管理業務主任者の過去問 令和3年度(2021年) 問1
この過去問の解説 (3件)
正解は1です。
1、民法の【心裡留保】です。民法第93条1項では「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。 ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。」としています。
したがって、AはBに対して当該契約の無効を主張することができます。適切です。
2、民法の【通謀虚偽表示】です。民法第94条では、
1、相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2、前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
としています。
つまり、保護される第三者は「善意」であればよく、無過失までは要求されていません。
したがって、Aは、Cに対して、虚偽表示による当該売買契約の無効を主張することができません。不適切です。
3、民法の【詐欺】です。民法第96条2項3項では、
- 2、相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
- 3、前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
- としています。
つまり、Dには過失があるので、AはDに対して取消しの効果を主張することができます。不適切です。
4、民法の【強迫】です。強迫による意思表示の取消しには、上記の民法第96条2項のような第三者保護規定がないため、善意無過失の第三者にも強迫による意思表示の取消しを主張することができます。
つまり、Aは、Eに対して取消しの効果を主張することができます。不適切です。
1.適切。
民法 第93条【心裡留保】
1項 、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
設問のBは知るか又は知ることができた場合の為本肢は適切です。
2.不適切。
民法 第94条【虚偽表示】
1項 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2項 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
設問のCは事情を知らないことに過失があるだけで善意の第三者にあたる為、AはCに対して無効を主張できず本肢は不適切です。
3.不適切。
民法 第96条【詐欺又は強迫】
3項 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
設問のDは過失がある為、AはDに対して取消しを主張でき本肢は不適切です。
4.不適切。
強迫による意思表示の取消しは、取消し前に利害関係を生じた善意の第三者にも対抗でき、AはEに対して取消しの主張が可能であり本肢は不適切です。
正解肢:1
肢1:正
本肢は「心裡留保」に該当するため、
原則では当事者間の効果は有効です。
(相手方がそれを知り得なかった場合、
不利益を被ることが明白だからです)
しかしながら、本肢のように相手方Bが
Aの意思表示が冗談であることを
知っている又は知ることができた場合は、
Bを保護する必要は全くありません。
よって、AはBに対して無効を主張できます。
肢2:誤
本肢は「通謀虚偽表示」に該当するため、
原則では当事者間の効果は無効です。
また、第三者との関係についてですが、
「善意の第三者」に対しては
当事者間の無効を主張することはできません。
これは当事者間の効果が無効になると、
それを知らずに購入した第三者が
不安定な状態に陥ることを防ぐためです。
肢3:誤
本肢は「詐欺」に該当します。
詐欺による意思表示の取り消しは
「善意無過失」の第三者に対してのみ、
対抗することができません。
よって、本肢のように「善意有過失」の
第三者に対しては取り消しを主張できます。
肢4:誤
本肢は「強迫」に該当します。
強迫による意思表示の取り消しは
「善意無過失」の第三者に対しても有効です。
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