マンション管理士の過去問
令和元年度(2019年)
問16

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問題

マンション管理士試験 令和元年度(2019年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

甲マンションの 305 号室を所有するAは、同室のキッチンの設備が老朽化したことから、業者Bとの間で、その設備を報酬 100 万円でリニューアルする旨の請負契約を締結した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • AB間での請負契約に係る別段の特約のない限り、Aは、Bがリニューアルの工事に着手するのと同時に、報酬 100 万円をBに支払わなければならない。
  • Bは、リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでもAに生じた損害を賠償して請負契約を解除することができる。
  • Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間にAが破産手続開始の決定を受けた場合であっても、Bは、請負契約を解除することができない。
  • Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に瑕疵(かし)があったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、AはBに対し修補を請求することができない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は、4です。

1.誤っている。
請負契約の報酬の支払時期については、
民法第633条本文で、以下のように定めています。
「報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない・・・」

そこで、Aは、リニューアル完成し、引き渡しを受けた時に、報酬100万円を
支払えばよいのです。

2.誤っている。
民法第641条では
「注文者は、請負人が仕事を完成しない間には、
いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」
と規定しています。

しかし、請負人からは、このような契約の解除ができる規定はありません。

3.誤っている。
民法第642条本文では、
「注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。」
と定めています。
Aが、破産手続開始の決定を受けたら、Bは請負契約を解除できます。

4.正しい。
請負契約の瑕疵担保責任については、
民法第559条で、
「この節の規定(売買)は、売買以外の有償契約について準用する」
規定し、第562条で、
「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して
契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、
目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を
請求することができる。
ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。」
と定めています。

そこで、BはAに対して、重要でない瑕疵がある目的物を引き渡しても、
その修理に過分な費用がかかる場合、修補以外の方法を選ぶことができます。

以上から、正解は4です。

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02

正答は 4 です。

1.請負契約の報酬は、原則として、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければなりません。
よって、この設問は誤りです。

2.注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して請負契約の解除をすることができますが、請負人Bから請負契約の解除は行えません。
よって、この設問は誤りです。

3.請負人または破産管財人は、注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、契約の解除をすることができます。
よって、この設問は誤りです。

4.仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができます。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りではありません。

したがって、瑕疵が重要ではない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、注文者Aは請負人Bに対し修補を請求することができません。

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03

この問題は、請負契約に関する民法の規定を理解しているかを問うものです。

具体的には、キッチンのリニューアル工事を巡る請負契約において、報酬の支払い時期、契約解除の条件、破産した場合の取り扱い、瑕疵があった場合の権利について問われています。

選択肢1. AB間での請負契約に係る別段の特約のない限り、Aは、Bがリニューアルの工事に着手するのと同時に、報酬 100 万円をBに支払わなければならない。

誤り

解説:請負契約において報酬は、原則として工事完成後、目的物の引渡しと同時に支払われます。

したがって、工事に着手した時点で報酬を全額支払う必要はありません。

選択肢2. Bは、リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでもAに生じた損害を賠償して請負契約を解除することができる。

誤り

解説:請負人Bは、工事を完成させる前であっても、注文者Aに対して損害を賠償して契約を解除することができます。

この権利は注文者にもありますが、請負人にも存在します。

選択肢3. Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間にAが破産手続開始の決定を受けた場合であっても、Bは、請負契約を解除することができない。

誤り

解説:注文者Aが破産手続開始の決定を受けた場合、請負人Bまたは破産管財人は契約を解除することができます。

したがって、Bは契約を解除することが可能です。

選択肢4. Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に瑕疵(かし)があったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、AはBに対し修補を請求することができない。

正しい

解説:仕事の目的物に瑕疵がある場合、注文者は請負人に対して瑕疵の修補を請求することができます。

しかし、瑕疵が重要でない場合において、修補に過分の費用を要するときは、注文者は修補を請求することができません。

まとめ

この問題を解く際には、請負契約に関する基本的な法律知識を理解している必要があります。

特に、報酬の支払い時期、契約解除の条件、瑕疵担保責任に関する規定を正確に理解し、それを基にして選択肢の内容が正しいかどうかを判断する能力が求められます。

選択肢ごとに具体的な法律条文を基にして判断し、最も適切な選択肢を選ぶことが求められます。

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