精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問25
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問題
第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 日本精神保健福祉士協会倫理綱領の中で、「倫理基準」の「社会に対する責務」において社会的包摂の実現がうたわれている。
- 国連の「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」(1991年)で、精神障害者を対象に社会的包摂という用語が初めて用いられた。
- ヴォルフェンスベルガー(wolfensberger,W.)は、社会的包摂の核になるものとして「ソーシャルロール・バロリゼーション」を提唱した。
- 国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)による「ソーシャルワークの定義」(2000年)で、社会的包摂の促進努力がソーシャルワークの価値として強調されている。
- ソロモン(Solomon,B.)は、知的障害者の生活を可能な限り通常の生活状態に近づけることとして社会的包摂を提唱した。
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この過去問の解説 (2件)
01
1.精神保健福祉士協会倫理綱領の「倫理基準」の「社会に対する責務」では、「精神保健福祉士は、専門職としての価値・理論・実践をもって、地域および社会の活動に参画し、社会の変革と精神保健福祉の向上に貢献する。」と規定されており、社会的包摂の実現はうたわれていません。
2.1991年の国連の「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」では社会的包摂という用語は用いられていません。
3.ヴォルフェンスベルガーが提唱したソーシャルロール・バロリゼーションは、ノーマライゼーションの原理にかわるものです。
4.IFSWによる「ソーシャルワーカーの定義」は、2014年に「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」として改訂されました。改訂前は「価値」として書かれていた社会的包摂の促進努力は、改訂後も「中核となる任務」として「不利な立場にある人々と連帯しつつ、この専門職は、貧困を軽減し、脆弱で抑圧された人々を解放し、社会的包摂と社会的結束を促進すべく努力する。」と書かれています。
5.ソロモンはエンパワメントを定義しました。「知的障害者の生活を可能な限り通常の生活状態に近づけること」はニィリエがノーマライゼーションの具体的目標として提唱した言葉です。
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02
社会的包摂とは、国民一人ひとりを社会の構成員として取り込むことです。
他の選択肢については以下のとおりです。
1→「社会に対する責務」について「精神保健福祉士は、専門職としての価値・理論・実践をもって地域および社会の活動に参画し、社会の変革と精神保健福祉士の向上に貢献する」と規定されています。社会的包摂とは違います。
2→国連の「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」では「精神疾患を有する者の保護、およびメンタルヘルスケアの進歩に関するもの」について述べられています。
社会的包摂は、1974年フランス社会相、ルネ・レノアールが『排除されたもの、十人のフランス人のうちの一人』で記されたのが最初といわれています。
3→「ソーシャロール・バロリゼーション」とは「社会的役割の実現」のことで、障害がある人たちの人間としての固有の価値の大切さを主張したものです。社会的包摂とは異なります。
5→ソロモンが提唱したのは、エンパワメントの重要性です。エンパワメントとは、個人や集団が自分の人生の主人公となれるように力をつけて、自分自身の生活や環境をコントロールできるようにしていくことです。
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