精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
精神保健の課題と支援 問11

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健の課題と支援 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

2012年(平成24年)8月に見直しが行われた「自殺総合対策大綱」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 地方公共団体は、「自殺総合対策大綱」で示されている重点施策に関して、網羅的に取り組まなくてはならないとしている。
  • 自殺発生後の遺された人への支援においては、個別心理療法の提供を最も優先している。
  • 2007年(平成19年)に「自殺総合対策大綱」が策定された後も、高齢者の自殺死亡率は一貫して上昇を続けており、新たな対策を求めている。
  • 選択的予防介入とは、自殺行動のリスクの高い人々を集団としてとらえ、その集団を対象とする対策のことである。
  • 都道府県に、自殺の要因となり得る生活困窮、児童虐待、性暴力被害等の支援をワンストップで行う支援機関の設置を求めている。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

正解は4です。

1.都会と農村など地域によってその状況は異なるため、網羅的に取り組むのではなく、地域に応じた施策を講じることが必要です。大綱の中でも「大綱における重点施策を網羅的に取り組むということではなく、地域の実情に応じて必要な重点施策を独自に設定して取組を進める。」と記されています。

2.大綱の「遺された人への支援を充実する」では、「遺された人等に対するケアを行うとともに、必要な情報提供を推進するなど、支援を充実する。また、遺族の自助グループ等の地域における活動を支援する。」と記され、「遺族の自助グループ等の運営支援」「学校、職場での事後対応の促進」「遺族のための情報提供の推進等」「遺族への支援」が挙げられています。個別心理療法の提供は必要ですが、「最も優先」するわけではありません。

3.内閣府の資料によると。2007年(平成19年)の60歳以上の自殺率は33.7%でしたが、2011年(平成23年)の60歳以上の自殺死亡率は60~69歳で32.4%、70~79歳で28.4%、80歳~で29.0%と減少しています。大綱にも「高齢者の自殺死亡率の低下も顕著である。」と記されています。

4.選択的予防介入とは「自殺行動のリスクの高い人々を集団として捉え、その集団を対象とする対策」と大綱内で説明されています。そのほかには「全体的予防介入:リスクの度合いを 問わず万人を対象とする対策」、「個別的予防介入:過去に自殺未遂をした人など、自殺行動のリスクの高い個人を対象とする対策」が挙げられています。

5.大綱では「都道府県及び政令指定市において、様々な分野の関係機関・団体によって構成される自殺対策連絡協議会等の自殺対策の検討の場の設置と同協議会等により地域における自殺対策の計画づくり等が推進されるよう、積極的に働きかけるとともに、情報の提供等適切な支援を行うこととする。また、市町村においても自殺対策担当の部局等が設置されるよう、積極的に働きかける。」と記されています。ワンストップで行う支援機関の設置は「第2次犯罪被害者等基本計画」等で記述が見られますが、都道府県に設置を求める段階ではなく、大綱においても記述は認められません。

参考になった数102

02

正解は4です。

平成24年の自殺総合対策大綱では、「段階ごと、対象ごとの対策を効果的に組み合わせる」としており、「全体的予防介入」「選択的予防介入」「個別的予防介入」が挙げられています。大綱では以下のように説明しています。
 全体的予防介入:リスクの度合いを問わず、万人を対象とする対策
 選択的予防介入:自殺行動のリスクの高い人々を集団として捉え、その集団を対象とする対策。
 個別的予防介入:過去に自殺未遂をした人など、自殺行動野のリスクの高い個人を対象とする対策

 他の選択肢については、以下のとおりです。
 
 1→大綱では「大綱における重点施策を網羅的に取り組むということではなく、地域の実情に応じて必要な重点施策を独自に設定して取組を進める。」とあります。よって誤りです。

 2→大綱では遺された人への支援の充実として、「遺族の自助グループ等の運営支援」「学校、職場での事後対応の促進」「遺族のための情報提供の推進等」「遺族への支援」を挙げています。必要に応じて複合的に用いるべきであり、必ずしも個別心理療法が最優先されるわけではありません。

 3→大綱冒頭の「自殺総合対策の現状と課題」で高齢者の自殺死亡率が低下していること、高齢者向けの対策が功を奏していることが触れられています。よって誤りです。

 5→大綱には「国、地方公共団体、関連団体、民間団体、企業及び国民の役割を明確化し、その連携・協働を推進する」とあります。よって誤りです。

参考:http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/taikou/pdf/20120828/honbun.pdf

参考になった数57