マンション管理士の過去問
平成28年度(2016年)
問10

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問題

マンション管理士試験 平成28年度(2016年) 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

マンション内で共同利益背反行為を行っている占有者に対して、区分所有者の全員が集会の決議により訴えを提起しようとする場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  • 専有部分を賃借している占有者の共同利益背反行為による共同生活上の障害が著しく、行為の停止を求める請求によってはその障害を除去して共同生活の維持を図ることが困難であるときは、賃借人に対し、相当の期間の賃借人による専有部分の使用の禁止を請求することができる。
  • 占有者が専有部分の転借人であるときに、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを請求するためには、転貸人と転借人に加え、原賃貸人である区分所有者を共同被告として、訴えを提起しなければならない。
  • 専有部分を区分所有者から賃借している占有者に対して、原告ではなく、賃貸人である区分所有者に対して専有部分を直接に引き渡すよう求めることはできない。
  • 区分所有者及び区分所有者から専有部分を賃借している占有者に対して、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための決議をするには、あらかじめ区分所有者に対して弁明の機会を与えなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解】3
正しい選択肢を選ぶ問題です。

1:× 専有部分の使用禁止の請求ができるのは、区分所有者に対してです。占有者に対しては、占有する専有部分の使用または収益を目的とする契約の解除とその専有部分の引き渡しを請求することができます。

2:× 転貸人と転借人を共同被告として訴えを提起すればよく、原賃貸人である区分所有者を共同被告とする必要はありません。

3:○ 原告に対する引き渡しであり、貸主に対する引き渡しではありません。よって正しい選択肢です。

4:× 区分所有者及び区分所有者から専有部分を賃借している占有者に対して、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための決議をしようとするとき、占有者に弁明の機会を与える必要はありますが、区分所有者に対しては不要です。

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02

正答は 3 です。

1.専有部分を賃借している占有者の共同利益背反行為によって区分所有者の共同生活が著しく害され、他の方法によっては共用部分の利用その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、占有する専有部分の使用または収益を目的とする契約の解除とその専有部分の引き渡しを請求することができます。
相当の期間の賃借人による専有部分の使用の禁止を請求できるのではありません。
よって、この設問は誤りです。

2.請求の目的は専有部分の使用または収益を目的とする契約を解除し、その引き渡しを求めることです。
この場合の契約とは転貸借契約のことであり、占有者である転借人と転貸人との間の契約です。訴えを提起する相手方は、転貸借契約を結んでいる転借人と転貸人となります。
よって、この設問は誤りです。

3.判決により契約が解除され、引き渡しが命じられた場合、この引き渡しの判決に基づいて専有部分の引き渡しを受けた原告は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する賃貸人に専有部分を引き渡さなくてはなりません。
したがって、原告ではなく、賃貸人である区分所有者に対して専有部分を直接引き渡すよう求めることはできません。

4.共同利益背反行為を行っているのは占有者であり、違反者でもなく、建物から出ていくよう請求されるわけでもない区分所有者に対し、弁明の機会を与える必要はありません。弁明の機会を与えなければならないのは占有者です。
よって、この設問は誤りです。

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03

 区分所有法の規定及び判例に関する出題です。

選択肢1. 専有部分を賃借している占有者の共同利益背反行為による共同生活上の障害が著しく、行為の停止を求める請求によってはその障害を除去して共同生活の維持を図ることが困難であるときは、賃借人に対し、相当の期間の賃借人による専有部分の使用の禁止を請求することができる。

 区分所有法57条1項により、「区分所有者建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。」とされ、同法58条1項により、「前条1項に規定する場合において、区分所有者建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条1項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。」とされます。

 つまり、「賃借人に対し」という部分が、誤りになります。

選択肢2. 占有者が専有部分の転借人であるときに、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを請求するためには、転貸人と転借人に加え、原賃貸人である区分所有者を共同被告として、訴えを提起しなければならない。

 区分所有法60条1項により、「占有者建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。」とされます。

 つまり、「転貸人と転借人に加え、原賃貸人である区分所有者を共同被告として」という部分が、誤りになります。

選択肢3. 専有部分を区分所有者から賃借している占有者に対して、原告ではなく、賃貸人である区分所有者に対して専有部分を直接に引き渡すよう求めることはできない。

 区分所有法60条1項により、「占有者建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。」とされるので、正しいです。

選択肢4. 区分所有者及び区分所有者から専有部分を賃借している占有者に対して、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための決議をするには、あらかじめ区分所有者に対して弁明の機会を与えなければならない。

 区分所有法60条2項により、「専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための決議をするには、あらかじめ、当該占有者に対し弁明する機会を与えなければならない。」とされます。

 つまり、「区分所有者に対して」という部分が、誤りになります。

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