精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
地域福祉の理論と方法 問112
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問題
第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 地域福祉の理論と方法 問112 (訂正依頼・報告はこちら)
地域福祉にかかわる諸外国の動向や学説に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- ロスによればコミュニティ・オーガニゼーションとは、地域社会を構成するグループ間の協力と協働の関係を調整・促進することで地域社会の問題を解決していく過程であるとされている。
- ヨーロッパにおける若者の労働問題に端を発したノーマライゼーションの思想は、失業や貧困を社会から排除される原因ととらえ、その解消を目指すものである。
- イギリスのNHS及びコミュニティケア法では、地方自治体が必要なサービスを多様な供給主体から購入して、継ぎ目のないサービスを提供することを目標としていた。
- 地域全体の共助の仕組みやリーダーシップの醸成を促しても福祉ニーズの充足には至らないため、地域において福祉サービスの充実を図るコミュニティ・ビルディングというアプローチが注目されている。
- グラノヴェッターは、人間関係のネットワークの分析を通じて、親密さや情緒的なつながりがある「強い紐帯」の方が、「弱い紐帯」よりもネットワーク間の橋渡しには有効であることを示した。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.コミュニティ・オーガニゼーション(community organization)とは、地域の組織化のことであり、地域の問題解決に向けて地域住民を組織化することをいいます。地域社会を構成するグループ間の協力と協働の関係を調整・促進することで地域社会の問題を解決していくのはニューステッターによるインターグループワーク論です。
2.ノーマライゼーションの思想とは、社会的弱者が可能な限り普通と同じような生活ができるようにしようとする理念です。失業や貧困を社会から排除される原因ととらえ、その解消を目指す思想はソーシャル・インクルージョンです。
3.1990年に成立したイギリスのNHS及びコミュニティケア法では、地方自治体が必要なサービスを多様な供給主体から購入して、継ぎ目のないサービスを提供することを目的としていました。
4.福祉ニーズの充足を図るため、地域全体の共助の仕組みやリーダーシップの醸成を促して、地域において福祉サービスの充実を図るのがコミュニティ・ビルディングです。
5.グラノヴェッターは「弱い紐帯(ちゅうたい)の強み」の中で、「弱い紐帯」の方が「強い紐帯」よりもネットワーク間の橋渡しには有効であることを示しました。
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02
イギリスのNHSとは国営医療サービス事業のことです。これは、地域ごとに4つに分割(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)し、医療サービスの内容や予算編成、治療や管理における指針などをそれぞれの地域ごとに設定、運営しています。
他の選択肢については以下のとおりです。
1→「協力と共同の関係を調整・促進」という考えはニューステッターのインターグループワーク論です。コミュニティ・オーガニゼーションとは、各地域社会のニーズを明らかにしたうえで、その充足のための計画を策定、組織化によって実際に行動を起こすことを言います。
2→ノーマライゼーションの思想とは障害者を排除するのではなく、障害を持っていても健常者と同じように生活ができる社会を目指すという考え方です。
4→コミュニティを機能させていくには、そのコミュニティの中にリーダー的存在の方がいないと成り立ちません。行政で行えることに限界があるため地域共助も大切な考え方です。よって、誤りです。
5→グラノヴェッターの理論は「弱い紐帯の強み」です。彼によれば、新規性の高い価値ある情報は、自分の家族や親友、職場の仲間といった社会的つながりが強い人々(強い紐帯)よりもちょっとした知り合いといった社会的つながりが弱い人々(弱い紐帯)からもたらされる可能性が高いというものです。
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03
1.誤答
地域社会を構成するグループ間の協力と協働の関係を調整・促進することで地域社会の問題を解決していくのはニューステッターによるインターグループワーク論です。
コミュニティ・オーガニゼーションは「地域社会の住民のニード(要求)を充実させるために地域の組織化を進めるという社会福祉事業の主要技術です。
2.誤答
これはソーシャル・インクルージョンについての説明文です。ノーマライゼーションとは
「障害のある人が障害がない人と同じようにいきいきと活動できる社会を目指す」という理念です。
3.正答
イギリスのNHS及びコミュニティケア法では、地方自治体が必要なサービスを多様な供給主体から購入して、自治体の中でサービス購入部門とサービス提供部門を分けて運営する仕組みが導入されました。
4.誤答
地域の福祉サービスの充実を図るために地域全体の共助の仕組みやリーダーシップの醸成を促すアプローチをコミュニティ・ビルディングです。
5.誤答
社会的つながりが密な人「強い紐帯」よりも実は弱い社会的つながりを持つ人「弱い紐帯」のほうが有益な情報をもたらしてくれる可能性が高いと分析しました。
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