貸金業務取扱主任者の過去問
平成28年度(2016年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問40

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成28年度(2016年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問40 (訂正依頼・報告はこちら)

AはBに対して貸付金債権(以下、本問において「本件債権」という。)を有している。この場合における債権の消滅に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選びなさい。
  • AがCとの間で本件債権をCに譲渡する契約を締結し、AからBにその旨の債権譲渡通知が有効になされた後に、当該契約は解除された。その後、Bは、Cから本件債権の弁済の請求を受けてCに弁済した。Bが、当該契約が解除されたことを過失なく知らなかった場合、BがCに対してした弁済は、その効力が認められる。
  • Aが本件債権を有する一方で、BはAに対して不法行為に基づく損害賠償債権を有する場合、Aは、本件債権と当該損害賠償債権とを相殺することができない。
  • Aが死亡し、Bがその唯一の相続人としてAを相続した場合、本件債権が第三者の権利の目的であるときを除き、本件債権は、混同により消滅する。
  • Aが、B及びDとの間で、本件債権を消滅させてDのBに対する貸付金債権を生じさせる旨の債権者の交替による更改の契約を締結する場合、当該更改の契約は、確定日付のある証書によってしなければその効力を生じない。

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この過去問の解説 (1件)

01

債権の消滅について、ケース別の事例を学習しましょう。

選択肢1. AがCとの間で本件債権をCに譲渡する契約を締結し、AからBにその旨の債権譲渡通知が有効になされた後に、当該契約は解除された。その後、Bは、Cから本件債権の弁済の請求を受けてCに弁済した。Bが、当該契約が解除されたことを過失なく知らなかった場合、BがCに対してした弁済は、その効力が認められる。

適切です。

 

受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します(民法478条)。これは、債権譲渡の保護規定によるものです。

選択肢2. Aが本件債権を有する一方で、BはAに対して不法行為に基づく損害賠償債権を有する場合、Aは、本件債権と当該損害賠償債権とを相殺することができない。

適切です。

 

本肢ではAが不法行為による債務者であるため、Aから相殺することはできないとされています。

民法509条により、次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができません。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでありません。

 一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務

 二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)

選択肢3. Aが死亡し、Bがその唯一の相続人としてAを相続した場合、本件債権が第三者の権利の目的であるときを除き、本件債権は、混同により消滅する。

適切です。

 

債権及び債務が同一人に帰属したときは、債権債務が消滅する「混同」が成立します。ただし、第三者の権利の目的となっている場合は、混同は認められません。(民法520条)。

選択肢4. Aが、B及びDとの間で、本件債権を消滅させてDのBに対する貸付金債権を生じさせる旨の債権者の交替による更改の契約を締結する場合、当該更改の契約は、確定日付のある証書によってしなければその効力を生じない。

適切ではありません。

 

債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができます。(民法515条)確定日付のある証書は第三者の対抗要件であって、これがなければ効力が生じないものではありません。

まとめ

相殺とは、 互いに債権債務関係にある者が、それぞれの債権債務を消滅させることをいい、混同とは 債権者と債務者が同一の者となることをいいます。また、債権者の交替による更改もあります。

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