管理栄養士の過去問
第38回
午後の部 問98

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午後の部 問98 (訂正依頼・報告はこちら)

K社健康保険組合の管理栄養士である。
K社では男性の高血圧症の者の割合が高い。その原因の一つに食塩の過剰摂取が考えられた。そこで、男性社員の食塩摂取量の減少を目的として、利用率の高い社員食堂において、減塩メニューの充実による食環境整備と減塩教育を行うことになった。7~10月の4か月間を実施期間とし、実施前後に食塩摂取量を把握して評価することとした。A事業所(男性200人)を介入群(食環境整備および減塩教育)、同じ地域で、年齢構成、就業状況および規模が近似したB事業所(男性180人)を比較群(減塩教育のみ)とした。

取組実施前後の食塩摂取量の変化量を、両事業所間で比較するに当たり、考慮すべき評価デザインの限界である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 群間で対象者の生活背景が異なっている可能性があること。
  • 群間で調査の協力率に差があること。
  • 介入期間後も効果が継続するかを調べていないこと。
  • 実施前後で季節が異なること。

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この過去問の解説 (2件)

01

評価デザインの種類と特徴を理解しましょう。

選択肢1. 群間で対象者の生活背景が異なっている可能性があること。

適切です。

 

対象者を非無作為に群分けしている準実験デザインに当てはまり、群間で対象者の生活背景が異なっている可能性があります。

選択肢2. 群間で調査の協力率に差があること。

不適です。

 

A事業所200人のうち食塩摂取量を把握できた人数は170人なので協力率は85.0%。

B事業所180人のうち食塩摂取量を把握できた人数は155人なので協力率は86.1%。

 

この数値では差があるとは言えません。

選択肢3. 介入期間後も効果が継続するかを調べていないこと。

不適です。

 

介入期間後の調査は行なっていないようなので両事業所間での比較の限界とは言えません。

選択肢4. 実施前後で季節が異なること。

不適です。

 

実施期間は7〜10月の4か月間であり、両事業所間で同時期に調査を実施しているので、実施前後の季節が異なることは特に問題はなく、比較の限界とは言えません。

まとめ

栄養教育の評価デザイン

 

○実験デザイン

 平行法と交差法があり、最も妥当性と信頼性の高い評価デザイン。

 ・平行法

  対象者を無作為に介入ぐんと対象群に群分けし、比較・評価します。

 ・交差法

  平行法の評価終了後に休止期間を取ってから、対象群にも同様の教育介入を行い評価します。

 

○準実験デザイン

 対象者を非無作為で介入ぐんと対称群に分け比較します。

 

○前後比較デザイン

 介入群のみ設定し、介入前後で比較します。

 

○ケーススタディデザイン

 介入群のみ設定し、介入前の事前テストをせずに、介入後のテストのみ行います。変化がわからず有効な評価は難しいです。

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02

栄養教育の効果を評価する際に、その評価の妥当性を検討し考慮しておく必要があります。

その妥当性を脅かすにはどのようなものがあるのか考えながら問題を検討していきましょう。

選択肢1. 群間で対象者の生活背景が異なっている可能性があること。

正しいです。

群間の対象者らはそれぞれが同じ事業所に勤務しており、群間で勤務事業所が異なっています。

そのため事業所の差による生活背景が異なっている可能性があります。

このことから評価をする際にはこの点を考慮する必要があることが分かります。

選択肢2. 群間で調査の協力率に差があること。

不適です。

前問より、協力者はA事業所で170人、B事業所では155人であったことが分かります。

それぞれの協力率は

A事業所:170/200×100=85%

B事業所:155/180×100=86.1%

あまり大きな差があるとは言えません。

選択肢3. 介入期間後も効果が継続するかを調べていないこと。

不適です。

両対照群で介入期間後も効果が継続しているか調べていないため、適していません。

選択肢4. 実施前後で季節が異なること。

不適です。

実施前後で季節は異なっていますが、両群で計画を実施している時期は同じです。

そのため評価の限界があるとは言えません。

まとめ

評価デザインには様々なものがあります。

それぞれの特性を抑えながら覚えておきましょう。

<実験的デザイン>

対象者を無作為に抽出し、介入群と対照群に分けて実験を行う。

<実験的デザイン(交差法)>

実験的デザインの後に評価を行い、対照群と介入群を入れ替えて再度実験を行う。

<準実験的デザイン>

無作為抽出をせずに介入群と対照群に分けて実験を行う。

→無作為抽出をしていないため選択的バイアスがかかりやすい。

<前後比較デザイン(非実験的デザイン)>

任意に抽出した介入群の介入前後で検討する。

→対照群が存在しないので本当に介入効果があるのかわからない。

 

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