています。さらに摂食障害はないものの全身倦怠感があり、検査値からアルブミン低値、AST、ALT高値であることが分かります。
また倦怠感を感じた時、呼吸商は低下していたため糖質の代謝が低下していることが考えられます。
これらを踏まえて選択肢を検討しましょう。
不適です。
血中アルブミン値が低値であり、低栄養状態になっていることが分かります。また、現時点で血中アンモニア値も正常であるため、たんぱく質を制限する必要はありません。
不適です。
浮腫や腹水は認められず、現時点で食塩を制限する必要はありません。
不適です。
肝炎患者においては、鉄貯蔵たんぱく質である血清フェリチン濃度が上昇します。これは鉄が利用されないために起こります。
このことから鉄付加の必要はありません。
正しいです。
LES療法とは、肝機能障害や肝細胞の減少により肝臓内の貯蔵グリコーゲン量が減少した患者に用いる治療法です。
就寝前に200kcal程度の炭水化物を中心とした捕食を摂取することで、就寝中や早朝の低血糖を是正することを目的としています。
本患者は全身倦怠感があり早朝の呼吸商が低下していたため、就寝中のエネルギーとして糖質ではなく脂肪を燃焼させていたことが分かります。
このことからLES食を導入することが望ましいと言えます。
呼吸商とは、炭水化物・脂質・たんぱく質が燃焼したときに消費した酸素量に対する、発生した二酸化炭素量の割合のことです。
炭水化物では1.0、脂質では0.7、たんぱく質では0.8といった値を示します。
呼吸商を算出することで、どの熱量素を燃焼させてエネルギーを産生したかを検討することができます。
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02
BMI20.2kg/㎡、浮腫なし、腹水なし、Alb値2.7g/dl、血糖90mg/dlから、低栄養状態であり、耐糖能異常はないということがわかります。
不適です。
アンモニア値が正常で肝性脳症もないのでたんぱく質制限は不必要です。
不適です。
浮腫や腹水がないので食塩制限は不必要です。
不適です。
C型慢性肝炎では、肝細胞に鉄の過剰蓄積がみられ、この過剰蓄積の鉄が過酸化水素と反応して活性酸素を発生させ、肝細胞を傷つけ病態を悪化させることがわかってきました。よって、食事からの鉄分摂取量を制限することで鉄の過剰蓄積を回避し、肝細胞の障害を抑制します。
適切です。
夜間の飢餓状態が朝方の全身倦怠感、早朝の呼吸商の低下に影響を与えるため、就寝前に軽く夜食をとって肝臓がエネルギー不足にならないようにする夜食療法(夜間分割食)を取り入れることは最も適切と言えます。
LES療法は、著しい肝機能の低下や肝細胞の減少により、肝臓内の貯蔵グリコーゲン量が減少した患者に対して用いる治療療法です。
就寝中や早朝の低血糖を予防するために就寝前に200kcal程度の糖質中心の補食を摂取します。
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