管理栄養士 過去問
第39回
問4 (午前の部 問4)

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問題

管理栄養士試験 第39回 問4(午前の部 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

A地域およびB地域の年齢階級別人口と、基準集団の年齢階級別死亡率を表に示す。A地域の死亡数は12,000人、B地域の死亡数は12,000人であった。標準化死亡比は、表中の基準集団を100とする。A地域とB地域の比較に関して、この表から読み取れる内容の記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
問題文の画像
  • A地域の老年人口割合は、B地域よりも高い。
  • A地域の粗死亡率は、B地域よりも高い。
  • A地域の死亡数は、期待死亡数と同じである。
  • A地域の期待死亡数は、B地域の期待死亡数よりも多い。
  • A地域の標準化死亡比は、B地域の標準化死亡比よりも高い。

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この過去問の解説 (3件)

01

疫学に関する問題です。各用語の意味を理解する必要があります。この設問では死亡率に関する用語の理解を問われます。

 

年齢階級別人口:各年齢層別による人口数

年齢階級別死亡率:各年齢層ごとの死亡率

基準集団:AまたはB地域の比較対象となる集団(例えば全国平均等)

期待死亡数:予測される死亡数

標準化死亡比:異なる集団(設問の場合はAとB地域)の比較を公正にする為に、年齢構成や性別の差異等を、基準集団とそれぞれ比較考慮することで調整する。調整して算出された、実際の死亡数と期待死亡数の比率のこと。

老年人口割合:人口のうち65歳以上の人口割合

粗死亡率:人口に占める死亡数の割合。年齢構成を考慮しない

 

 

選択肢1. A地域の老年人口割合は、B地域よりも高い。

不正解です。

老年人口割合=65歳以上人口÷全人口 より、

A地域:0.21(21%)

B地域:0.40(40%)

よって、老年人口割合はB地域の方が高いです。

選択肢2. A地域の粗死亡率は、B地域よりも高い。

不正解です。

粗死亡率=死亡数÷全人口 より、

A地域:0.008(0.8%)

B地域:0.013(1.3%)

よって、粗死亡率はB地域のほうが高いです。

選択肢3. A地域の死亡数は、期待死亡数と同じである。

不正解です。

基準集団との比較により、A地域の期待死亡数を求めます。

 

基準集団の死亡率は、各年齢階級において

0~14歳:2÷10,000=0.0002

15~64歳:20÷10,000=0.002

65歳以上:300÷10,000=0.03

 

これに、A地域の人口を年齢階級別にかけると

0~14歳:0.0002×240,000=48

15~64歳:0.002×900,000=1,800

65歳以上:0.03×300,000=9,000

 

A地域全体の期待死亡数は、年齢階級別を合算して

48+1,800+9,000=10,848(人)

となります。

 

A地域の実際の死亡数は12,000人であり、期待死亡数とは異なります。

選択肢4. A地域の期待死亡数は、B地域の期待死亡数よりも多い。

不正解です。

A地域同様にB地域の期待死亡数を求めると、

 

0~14歳:0.0002×90,000=18

15歳〜64歳:0.002×500,000=1,000

65歳以上:0.03×400,000=12,000

18+1,000+12,000=13,018(人)

 

よって、A地域よりB地域の期待死亡数のほうが多いです。

選択肢5. A地域の標準化死亡比は、B地域の標準化死亡比よりも高い。

正解です。

標準化死亡比は、期待死亡数と実際の死亡数の比であり、実際の死亡数÷期待死亡数で求められます。

 

A地域:12,000÷10,848=1.1

B地域:12,000÷13,018=0.92

となり、A地域の方が標準化死亡比は高くなります。

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02

疫学・統計では指標の定義の理解が重要です。

選択肢1. A地域の老年人口割合は、B地域よりも高い。

不正解です。

老年人口割合とは、65歳以上の人口の割合です。

老年人口割合=老年人口/全人口 となります。

 

A地域:300,000人/1,440,000人=0.208

B地域:400,000/990,000人 = 0.404

 

となりB地域の方が高くなるため誤りとなります。

選択肢2. A地域の粗死亡率は、B地域よりも高い。

不正解です。

粗死亡率は対象集団を性別や年齢などで分けずに全人口や死亡数で割ったもので、単に死亡率と記されている場合は粗死亡率のことを指します。

粗死亡率=全死亡数/全人口 となります。

 

A地域、B地域ともに全死亡数は12,000人のため、

A地域:12,000人/1,440,000人 = 0.008

B地域:12,000人/990,000人 = 0.013

 

