貸金業務取扱主任者の過去問
平成29年度(2017年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問31

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成29年度(2017年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

質権及び抵当権に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • 質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
  • 質権の設定は、債権者と質権設定者との間で質権設定契約が締結されれば、質権設定者が債権者にその目的物を引き渡さなくても、その効力を生ずる。
  • 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、抵当権設定契約の締結日付の先後による。
  • 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の3年分についてのみその抵当権を行使することができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

質権と抵当権は、どちらも債権の担保として用いられる重要な制度ですが、その性質や設定方法の違いについて理解しましょう。

選択肢1. 質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

適切です。

 

質権は、原則として、設定行為に特別の取り決めがない限り、以下の項目を担保します。

・元本
・利息
・違約金
・質権の実行に要した費用
・質物の保存に要した費用
・債務不履行や質物の隠れた瑕疵による損害賠償
ただし、設定行為において特別な定めがある場合、その内容に従うことになります(民法346条)。

選択肢2. 質権の設定は、債権者と質権設定者との間で質権設定契約が締結されれば、質権設定者が債権者にその目的物を引き渡さなくても、その効力を生ずる。

適切ではありません。

 

質権は、債権者に目的物を引き渡すことによって効力を生じます。
したがって、質権設定契約を締結しただけでは効力は発生せず、実際に目的物が引き渡されて初めて、質権としての効力が成立します(民法344条)。

選択肢3. 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、抵当権設定契約の締結日付の先後による。

適切ではありません。

 

同一の不動産に複数の抵当権が設定された場合、その抵当権の順位は、登記の先後によって決まり、先に登記をした抵当権が優先権を持ちます。(民法373条)。

選択肢4. 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の3年分についてのみその抵当権を行使することができる。

適切ではありません。

 

抵当権者は、後順位抵当権者やその他の正当な利益を有する第三者が存在する場合、その満期となった最後の2年分に限り、抵当権を行使することができます。これは、後順位者や第三者の利益を保護するための規定です。(民法375条1項)。

まとめ

質権と抵当権は、どちらも債権の担保として用いられる重要な制度ですが、その性質や設定方法に違いがあります。この問題を通して、質権と抵当権の違い、特に質権の担保範囲について理解を深めましょう。

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