貸金業務取扱主任者の過去問
平成29年度(2017年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問38

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成29年度(2017年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問38 (訂正依頼・報告はこちら)

AのBに対する貸付金債権(以下、本問において「本件債権」という。)の譲渡に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選びなさい。なお、本件債権について、AとBとの間で譲渡禁止の特約はなされていないものとする。また、本件債権の弁済その他本件債権の消滅に係る事由は一切生じていないものとする。
  • Aが本件債権をCに譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、Bが承諾をした。この場合、Cは、当該債権譲渡をBに対抗することができる。
  • Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書によらない通知をし、当該通知がBに到達した後に、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。
  • Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、BがAに対して確定日付のある証書によらない承諾をした後、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。
  • Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、いずれの債権譲渡についても、Bに対して確定日付のある証書による通知がなされた。この場合、AC間の債権譲渡の通知がAD間の債権譲渡の通知よりも先にBに到達したときであっても、AD間の債権譲渡の通知に係る確定日付がAC間の債権譲渡の通知に係る確定日付よりも早い日であれば、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

債権譲渡について、時系列と証書の効力を整理しながら学習していきましょう。

選択肢1. Aが本件債権をCに譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、Bが承諾をした。この場合、Cは、当該債権譲渡をBに対抗することができる。

適切です。

 

債務者であるBが、債権譲渡を承諾した場合、譲受人であるCは、その債権譲渡をBに対して対抗することができます(民法467条1項)。

選択肢2. Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書によらない通知をし、当該通知がBに到達した後に、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

適切です。

 

債権譲渡の通知または承諾は、確定日付のある証書を用いて行わなければ、債務者以外の第三者に対抗することができません(民法467条2項)。このため、確定日付のある証書を用いて通知を行ったDが優先されます。確定日付のある証書によって通知された場合、第三者に対してその債権譲渡の効力が主張できるため、Dが優先的にその権利を行使できることになります。

選択肢3. Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、BがAに対して確定日付のある証書によらない承諾をした後、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

適切です。

 

債権譲渡の通知または承諾は、確定日付のある証書を用いて行わなければ、債務者以外の第三者に対抗することができません(民法467条2項)。よってDは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができます。

選択肢4. Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、いずれの債権譲渡についても、Bに対して確定日付のある証書による通知がなされた。この場合、AC間の債権譲渡の通知がAD間の債権譲渡の通知よりも先にBに到達したときであっても、AD間の債権譲渡の通知に係る確定日付がAC間の債権譲渡の通知に係る確定日付よりも早い日であれば、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

適切ではありません。

 

確定日付のある証書による通知がなされた場合、その通知が到達した順序ではなく、確定日付が早い通知が優先されます。

まとめ

債権譲渡は、民法上重要な制度であり、その効力発生や優先順位については、様々な規定が設けられています。特に、複数の譲渡人がいる場合、どの譲渡人が優先されるのかを正確に把握しておく必要があります。

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