精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問34

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問題

第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Dさん(68歳、男性)は、30歳でうつ病を発病、入院し、それまで勤めていた会社を退職せざるを得なかった。何度か再発しながらもデイケアで知り合った妻と40歳で結婚し、その翌年に妻の兄が経営するコンビニのパート従業員として働き始め、今は病状も落ち着いている。かつて入院していたU病院に2週間に1回の通院を欠かすことなく、毎月の元ディケア利用者の会合(以下「OB会」という。)にも顔を出して、他のメンバーの相談に乗ることも多い。 OB会では、 E精神保健福祉士がDさんへの対応を主に担っている。
ある日、 Dさんの妻からE精神保健福祉士に電話があり、最近、接客でうっかりミスが目立つようになって心配だという。詳しく話を聞くと、半年くらい前から物忘れをするようになり、年相応のことと考えてあまり気にしていなかったという。 E精神保健福祉士は、先月のOB会でDさんと他のメンバーとの間で「言った、言わない」の行き違いがあった際に、 Dさんと面談したところ、本人も物忘れを気にしていたことを思い出した。主治医の診察により、 Dさんは軽度認知障害の疑いがあると指摘された。それを受けて、次の通院日にE精神保健福祉士は、 Dさんと妻と今後のことについての話合いの場を持った。
Dさんは、引き続きOB会に参加し、これからもパート従業員として働きたいが、そのことを周囲に理解してもらう自信はないと述べた。 E精神保健福祉士は、 Dさんの希望にそいながら日常生活の維持を図るために、日頃から連携の取れている地域包括支援センターなどの関係する専門職間で情報交換を行った。

次のうち、この専門職間のネットワークをピンカス(pincus、 A.)とミナハン(Minahan、 A.)がいう「4つのシステム」として位置づけた場合、適切なものを1つ選びなさい。
  • アクションシステム
  • クライエントシステム
  • ターゲットシステム
  • ワーカーシステム
  • チェンジエージェントシステム

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は1です。

「4つのシステム」とは、チェンジエージェントシステム、クライエントシステム、ターゲットシステム、アクションシステムを指します。それぞれの意味は以下のとおりです。

チェンジエージェントシステムとは、精神保健福祉士などのソーシャルワーカーと所属する社会福祉機関が相互作用するシステムです。

クライエントシステムとは、クライエントやクライエントの家族・地域社会が相互作用するシステムです。

ターゲットシステムとは、精神保健福祉士などのソーシャルワーカーとクライエントの問題解決のために標的(ターゲット)になる相手・状況・社会福祉機関などが相互作用するシステムです。例えば、クライエントの抱えている問題が就労ならば、作業所やハローワークなど仕事に関連するところとの関係を重視します。

アクションシステムとは、クライエントの問題解決のために実際に活動する人たちの間でリアルタイムの相互作用が起こるシステムです。

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02

正解は1です。

1.アクションシステムとは、問題解決のために活動(アクション)している人たちの間で相互作用が起きるシステムです。「Dさんの希望にそいながら日常生活の維持を図る」という問題解決のために「日頃から連携の取れている地域包括支援センターなどの関係する専門職間で情報交換を行った」ことから、アクションシステムが適切といえます。

2.クライエントシステムとは、援助を必要とする個人や家族(クライエント)が相互作用するシステムです。ここでは専門職間のネットワークが問われているため適切ではありません。

3.ターゲットシステムとは、問題解決のために働きかけなければならない対象(ターゲット)と相互作用するシステムです。ここでは専門職間のネットワークが問われているため適切ではありません。

4.ワーカーシステムは、援助者とその援助者が属する組織が相互作用するシステムです。地域包括支援センターなど所属機関以外の複数の機関が協力していることが読み取れるため適切ではありません。

5.チェンジエージェントシステムは、変化を引き起こそうとする援助者の所属組織が相互作用するシステムで、ワーカーシステムと同義です。

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