貸金業務取扱主任者の過去問
平成29年度(2017年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問32

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成29年度(2017年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

債務不履行の責任等に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
  • 債務の不履行に関して債権者に過失があったときであっても、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定めることはできない。
  • 当事者が債務の不履行について損害賠償の額を予定した場合であっても、当事者の一方が実際に生じた損害の額を証明したときは、裁判所は、当事者が予定した損害賠償の額を増減することができる。
  • 金銭の給付を目的とする債務の不履行に基づく損害賠償の額は、当事者間で利息の約定がなされていた場合、約定利率と法定利率のうち低い利率をもって計算された額となる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

債務不履行の責任等について、損害賠償の範囲とその過失関係について理解しましょう。

選択肢1. 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

適切です。

 

債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることを目的としています(民法416条)。
ただし、特別な事情に起因する損害についても、債務者がその特別事情を予見または予見可能であった場合には、債権者はその損害賠償を請求することができます(同条2項)。この規定は、通常損害と特別損害を区別しつつ、予見可能性がある範囲での損害賠償を認めるものです。

 

選択肢2. 債務の不履行に関して債権者に過失があったときであっても、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定めることはできない。

適切ではありません。

 

債務の不履行や、それにより損害が発生または拡大した場合に、債権者側に過失があったとき、裁判所はその過失を考慮し、損害賠償の責任の範囲や賠償額を調整して定めます(民法418条)。これは、双方の責任割合を公平に考慮して損害の分担を決める制度です。

選択肢3. 当事者が債務の不履行について損害賠償の額を予定した場合であっても、当事者の一方が実際に生じた損害の額を証明したときは、裁判所は、当事者が予定した損害賠償の額を増減することができる。

適切ではありません。

 

契約当事者は、債務の不履行が生じた場合に備えて、損害賠償の額をあらかじめ定めておくことができます(民法420条)。例えば、遅延損害金の額を事前に取り決めておくことがこれに該当します。このような取り決めを損害賠償額の予定といい、合意された額は実際の損害額にかかわらず適用されるのが原則です。⇒改正民法では、裁判所が増減させることは可能と解されています。

選択肢4. 金銭の給付を目的とする債務の不履行に基づく損害賠償の額は、当事者間で利息の約定がなされていた場合、約定利率と法定利率のうち低い利率をもって計算された額となる。

適切ではありません。

 

金銭の給付を目的とする債務が履行されない場合、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定め、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率によるものとされています。(民法419条1項)

 

まとめ

債務不履行の責任は、債務者の責めに帰すべき事由がある場合に発生し、損害賠償の範囲は、契約の内容、当事者の関係、損害の発生状況などによって異なります。

参考になった数0