管理業務主任者 過去問
令和4年度(2022年)
問8
問題文
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問題
管理業務主任者試験 令和4年度(2022年) 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
- 受付等の業務には、宅配物の預かり、引渡し、利害関係人に対する管理規約等の閲覧が含まれる。
- 点検業務には、建物の外観目視点検、無断駐車等の確認が含まれる。
-
立会業務には、災害、事故等の処理の立会い、そのための専有部分の鍵の保管が含まれる。
- 報告連絡業務には、立会結果等の報告、事故等発生時の連絡が含まれる。
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この過去問の解説 (2件)
01
法改正により、不適切肢が一つとは限りません。
不適切。出題当時は適切肢として扱われていましたが、法改正により本肢の業務内容は削除され、不適切な選択肢となりました(標準管理委託契約書別表第2 2(1))。
コロナ禍をきっかけに非接触が求められるようになったのか、ほとんど同じ時期に『標準管理規約』のほうでも置き配に関する規定が設けられることとなりました。
適切。以下の通りです(標準管理委託契約書別表第2 2(2)一,四)。
(2)点検業務
一 建物、諸設備及び諸施設の外観目視点検
二 照明の点灯及び消灯並びに管球類等の点検、交換(高所等危険箇所は除く。 )
三 諸設備の運転及び作動状況の点検並びにその記録
四 無断駐車等の確認
立会業務には、災害、事故等の処理の立会い、そのための専有部分の鍵の保管が含まれる。
不適切。前半部分の業務は以下の通りありますが、後半部分の業務は含まれていません(標準管理委託契約書別表第2 2(3)三)。
たしかに、以前は専有部分の鍵を管理事務室等で預かるのが主流でしたが、セキュリティーの観点から近年ではほとんど見られません。
(3)立会業務
一 管理事務の実施に係る外注業者の業務の着手、実施の立会い
二 ゴミ搬出時の際の立会い
三 災害、事故等の処理の立会い
適切。以下の通りです(標準管理委託契約書別表第2 2(4)二,三)。
(4)報告連絡業務
一 甲の文書の配付又は掲示
二 各種届出、 点検結果、立会結果等の報告
三 災害、事故等発生時の連絡、報告
法改正により、不適切肢は二つとなりました。
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02
本問は、管理員が業務として行う事務の内容についての知識を問う問題です。
標準管理委託契約は管理組合の共用部分の管理権限を根拠として、管理業者に当該管理事務を委託する契約であるという趣旨から言って、管理員の事務が共用部分に関する事務であることはわかると思います。
つまり、管理会社は管理組合の権限に属する共用部分に関する管理事務を代行するもので、その現場担当が管理員であるという基本を押さえておけば解ける「はずの」問題です。
なぜ「はずの」かと言えば、実はこの問題は令和5年9月改訂以降の標準管理委託契約書に照らすと正解が二つあって解けないからです。出題当時は正解が一つに絞れたのですが。
そして、そもそも出題当時の標準管理委託契約書には「基本」から逸脱した規定が入っていたので、基本を押さえているだけでは解けないのです(せいぜい、どっちの方がマシかで解くしかありません)。
国土交通省のウェブサイトに標準管理委託契約書及び同コメント(標準管理委託契約書の解説です)が掲載されています。一読と言わず精読することをお勧めします。
不動産業:「マンション標準管理委託契約書」及び「マンション標準管理委託契約書コメント」の改訂(令和5年9月11日) - 国土交通省
特に逐条解説的な「コメント」にはぜひとも目を通しておくべきです。
令和5年9月の改訂に関しては、
報道発表資料:マンション標準管理委託契約書を改訂しました<br>~マンションの管理の適正化に向けて~ - 国土交通省
に「【別添2】新旧対照表」というリンクがありますから、令和5年以前の過去問を解く場合には、今はどうなっているかを知るためにこれを確認した方がいいでしょう。
なお、実務的にも、この「管理会社の仕事は管理組合の共用部分の管理代行である」という視点から見ると、業務としてどこまでやるべきかという判断がしやすくなることが多いです。