となりB地域の方が高くなるため誤りとなります。

選択肢3. A地域の死亡数は、期待死亡数と同じである。

不正解です。

期待死亡数とは、年齢別死亡率が基礎集団と同じであると仮定した場合に予測される死亡数のこと。

期待死亡数の算出は基礎集団の年齢階級別死亡率を用いります。

 

表中の基礎集団死亡率は人口1万人に対して何人死亡するかを表しています。(0~14歳の場所は2人)

これを用いて比で算出していきます。

 

0~14歳→10,000:2=240,000:X

10,000X=480,000

X=48

となります。

 

同様の計算を15~64歳(1万人に対して20人死亡)、65歳以上(1万人に対して300人死亡)の期待死亡数も求めると、

15~64歳=1800人

65歳以上=9000人

すべての年代の死亡数を合わせると48+1800+9000=10,480人となります。

 

このため、A地域の死亡率は、期待死亡率よりも高いといえます。


 

選択肢4. A地域の期待死亡数は、B地域の期待死亡数よりも多い。

不正解です。

 

A地域と同様の方法でB地域の期待死亡数も求めます。

B地域の各年齢階級の期待死亡数は

0~14歳:18人

15~64歳:1,000人

65歳以上:12,000人 となります。

合計で13018人です。

 

A地域の期待死亡数は10848人で、A地域の期待死亡数はB地域の死亡数よりも少ないため誤りです。

選択肢5. A地域の標準化死亡比は、B地域の標準化死亡比よりも高い。

正解です。

 

標準化死亡比とは、対象集団の実際の死亡数と期待死亡数を比べたもののことです。

標準化死亡比=実際の死亡数/期待死亡数

 

A地域:12,000÷10,848=1.1

B地域:12,000÷13,018=0.92

となります。

このため、A地域の方が標準化死亡比は高くなります。

 

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03

粗死亡率とは、人口あたりの死亡数のことです。集団の年齢構成に影響されやすく、(高齢者の多い集団ほど粗死亡率が高くなる)年齢構成の異なる集団同士では比較ができないため、年齢調整を行います。本問題では、年齢構成が同じと仮定され、年齢階級別死亡数のわかっている基準集団と比較することで、A地域とB地域の比較を行います。基準集団の死亡率は、ここでは人口1万人に対し階級別に何人死んだかというデータが提示されています。

 

選択肢1. A地域の老年人口割合は、B地域よりも高い。

不正解です。

老年人口とは、65歳以上の階級の人口です。

A地域 300000÷1440000≒0.21

B地域 400000÷990000≒0.4

 

よって、A地域の老年人口は、B地域よりも低いです。

選択肢2. A地域の粗死亡率は、B地域よりも高い。

不正解です。

 

A地域 12000÷1440000≒0.008

B地域 12000÷990000≒0.013

 

よって、A地域の剃死亡率はB地域よりも低いです。

選択肢3. A地域の死亡数は、期待死亡数と同じである。

不正解です。

期待死亡数とは、基準集団の死亡率を基準とした集団の死亡数のことで、年齢階級別に求めます。比を使って考えるとわかりやすいです。

 

0~14歳の期待死亡数をXとすると、

X/240000:2/10000

X=2×240000÷10000

  =48  となります。

 

同じように15~64歳、65歳以上の期待死亡数も求めると、

15~64歳→1800人

65歳以上→9000人

すべて合わせるとA地域の期待死亡数は10848人になります。

 

よって、A地域の死亡率は、期待死亡率よりも高いといえます。

選択肢4. A地域の期待死亡数は、B地域の期待死亡数よりも多い。

不正解です。

 

A地域の期待死亡数と同様に、B地域の期待死亡数も求めます。

B地域の各年齢階級の期待死亡数は

0~14歳 18人

15~64歳 1000人

65歳以上 12000人 になるので、合計で13018人となります。

 

A地域の期待死亡数は10848人ですので、

A地域の期待死亡数はB地域の死亡数よりも少ないといえます。

 

選択肢5. A地域の標準化死亡比は、B地域の標準化死亡比よりも高い。

正解です。

標準化死亡比とは、実際の死亡数÷期待死亡数で求められます。

 

A地域 12000÷10848≒1.1

B地域 12000÷13018≒0.9

 

よって、A地域の標準化死亡比は、B地域の標準化死亡比よりも高いです。

 

本問題では、分子の数が同じであり、標準化死亡比が高いか低いかのみを問われているため、計算をせずに回答を選択しても問題ありません。

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