貸金業務取扱主任者の過去問
平成29年度(2017年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問30

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成29年度(2017年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、Bに対し、AB間の金銭消費貸借契約に基づく貸付金債権(以下、本問において「本件債権」という。)を有している。この場合に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • Bは、本件債権についての時効の利益を、あらかじめ放棄することができる。
  • 本件債権の時効期間が経過した場合、本件債権が時効により消滅したことをBが援用しなくても、裁判所がこれによって裁判をすることができる。
  • Aは、本件債権の時効期間中に、本件債権の履行を催告する文書をBに送付し、当該文書がBに到達した。この場合、Aが、6か月以内に、本件債権についての裁判上の請求その他民法第153条(催告)に規定する手続を行わなければ、本件債権の時効の中断の効力は生じない。
  • 本件債権の時効期間が経過した後に、BがAを被告として本件債権の不存在の確認を求める訴訟を提起した場合において、本件債権が時効により消滅し存在しないことを認める判決がなされたときは、当該判決が確定した時点において、本件債権の時効の効力が生じる。

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この過去問の解説 (1件)

01

時効の概念、時効の中断、時効の援用など、時効に関する基本的事項を理解しましょう。

選択肢1. Bは、本件債権についての時効の利益を、あらかじめ放棄することができる。

適切ではありません。

 

時効の利益は、あらかじめ放棄することができません(民法146条)。

選択肢2. 本件債権の時効期間が経過した場合、本件債権が時効により消滅したことをBが援用しなくても、裁判所がこれによって裁判をすることができる。

適切ではありません。

 

時効は、当事者がその援用をしなければ、裁判所は自動的に時効を適用して裁判を行うことができません。消滅時効においては、当事者に加えて、保証人や物上保証人、第三取得者など、権利の消滅によって正当な利益を有する者も援用することができます。つまり、時効を主張するのは当事者自身の責任であり、裁判所はその主張がない限り、時効を認めることはありません(民法145条)。

選択肢3. Aは、本件債権の時効期間中に、本件債権の履行を催告する文書をBに送付し、当該文書がBに到達した。この場合、Aが、6か月以内に、本件債権についての裁判上の請求その他民法第153条(催告)に規定する手続を行わなければ、本件債権の時効の中断の効力は生じない。

適切です。

 

催告があった場合、時効の完成はその時から6か月間猶予されます。ただし、催告による時効の完成猶予期間中に再度催告が行われたとしても、最初の催告からの猶予期間が引き続き適用されるため、再度の催告によって新たに時効が停止することはありません(民法153条)。

選択肢4. 本件債権の時効期間が経過した後に、BがAを被告として本件債権の不存在の確認を求める訴訟を提起した場合において、本件債権が時効により消滅し存在しないことを認める判決がなされたときは、当該判決が確定した時点において、本件債権の時効の効力が生じる。

適切ではありません。

 

催告によって時効の完成が猶予されている間に再度行われた催告は、時効の完成猶予の効力を有しないとされています。これは、最初の催告によって時効の完成が猶予された場合、その猶予期間内に行われた再催告は、新たな猶予期間を開始させることはないという意味です。

まとめ

時効は、債権回収の場面で非常に重要な概念であり、債権者・債務者双方にとって理解しておくべきものです。

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