実際には多少のことはサービスという面があるにしても、線を引く基準としてしっかり理解しておくべきです(管理会社とその従業員だけでなく、現場窓口である管理員にも教育しておくといいですね。私の経験上も、それを理解している管理員は、どこまで融通を利かせられるかの判断が適切であることが多いです。中にはやりすぎてクビになった人もいます)。
令和5年9月以降においては「最も不適切」です。よってこの肢は正解です。
管理員の業務に「宅配物の預かり、引渡し」は含まれません。
「利害関係人に対する管理規約等の閲覧」に関しては含まれています。
この肢は出題当時は「最も不適切」ではありませんでした。令和4年当時の標準管理委託契約書には、「宅配物の預かり、引渡し」が含まれていました。しかし、令和5年9月の改訂により削除になりました。
令和5年9月改定後の現行の標準管理委託契約書別表第2管理員業務の「2業務の区分及び業務内容(1)受付等の業務」に掲げる項目は、
一 甲(=管理組合:筆者註)が定める各種使用申込の受理及び報告
二 甲が定める組合員等異動届出書の受理
及び報告
三 利害関係人に対する管理規約等の閲覧
四 共用部分の鍵の管理及び貸出し
五 管理用備品の在庫管理
六 引越業者等に対する指示
の6つです。
宅配物の取扱いの規定が削除になった直接の背景は、おそらく、宅配ボックスの普及だとは思います。
しかし、形式的に見て宅配物の取扱いはそもそも居住者の個人的な話であり、共有部分の管理ではありません。当然、管理組合とも無関係です。
共用部分の管理ではない以上、その事務が管理員の事務になる道理はありません。改訂前に入っていたこと自体がおかしいと言っても過言ではありません。
管理員の善意に頼って無用な負担を課す不適切な規定であるとすら言えます。
また、実質的に見ても、荷物によってはプライバシーにかかわることもあり得ますし、また、毀損、紛失等が起きた場合の責任の所在など厄介な問題が起こることが予想されますから、管理業務に含むべきものではありません。
要するに、本質的に権限外の上に「面倒くさい」事が起こりかねない話だということです。
個人の所有物は個人の責任において取り扱うべきものです。専有部分とか駐車場内の自動車とかと何も変わりません。
実務的には、誤配の荷物を居住者から預かって宅配業者に引き取らせるという程度の話はないではありません。
戸建ての話なら誤配を受けた居住者がみずから宅配業者に連絡して引き取らせることになりますから、集合住宅でも同じ扱いが筋論です。しかし、管理員(ないし管理会社)に頼みたくなるという気持ちは理解できなくはありませんし、無下に断るというわけにもいかないこともあります。
いずれにしてもさすがに、昔の標準管理委託契約書をベースにした管理委託契約を締結して、契約更新時に改訂を反映していないなどというずさんな管理会社はないと思いたいところです。
なお、落し物の管理はどうなんだ?共用部分の管理とどういう関係があるのだ?という疑問がないではありません。実際、標準管理委託契約書の管理員の業務内容には、落し物に対する対応は記載がありません。
ただ、遺失物法に施設占有者の遺失物の取扱いに関する規定があり、管理組合は施設占有者ですから、管理組合は施設管理者として遺失物法に従った遺失物の取り扱いをすることができます。
そして、管理組合の代行者である管理会社及びその現場担当者である管理員は、管理組合の施設管理者としての遺失物取扱い権限を代行することができると理解してよいでしょう。
この点につき、時々、管理会社等は、遺失物法上の「施設占有者」であるから落し物を預かる権限があるというような解説があります。
しかし、「施設占有者」とは行政解釈では「施設を自己のためにする意思をもって事実上支配していると認められる者」を言うところ、管理会社等が「自己のために」占有しているとは言えないので、あくまでも管理組合が施設占有者であり、管理会社等は施設占有者である管理組合の「代理人、使用人、その他の従業員」と考えるのが正確でしょう。
これ以上の深入りはやめておきます。
「最も不適切」とは言えません。
点検業務は、共用部分の状態が正常あるいは適正であるかどうかを確認する事務であり、建物の外観目視(つまり躯体という共用部分の外観の目視による点検)、共用部分である駐車場その他の敷地の無断使用を確認することは当然、共用部分の状態が正常あるいは適正であるかどうかを見ていることになります。
標準管理委託契約書別表第2管理員業務の「2業務の区分及び業務内容(2)点検業務」に掲げる項目は、
一 建物、諸設備及び諸施設の外観目視点検
