貸金業務取扱主任者の過去問
平成28年度(2016年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問32

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成28年度(2016年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

AのBに対する貸付金債権(以下、本問において「本件債権」という。)の譲渡に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。なお、本件債権について、AとBとの間で譲渡禁止の特約はなされていないものとする。
  • Aが本件債権をCに譲渡した場合、AC間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、又はBが確定日付のある証書による承諾をしなければ、Cは、当該債権譲渡をBに対抗することはできない。
  • Aは、本件債権をCに譲渡した後、Dにも本件債権を二重に譲渡した。AC間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書によらない通知をし、当該通知がBに到達した後、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Cは、AC間の債権譲渡をDに対抗することができる。
  • Aは、本件債権をCに譲渡した後、Dにも本件債権を二重に譲渡した。AC間の債権譲渡及びAD間の債権譲渡のいずれについても、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、AC間の債権譲渡の通知は、AD間の債権譲渡の通知よりも証書の確定日付は遅い日付であったが、AD間の債権譲渡の通知よりも早い日にBに到達した。この場合、Cは、AC間の債権譲渡をDに対抗することができる。
  • Aは、本件債権をCに譲渡した後、Dにも本件債権を二重に譲渡した。AC間の債権譲渡について、BがAに対して確定日付のある証書による承諾をした後、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

貸付金債権の譲渡については、図示することで理解がしやすくなります。

選択肢1. Aが本件債権をCに譲渡した場合、AC間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、又はBが確定日付のある証書による承諾をしなければ、Cは、当該債権譲渡をBに対抗することはできない。

適切ではありません。

 

この場合、債務者であるBに対して、債権譲渡があったことを通知し、またはBがその譲渡を承諾しなければ、新しい債権者であるCは、Bに対して債権の支払いを請求することができません。(民法467条1項)また、特に重要なのは、「確定日付のある証書による通知または承諾」という点です。これは、債権譲渡の事実を明確にし、後から争いを起こさないようにするための要件です。(同条2項)

選択肢2. Aは、本件債権をCに譲渡した後、Dにも本件債権を二重に譲渡した。AC間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書によらない通知をし、当該通知がBに到達した後、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Cは、AC間の債権譲渡をDに対抗することができる。

適切ではありません。

 

確定日付のある証書による通知が優先されます。

選択肢3. Aは、本件債権をCに譲渡した後、Dにも本件債権を二重に譲渡した。AC間の債権譲渡及びAD間の債権譲渡のいずれについても、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、AC間の債権譲渡の通知は、AD間の債権譲渡の通知よりも証書の確定日付は遅い日付であったが、AD間の債権譲渡の通知よりも早い日にBに到達した。この場合、Cは、AC間の債権譲渡をDに対抗することができる。

適切です。

 

確定日付のある証書による通知が競合した場合には、先に到達した方が優先されます。

選択肢4. Aは、本件債権をCに譲渡した後、Dにも本件債権を二重に譲渡した。AC間の債権譲渡について、BがAに対して確定日付のある証書による承諾をした後、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

適切ではありません。

 

双方とも確定日付ある証書によるものなので、この場合、第三者対抗要件を備えた日が早い方が優先されます。

まとめ

債権譲渡の効力を第三者に対抗させるためには、債務者に対する通知が必要なほか、債権譲渡契約の公示なども求められる場合があります。また、債権の譲渡を禁止する特約がある場合は、その特約に従う必要があります。

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