貸金業務取扱主任者の過去問
平成30年度(2018年)
法及び関係法令に関すること 問8
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問題
貸金業務取扱主任者資格試験 平成30年度(2018年) 法及び関係法令に関すること 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
次の記述のうち、貸金業法第 13 条の 2(過剰貸付け等の禁止)第 2 項に規定する個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として貸金業法施行規則第 10 条の 23 で定めるものに該当するものを 1 つだけ選びなさい。
- 個人顧客が特定費用を支払うために必要な資金の貸付けに係る契約(極度方式基本契約ではないものとする。)として当該個人顧客と貸金業者との間に締結される契約であって、当該契約が当該個人顧客の返済能力を超えない貸付けに係る契約であると認められ、当該契約の貸付けの金額が 50 万円を超えず(当該個人顧客は、当該契約以外の貸付けに係る契約を一切締結していないものとする。)、返済期間が 1 年を超えないもの
- 事業を営む個人顧客に対する貸付けに係る契約であって、実地調査、当該個人顧客の直近の確定申告書の確認その他の方法により当該事業の実態が確認されているか、又は当該個人顧客の事業計画、収支計画及び資金計画に照らし、当該個人顧客の返済能力を超えない貸付けに係る契約であると認められるもの
- 金融機関(預金保険法第 2 条第 1 項に規定する金融機関をいう。)からの貸付け(以下、本問において「正規貸付け」という。)が行われるまでのつなぎとして行う貸付けに係る契約(極度方式基本契約を除く。)であって、正規貸付けが行われることが確実であると認められ、かつ返済期間が 1 か月を超えないもの
- 個人顧客が既に貸金業者以外の者と締結した契約に基づき負担している債務(以下、本問において「既存債務」という。)を弁済するために必要な資金の貸付けに係る契約であって、当該契約の 1 か月の負担が既存債務に係る 1 か月の負担を上回るが、当該個人顧客が当該契約に基づき将来支払うべき返済金額の合計額が既存債務について将来支払うべき返済金額の合計額を上回らないもの
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この過去問の解説 (1件)
01
この問題では何が個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約にあたるか、あたらないかを問われています。
本来、貸付は年収の1/3までと決められており、それを総量規制と呼んでいます。しかし、一定の条件のもとでは、総量規制を超えた貸付を行うことが可能となります。
この問題の個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約というのは総量規制の例外ともいわれ、いくつかの貸付の条件が挙げられています。また、個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)に対して、総量規制になじまない貸付け(総量規制の除外)というものがあります。総量規制を超えた貸付を行うことができるという点では同じですが、違いもありますのでしっかり分けて覚えるようにしましょう。
個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外):
※借入残高に算入される
1)一方的に顧客の利益となる借換え(1か月の返済金額や総返済額が現在の契約よりも上回らない等)。
2)事業を営む個人顧客への貸付(事業の実態が確認でき、かつ、返済能力を超えない)。
3)緊急性が認められる医療費支払いのための資金の貸付。
4)配偶者と合算した年収における1/3以下の貸付。
(参照:貸金業法施行規則第10条の23)
総量規制になじまない貸付け(総量規制の除外):
※借入残高に算入されない
1)不動産購入のための貸付。
2)自動車購入にあたって、その自動車を担保にする貸付。
3)高額療養費の貸付。
4)有価証券を担保とする貸付。
5)不動産を担保とする貸付。(なお、個人顧客または担保提供者の居宅等は除く)
6)売却予定不動産の売却代金によって返済される貸付。
(参照:貸金業法施行規則第10条の21)
(×)該当しない:特定費用を支払うために必要な資金の貸付け(特定緊急貸付契約)に係る契約が個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)への該当にあたって、3つの要件をすべてクリアする必要があります。
1)個人顧客の返済能力を超えない貸付けに係る契約であると認められる。
2)緊急個人顧客合算額(その他の特定費用貸付契約の残高を含む)が10万円を超えない。
3)返済期間が3か月を超えない。
今回は、個人顧客の返済能力を超えない貸し付けではあるものの、当該貸し付けの契約が50万円を超えず、返済期間が1年を超えないものとなっています。1)はクリアしていますが、2)と3)はクリアしてしていない状態です。
よって個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)に該当しません。(参照:貸金業法施行規則10条の23第1項2の2)
(×)該当しない:事業を営む個人顧客に対する貸付が、個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)となるには、「その事業の実態が確認され、かつ、個人顧客の返済能力を超えない」という要件をクリアしないといけません。文章は「その事業の実態が確認され、または、個人顧客の返済能力を超えない」となっているため、要件をクリアしていないものとなってます。
個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)に該当しません。(参照:貸金業法施行規則10条の23第4項)
(〇)該当する:金融機関からの貸付までのつなぎとして行う貸し付けに係る契約(極度方式基本契約を除く)が個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)となるには、「正規の貸付が行われることが確実であると認められ、かつ返済期間が1か月を超えない」という要件をクリアしないといけません。
よって、個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)に該当します。(参照:貸金業法施行規則10条の23第1項6号)
(×)該当しない:借り換えの契約が個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)となるには、借り換えの契約内容が現在の契約の内容よりも個人顧客に対して利益となるものでないといけません。主に次の要件をクリアする必要があります。
1)借り換え後の金利が現在の契約における金利より上回らない。
2)借り換え後の1か月の返済金額が現在の契約における返済金額より上回らない。
3)借り換え後の総返済額が現在の契約における総返済額より上回らない。
4)借り換えの担保・保証に係る要件が現在の契約条件より厳しくならない。
今回は、「借り換え後、1か月の返済額では現在の契約における返済金額を上回ってしまうが、返済総額は減少する」ものであるため、個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)には該当しません。(参照:貸金業法施行規則10条の23第1項1号イ)
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