貸金業務取扱主任者の過去問 令和3年度(2021年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問28
この過去問の解説 (1件)
意思表示の問題は、頻繁に出題されます。
専門用語を正しく理解しているかも、重要なポイントになるため、理解できていなければ復習しましょう。
■心裡留保の効果
心裡留保とは、表意者が真意でないことを知りながらする意思表示を指します。
イメージとしては「この家タダであげる!」と冗談を言うことと考えてください。
心裡留保は、原則として有効ですが、相手方が悪意又は有過失であるときは無効とされます。
■虚偽表示の効果
虚偽表示とは、相手方と通じて虚偽の意思表示をすることです。
一方が「うちの土地がこのままだと競売されるかもしれないから、名義変更するのを手伝って」と頼み、もう一方が「了解!」と口裏を合わせるのをイメージしましょう。
そして、民法では「相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効とする」と定められています。
また「虚偽表示による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」と定められているため、注意が必要です。
■錯誤の効果
錯誤とは、簡単にいうと「思い違い」のことです。
民法上では、さらに以下の2つに分けられます。
・表示の錯誤:意思を決定してから表示行為に至るまでの思い違い(例:1,000円を1,000万円と表示した)
・動機の錯誤:法律行為の基礎とした事情についての思い違い(例:近くに駅が新設されると聞いて家を買ったけどデマだった)
民法上は、これらの錯誤のいずれかに該当した際は、意思表示を取消できるとされています。
ただし、同期の錯誤については法律行為の基礎とした事情が表示されたときに限ります。
■強迫の効果
強迫とは、「さっさと金貸さないとぶっとばすぞ!」など他人に脅されることです。
民法では、意思表示をした者を保護するため、強迫による意思表示であれば取り消すことができるとしました。
なお、詐欺の場合と違い、相手方を保護する必要がないため、善意・無過失の第三者であっても対抗できます。
(×)
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする(民法93条1項)。
→選択肢と矛盾するため誤り。
(〇)
相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする(民法94条1項)。この無効は、善意の第三者に対抗することができない(民法94条2項)。
→選択肢と矛盾する部分はない。
(×)
表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤を理由とした取消しは、 その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる(民法95条2項)。
→選択肢と矛盾するため誤り。
(×)
強迫による意思表示は、取り消すことができる(民法96条1項)。強迫は詐欺と異なり善意の第三者にも対抗できる。
→選択肢と矛盾するため誤り。
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