貸金業務取扱主任者の過去問 令和3年度(2021年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問32
この過去問の解説 (1件)
相殺とは、簡単にいうと「差し引きをして帳消しにする」ことです。
また、期限の利益(返済期日が到来するまでは返済しなくても良い)があるため、双方の債務が弁済期にあるときでないと相殺は許されません(民法505条1項)。
つまり、どちらか一方の債権(例:借入金)の返済期日が到来していない状態では、相殺はできないと考えましょう。
これらの基本知識を踏まえ、それぞれの選択肢について検討します。
(×)
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない(民法505条1項)。甲債権の期日が未到来の状況で乙債権(Aから見たら債務)と相殺はできない。
→本問の場合、双方の債権の弁済期が異なるため、遅い方の弁済期が到来しないと相殺はできない(つまり、11月1日にならないと相殺の話すらできない)。
選択肢と矛盾するため、誤り。
(×)
相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない(民法506条1項)。
→条件を付することは相手方の地位を不安定にし、期限を付することは相殺の遡及効により無意味となるため無意味である。
選択肢と矛盾するため、誤り。
(〇)
時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる(民法508条)。
→選択肢と矛盾する点はないため、正しい。
(×)
差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない(民法511条2項)。
→選択肢と矛盾するため、誤り。
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