二 照明の点灯及び消灯並びに管球類等の点検、交換(高所等危険箇所は除く。)
三 諸設備の運転及び作動状況の点検並びにその記録
四 無断駐車等の確認
の4つです。
三については、エレベーター、機械式駐車場など専門の技術者が点検する物もありますが、少なくとも素人でもわかるような異常を疑う場合には、それが共用部分に関する事であれば然るべき処置を行うことは当然に管理員の事務です。
それ以外の3つは、ほぼすべての物件において管理員が定期的に行っていると言っていいでしょう。
もちろん、外観目視などは建物点検業者もやりますし、照明についても少なくとも非常灯に関しては設備点検業者がやります(むしろ管理員はやらないことが多いです。なぜかと言えば、時間が掛かるので他の業務が一切できなくなりますから)。
立会業務には、災害、事故等の処理の立会い、そのための専有部分の鍵の保管が含まれる。
「最も不適切」です。よってこの肢は正解です。出題時の正解はこれでした。
管理員の業務に「災害、事故等の処理の立会い」は含まれますが、「専有部分の鍵の保管」は含まれません。
標準管理委託契約書別表第2管理員業務の「2業務の区分及び業務内容(3)立会業務」に掲げる項目は、
一 管理事務の実施に係る外注業者の業務の着手、実施の立会い
二 ゴミ搬出時の際の立会い
三 災害、事故等の処理の立会い
の3つです。
一は要するに設備点検、排水管清掃、共用部分(主に廊下、共用部分のガラスなど)の清掃などのことです。「管理事務の実施」なので専有部分の例えば居室のガス給湯器の点検、清掃代行業者による居室内の清掃などは含まれません。
二は物件にもよりますが、通常は、ちゃんと持って行ったかどうかを確認する程度です。
三は滅多にないですし、ないことが望ましいですね。
管理員の業務はあくまでも、共用部分の管理に関わることです。「専有部分の鍵の保管」というきわめてプライバシーに関わる話であり、紛失あるいは不正使用など万一の場合に大問題になりかねないものが入っているわけがありません。宅配物以上にセンシティブなので、これを選ばないのは常識を疑われるレベルです。
ちなみに「立会い」と言っても作業中べったり張り付いているわけではありません(コメントにも「外注業者の業務中、常に立会うことを意味しない」とあります)。そんなに暇な管理員はいません。
「最も不適切」とは言えません。
報告連絡業務には、立会結果等の報告、事故等発生時の連絡が含まれます。
と言いますか、管理員はそのためにいるといっても過言ではありません。
標準管理委託契約書別表第2管理員業務の「2業務の区分及び業務内容(3)立会業務」に掲げる項目は、
一 甲の文書の配付又は掲示
二 各種届出、点検結果、立会結果等の報告
三 災害、事故等発生時の連絡、報告
の3つです。
よく報連相と言いますが、管理員は単なる現場窓口要員でしかなく、管理組合との管理委託契約の当事者である管理会社が管理業務の責任を負っています。
ですから、管理員は、管理会社(の担当者。通称フロント(マン)に対して、業務上の様々な事実を報告し、フロントはその報告を基に適切な判断、対処をしなければなりません。さらにフロントは必要に応じて管理組合に対して報告等を行います。
管理委託契約は、準委任契約(法律行為以外の事務を委任する契約。民法第656条)ですから、受任者である管理会社には善管注意義務があり(標準管理委託契約書第5条にも書いてありますが、そもそも民法第644条に書いてあります)、フロントに適切な報告等がなかったために適切な対処ができなかったとなれば、善管注意義務違反となる、つまり、債務不履行になる可能性があります。
民法第656条「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」
標準管理委託契約書第5条「乙は、善良な管理者の注意をもって管理事務を行うものとする。」
民法第644条「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」
管理組合の権限は共用部分の管理である(そもそもそのために管理組合が存在する)。
管理会社は管理組合の代行者であり、管理員は管理会社の現場担当者である。
という基本は絶対に押さえておくべきという典型的な出題です。
実務的にも契約の適切な履行のためにこの基本に対する理解は重要な意味があります。
今すぐ確実に憶えましょう。
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