公立学校教員の過去問
令和2年度（令和3年度採用）
中学校に関する問題 問26

正答は 3 （ア―B・イ―A・ウ―C）です。

「中学校学習指導要領解説特別の教科 道徳編」によると、内容は以下のとおりです。


Ａ　主として自分自身に関すること
（１）自律の精神を重んじ，自主的に考え，判断し，誠実に実行してその結果に責任をもつこと。
（２）望ましい生活習慣を身に付け，心身の健康の増進を図り，節度を守り節制に心掛け，安全で調和のある生活をすること。
（３）自己を見つめ，自己の向上を図るとともに，個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
（４）より高い目標を設定し，その達成を目指し，希望と勇気をもち，困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
（５）真実を大切にし，真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。・・・イ

Ｂ　主として人との関わりに関すること
（６）思いやりの心をもって人と接するとともに，家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し，進んでそれに応え，人間愛の精神を深めること。
（７）礼儀の意義を理解し，時と場に応じた適切な言動をとること。・・・ア
（８）友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち，互いに励まし合い，高め合うとともに，異性についての理解を深め，悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
（９）自分の考えや意見を相手に伝えるとともに，それぞれの個性や立場を尊重し，いろいろなものの見方や考え方があることを理解し，寛容の心をもって謙虚に他に学び，自らを高めていくこと。

Ｃ　主として集団や社会との関わりに関すること
（10）法やきまりの意義を理解し，それらを進んで守るとともに，そのよりよい在り方について考え，自他の権利を大切にし，義務を果たして，規律ある安定した社会の実現に努めること。
（11）正義と公正さを重んじ，誰に対しても公平に接し，差別や偏見のない社会の実現に努めること。
（12）社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め，公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。
（13）勤労の尊さや意義を理解し，将来の生き方について考えを深め，勤労を通じて社会に貢献すること。
（14）父母，祖父母を敬愛し，家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。・・・ウ
（15）教師や学校の人々を敬愛し，学級や学校の一員としての自覚をもち，協力し合ってよりよい校風をつくるとともに，様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。
（16）郷土の伝統と文化を大切にし，社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め，地域社会の一員と
しての自覚をもって郷土を愛し，進んで郷土の発展に努めること。
（17）優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに，日本人としての自覚をもって国を愛し，国家及び社会の形成者として，その発展に努めること。
（18）世界の中の日本人としての自覚をもち，他国を尊重し，国際的視野に立って，世界の平和と人類の発展に寄与すること。

Ｄ　主として生命や自然，崇高なものとの関わりに関すること
（18）生命の尊さを知り，生命あるものを大切にすること。
（19）自然のすばらしさや不思議さを感じ取り，自然や動植物を大切にすること。
（20）美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。

正答は 3（ア―B・イ―A・ウ―C）です。

道徳の「内容」に示されている四つの視点について要点を確認していくと、

Ａ　主として自分自身に関すること

　［自主，自律，自由と責任］

　［節度，節制］

　［向上心，個性の伸長］

　［希望と勇気，克己と強い意志］

　［真理の探究，創造］～イ

　　　真実を大切にし，真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。

Ｂ　主として人との関わりに関すること

　［思いやり，感謝］

　［礼儀］～ア

　　　礼儀の意義を理解し，時と場に応じた適切な言動をとること。

　［友情，信頼］

　［相互理解，寛容］

Ｃ　主として集団や社会との関わりに関すること

　［遵法精神，公徳心］

　［公正，公平，社会正義］

　［社会参画，公共の精神］

　［勤労］

　［家族愛，家庭生活の充実］～ウ

　　　父母，祖父母を敬愛し，家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。

　［よりよい学校生活，集団生活の充実］

　［郷土の伝統と文化の尊重，郷土を愛する態度］

　［我が国の伝統と文化の尊重，国を愛する態度］

　［国際理解，国際貢献］

Ｄ　主として生命や自然，崇高なものとの関わりに関すること

　［生命の尊さ］

　［自然愛護］

　［感動，畏敬の念］

　［よりよく生きる喜び］

【解き方のポイント】

　ウは家族という集団との関わりなので、適切なのはCと分かります。

　そうすると、残る選択肢が（2 .ア ― A　イ ― D）または（3 .ア ― B　イ ― A）です。

　イの真理の探求は見方によってはＤ．崇高なものと考えるかもしれませんが、アの礼儀については、自分だけではなく他人との関わりで必要なものなので、ＡではなくＢと判断できます。

「中学校学習指導要領解説特別の教科 道徳編」は、道徳目標を達成するために指導するべき内容項目を4つの視点に分けて示しています。

A：主として自分自身に関すること
B：主として人との関わりに関すること
C：主として集団や社会との関わりに関すること
D：主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること

ア：礼儀や時と場に応じた適切な言動については、人とのかかわりに関する事項のため、Bと合致します。
イ：真理を探究や創造力に関する事柄は、自分自身に関することのため、Aと合致します。
ウ：家庭生活は集団との関わりに関することのため、Cに合致します。

以上より、正答は3となります。