精神保健福祉士の過去問
第17回(平成26年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問54
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
第17回(平成26年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問54 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(25歳、女性)は、高校卒業と同時に就職したが、仕事が合わないという理由ですぐに退職した。その後、Kさんは専門学校に通い、情報処理の資格を取得して再就職を目指した。しかし、パソコン技術の高さを買われて採用はされたものの、要領の悪さや配慮のなさを度々指摘され、職場の人間関係もうまくいかなくなり離職した。Kさんは次第に被害的になり、抑うつ感と不眠に悩む日々が続いたため精神科クリニックを受診したところ、広汎性発達障害でうつ状態と診断された。診断内容を聞いて不安になったKさんは、「これから自分はどうしたらいいのか」「もう働けないのか」と医師に訴えたため、近隣のV就労移行支援事業所(以下「V事業所」という。)を紹介され、L精神保健福祉士が担当することになった。L精神保健福祉士との初回面接の際、Kさんは、「自分は頑張って働いているのにいつも注意ばかりされる」と暗い表情で話した。
KさんはV事業所の利用を開始し、パソコン技術をいかして印刷作業プログラムで編集を担当することになった。Kさんはパソコン操作に集中して取り組む一方、簡単な指示を誤解し、他の利用者がそばで重い荷物を運んでいても手伝うことはなく、挨拶もほとんどしていなかった。L精神保健福祉士はKさんの作業場面の課題を整理し、スタッフミーティングでKさんへの支援内容を決めた。
V事業所を利用して半年が経過し、Kさんは印刷製本を営むW会社で職場実習を行うことになった。W会社の担当者、Kさん、L精神保健福祉士の三者で話し合い、まずはKさんが簡単な梱包作業から始められるようにし、状況を見て調整を図ることにした。実習を開始して数日後、L精神保健福祉士が職場を訪問すると、Kさんは仕事の手順や指示が分からず戸惑っている様子が見受けられた。そして、その日の帰り際にKさんは、「私にわざと難しい仕事をさせている」とL精神保健福祉士に訴えてきた。
そこで、L精神保健福祉士はW会社の担当者に対する働きかけを考えた。
次の記述のうち、この時点でのL精神保健福祉士のW会社の担当者に対する働きかけとして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Kさん(25歳、女性)は、高校卒業と同時に就職したが、仕事が合わないという理由ですぐに退職した。その後、Kさんは専門学校に通い、情報処理の資格を取得して再就職を目指した。しかし、パソコン技術の高さを買われて採用はされたものの、要領の悪さや配慮のなさを度々指摘され、職場の人間関係もうまくいかなくなり離職した。Kさんは次第に被害的になり、抑うつ感と不眠に悩む日々が続いたため精神科クリニックを受診したところ、広汎性発達障害でうつ状態と診断された。診断内容を聞いて不安になったKさんは、「これから自分はどうしたらいいのか」「もう働けないのか」と医師に訴えたため、近隣のV就労移行支援事業所(以下「V事業所」という。)を紹介され、L精神保健福祉士が担当することになった。L精神保健福祉士との初回面接の際、Kさんは、「自分は頑張って働いているのにいつも注意ばかりされる」と暗い表情で話した。
KさんはV事業所の利用を開始し、パソコン技術をいかして印刷作業プログラムで編集を担当することになった。Kさんはパソコン操作に集中して取り組む一方、簡単な指示を誤解し、他の利用者がそばで重い荷物を運んでいても手伝うことはなく、挨拶もほとんどしていなかった。L精神保健福祉士はKさんの作業場面の課題を整理し、スタッフミーティングでKさんへの支援内容を決めた。
V事業所を利用して半年が経過し、Kさんは印刷製本を営むW会社で職場実習を行うことになった。W会社の担当者、Kさん、L精神保健福祉士の三者で話し合い、まずはKさんが簡単な梱包作業から始められるようにし、状況を見て調整を図ることにした。実習を開始して数日後、L精神保健福祉士が職場を訪問すると、Kさんは仕事の手順や指示が分からず戸惑っている様子が見受けられた。そして、その日の帰り際にKさんは、「私にわざと難しい仕事をさせている」とL精神保健福祉士に訴えてきた。
そこで、L精神保健福祉士はW会社の担当者に対する働きかけを考えた。
次の記述のうち、この時点でのL精神保健福祉士のW会社の担当者に対する働きかけとして、適切なものを2つ選びなさい。
- なるべく多くの従業員が、適宜Kさんに指示を与えるように助言する。
- 仕事の手順表を作成し、Kさんが見える場所に貼ってもらうように依頼する。
- 実習を一時中断し、V事業所でKさんの課題を改善後、再開することを提案する。
- 職場の厳しさを知る良い機会なので、このまま見守ってほしいと要望する。
- Kさんが得意なパソコンを活用した仕事が設定できないか相談する。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
1.発達障害の特性として、複数の指示に対して混乱をすることが見られるため、なるべく多くの従業員が指示を与えるのではなく、決められた従業員が指示を与えるようにすることが大切です。
2.「仕事の手順や指示が分からず戸惑っている」様子が見受けられるため、いつでも確認できるように、手順書を作成し見える場所に貼ることは適切な方法といえます。
3.実習を行いながら、課題を改善していくことが大切です。会社に大きな悪影響を与えていたり、Kさんの体調を大きく崩したりしていない限り、実習を中断することは望ましくありません。
4.Kさんは初めての就労ではないため、職場の厳しさを伝える必要はありません。このまま見守らず何らかの調整や助言を行うことが大切です。
5.周囲にとっては簡単な梱包作業であっても、Kさんにとっては簡単であるとは限りません。Kさんはパソコンが得意であることから、パソコンを活用した仕事を設定してもらうことで、Kさんの能力を発揮できる可能性があります。したがって適切な働きかけといえます。
参考になった数27
この解説の修正を提案する
02
◯2 . 仕事の手順表による可視化は、聴覚的理解が苦手そうなKさんにとって視覚的にわかりやすく、理解しやすいと思われるので適切です。
✕3 . 適応がむずかしくなるのは実習に即して予想された事態で、今後職場との調整の中で改善できることがあるので、このタイミングでの中断は不適切です。
✕4 . 具体的に問題がはっきりしてきたので、ただ見守るだけではストレスを高めるだけで状況の改善にはならないと思われます。
✕5 . Kさんにとって、一見簡単そうな梱包作業がむしろ工程が理解できず、むずかしいと感じています。強みを生かすためには、得意なパソコンを活用した仕事なら適応できる可能性が高くなります。
参考になった数8
この解説の修正を提案する
03
1.×
多くの従業員から指示されることで、よりKさんを混乱させることになりかねないため、適切ではありません。また、指示する際には具体的な数字や方法で指示し、Kさんへ分かりやすく伝えることが大切です。
2.○
仕事の手順や指示が分からず困っているKさんにとって、手順表を確認しながら作業ができる環境を作ることは適切な方法といえます。
3.×
実習を一時中断するのではなく、実習の中で課題解決をしていくことが大切です。
4.×
職場の厳しさを知るための職場実習ではありません。また、Kさんが困っているにも関わらず、何もせず見守ることは現状課題の解決にはなりません。
5.○
簡単な梱包作業とはありますが、「私にわざと難しい仕事をさせている」と言っているように、Kさんには難しい作業であることがうかがえます。Kさんの得意なパソコンを活用した仕事ができるよう働きかけることが適切です。
参考になった数7
この解説の修正を提案する
前の問題(問53)へ
第17回(平成26年度)問題一覧
次の問題(問55)へ