マンション管理士の過去問 令和元年度(2019年) 問17
この過去問の解説 (3件)
正答は 1 です。
親権を行う父または母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
利益相反行為は、具体的には以下の行為のことをいいます。
・夫が死亡し、妻と未成年者で遺産分割協議をする行為
・親権者の債務の担保のため、未成年者が所有する不動産に(根)抵当権を設定する行為
・相続人である母(または父)が未成年者についてのみ相続放棄の申述をする行為
1.配偶者Bが金融機関から自己を債務者として融資を受けるに当たり、未成年の子Cの持分に係る抵当権を設定する行為は、利益相反行為に当たり、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
2.配偶者Bが、自己の持分を「無償で」子Cに譲渡する行為は、未成年の子の不利益とはならず利益相反行為にあたりません。したがって、特別代理人の選任を請求する必要はありません。
よって、この設問は誤りです。
3.「利益相反行為に該当するかどうかは、親権者が子を代理してなした行為自体を外形的客観的に考察して判定すべきであって、当該代理行為をなすについての親権者の動機、意図をもって判定すべきではない。」と解されています。(昭和42年4月18日 最高裁判所 判例)
親権者が子と共同相続した不動産を第三者に売却する場合に、親権者が子の代理人になることは、いわば第三者に対する味方側になることであって利益相反行為にあたりません。したがって、特別代理人の選任を請求する必要はありません。
よって、この設問は誤りです。
4.201 号室に係る固定資産税等の公租公課は、登記名義人(相続人)が負担します。未成年者が相続した場合も、持分に応じ支払い義務が生じます。通常は未成年者には支払う能力がないので保護者が負担しますが、未成年者が支払うことも可能です。この場合、特別代理人の選任を請求する必要はありません。
よって、この設問は誤りです。
1.正しい。
Bは未成年Cの法定代理人です。
Bの法律行為は、Cの同意が必要になります。
民法第5条1項では、
「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」
と定めています。
しかし、Bが金融機関から融資を受け、そのために、Cの持分まで抵当権を設定すると、
BがとCとで利益が相反しますので、Cが不当に害される恐れがあります。
そこで、このような場合には、家庭裁判所にCのための特別代理人を請求する
必要があります。
2.正しくない。
選択肢1で説明したように、未成年は、単に権利を得る行為は
単独でできます。
Bの持分を譲渡されるのは、Cにとって権利を得る行為なので、
特別代理人を請求する必要はありません。
3.正しくない。
選択肢1で説明したように、未成年が法律行為を行う場合には、
その法定代理人の同意が必要です。
未成年Cの法定代理人はBなので、特別代理人を請求する必要はありません。
4.正しくない。
選択肢1で説明したように、未成年が法律行為を行う場合には、
その法定代理人の同意が必要です。
未成年Cが所有している201号室にかかる固定資産税等の公租公課ついても、
Bが法定代理人になりますので、特別代理人を請求する必要はありません。
以上から、正解は1です。
この問題は、区分所有者であるAが死亡し、配偶者Bと未成年の子Cが相続した区分所有権に関する法的な取り扱いを問うものです。
具体的には、抵当権の設定、無償譲渡、売却、公租公課の支払いにおいて、未成年者Cの権利をどのように保護するべきかについて問われています。
正しい
解説:配偶者Bが金融機関から融資を受ける際に、201号室の区分所有権全部に抵当権を設定しようとする場合、未成年者Cの持分に関しても抵当権を設定することになります。
この場合、BとCの利益が相反する可能性があるため、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
これは、未成年者の利益を守るための法的な措置です。
誤り
解説:Bが自己の持分を無償でCに譲渡する場合、これはCにとって利益となる行為です。
したがって、利益相反の状況が生じることはなく、特別代理人を選任する必要はありません。
誤り
解説:201号室の区分所有権全部を第三者に売却する場合、BはCの法定代理人として行動することができます。
この場合、利益相反の状況が生じる可能性は低いため、特別代理人の選任を請求する必要はありません。
誤り
解説:201号室にかかる固定資産税等の公租公課は、所有者であるBとCが支払うべきものです。
未成年者であるCが支払う場合でも、Bが法定代理人として行動することができるため、特別代理人の選任を請求する必要はありません。
この問題を解く際には、未成年者の権利保護と法定代理人の役割に関する法律知識が必要です。
特に、未成年者が関与する取引において、どのような場合に家庭裁判所の許可が必要で、どのような場合に特別代理人の選任が必要かを正確に理解する必要があります。
利益相反の可能性がある取引においては特に注意が必要です。
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