貸金業務取扱主任者 過去問
令和6年度(2024年)
問31 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問4)
問題文
Aは、Bとの間で金銭消費貸借契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結しBに金銭を貸し付けた。本件契約では、元本10万円、利息年1割5分(15%)、元利一括返済方式とする旨の約定がなされており、遅延損害金に関する定めは存在しない。Bは、本件契約で定める返済期限が経過したにもかかわらず、借入金をAに返済していない。この場合に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
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問題
貸金業務取扱主任者資格試験 令和6年度(2024年) 問31(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
Aは、Bとの間で金銭消費貸借契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結しBに金銭を貸し付けた。本件契約では、元本10万円、利息年1割5分(15%)、元利一括返済方式とする旨の約定がなされており、遅延損害金に関する定めは存在しない。Bは、本件契約で定める返済期限が経過したにもかかわらず、借入金をAに返済していない。この場合に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
- Aは、Bに対し、返済期限の翌日から借入金が完済されるまで、借入金の残額に約定利率年1割5分(15%)の割合を乗じた額の遅延損害金を請求することができる。
- Aは、Bに対し、返済期限の翌日から借入金が完済されるまで、借入金の残額に約定利率年1割5分(15%)と法定利率年3分(3%)を合計した年1割8分(18%)の割合を乗じた額の遅延損害金を請求することができる。
- Aは、Bに対し、返済期限の翌日から借入金が完済されるまで、借入金の残額に法定利率年3分(3%)の割合を乗じた額の遅延損害金しか請求することができない。
- Aは、Bが借入金の返済を遅延したことにより被った損害を証明しなければ、Bに対し、当該証明した額の遅延損害金を請求することができない。
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この過去問の解説 (1件)
01
A(貸主)とB(借主)は、金銭消費貸借契約を結びました。
この契約では、元本10万円、利息年15%、元利一括返済方式が約束されています。
しかし、遅延損害金についての取り決めはありません。
では、Bが返済期限を過ぎてもお金を返さなかった場合、Aはどれくらいの遅延損害金を請求できるのでしょうか。
遅延損害金とは
遅延損害金とは、お金を返すのが遅れたことによる損害を補償するために支払うものです。
契約で特に決めていない場合、法律で定められた「法定利率」に基づいて計算されます。
法定利率について
民法では、2020年の改正以降、法定利率は年3%と定められています。
つまり、契約で遅延損害金について決めていない場合、貸主(A)は法定利率3%に基づいて請求することになります。
正しいです。
民法第419条第1項・第2項により、利息を定めている場合はその利率が遅延損害金の利率とみなされます。
本件では、約定利率が年15%であり、これは利息制限法の上限(年15%)以内なので、そのまま適用可能です。
よって、AはBに対し、年15%の遅延損害金を請求できます。
誤りです。
約定利率(15%)が適用されるのは正しいが、これに法定利率(3%)を追加して合算することはできません。
民法第419条では、「利息を定めている場合はその利率を遅延損害金の利率とする」と規定しており、法定利率と合算する規定はありません。
誤りです。
法定利率3%は、「利息を定めていない場合」に適用されます。
本件では、契約で年15%の利息が定められているため、遅延損害金の利率も年15%が適用されます。
よって、Aは年3%ではなく、年15%で遅延損害金を請求できます。
誤りです。
遅延損害金は、特に損害の証明をしなくても、民法の規定に基づいて請求可能です(民法第419条)。
つまり、AはBに対して、損害の証明をせずに契約上の利率(年15%)で遅延損害金を請求できます。
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