貸金業務取扱主任者 過去問
令和5年度(2023年)
問31 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問4)

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 令和5年度(2023年) 問31(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

債権の目的及び効力に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
  • 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とし、特別の事情によって生じた損害については、損害賠償の対象とならない。
  • 債権者は、債務者が金銭債務の履行をしない場合、その不履行が不可抗力によるものであるときを除き、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
  • 債権者と債務者との間で金銭債務の不履行について賠償額の予定をしなかったときは、債権者は、その債務不履行による損害賠償については、その損害額を証明しなければならない。

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この過去問の解説 (2件)

01

民法の債権は範囲が非常に広いですが、出題論点は限られます。

自分が今、債権のどこを勉強しているか意識すると、頭に入ってきやすいです。

選択肢1. 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

この選択肢は正解です。

 

設問の通りです。

なお、他人の財産を管理している場合の多くが善管注意義務です。

自己の財産におけるのと同一の注意義務は少ないケースで、例えば無報酬で預かっている場合などです。

選択肢2. 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とし、特別の事情によって生じた損害については、損害賠償の対象とならない。

この設問は誤りです。

 

特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができます。

選択肢3. 債権者は、債務者が金銭債務の履行をしない場合、その不履行が不可抗力によるものであるときを除き、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。

この設問は誤りです。

 

その不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは適用外です。

選択肢4. 債権者と債務者との間で金銭債務の不履行について賠償額の予定をしなかったときは、債権者は、その債務不履行による損害賠償については、その損害額を証明しなければならない。

この設問は誤りです。

 

金銭の給付を目的とする債務の不履行については、債権者は損害の証明をすることを要しません。

まとめ

少し難易度の高めな設問が続きました。

しかし正解の選択肢については債権総論の基本中の基本なので、ここがスムーズにわかれば正答に近づけたはずです。

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02

 債権の目的及び効力に関する出題です。

選択肢1. 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

 民法400条により、「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない」とされるので、適切です。

選択肢2. 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とし、特別の事情によって生じた損害については、損害賠償の対象とならない。

 民法416条1項により、「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」とされ、同条2項により、「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」とされます。

 つまり、「損害賠償の対象とならない」という部分が、適切ではありません。

選択肢3. 債権者は、債務者が金銭債務の履行をしない場合、その不履行が不可抗力によるものであるときを除き、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。

 民法415条1項により、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」とされます。

 つまり、「その不履行が不可抗力によるものであるときを除き、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」という部分が、適切ではありません。

選択肢4. 債権者と債務者との間で金銭債務の不履行について賠償額の予定をしなかったときは、債権者は、その債務不履行による損害賠償については、その損害額を証明しなければならない。

 民法419条1項により、「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」とされ、同条2項により、「前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。」とされ、同法420条1項により、「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。」とされます。

 つまり、「その損害額を証明しなければならない」という部分が、適切ではありません。

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