精神保健福祉士の過去問
第17回(平成26年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問60

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問題

第17回(平成26年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問60 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。

〔事 例〕
Cさん(61歳、男性)は、6人きょうだいの末っ子として生まれた。小中学校時代は、口数が少なくおとなしい性格だったが、イライラすると店で万引きをしてしまう盗癖があり、何度か警察に補導されたこともあった。中学卒業後に就職するが、仕事は長続きせず、転職を繰り返していた。母親が死亡し、父親と二人暮らしになったことから、父親が勤務する工務店で一緒に働くようになり、何とか辞めずに勤めていた。
しかし、幼少期からの盗癖は改善されず、25歳の時、執行猶予中に万引きで逮捕され、初めて刑務所に服役する。それ以後同様の行為で4回服役している。
Cさんが57歳の時、父親が死亡した。そのころから仕事に行かなくなり、また万引きをして逮捕され、懲役2年の実刑で5回目の服役となった。服役中に息苦しさや手足のしびれを訴え不穏になるなどして、刑務所の矯正医官より、知的障害とパニック障害と診断され投薬を受けた。きょうだい全員が出所後の受け入れや今後のかかわりを拒否していることから、刑務所のD福祉専門官が支援を開始した。

出所が近づき、知的障害もあることから、地域の支援機関につなぐことにした。Cさんの出所に向けてX地域生活定着支援センターのE精神保健福祉士が支援することになった。

E精神保健福祉士の支援により、出所と同時に生活保護を受給してアパートに住み、Y精神科病院に通院することになった。しかし、服薬がうまくコントロールできず、パニック障害の症状が頻発し、イライラ・不穏も強まり、通院先に任意入院することになった。入院後、規則正しい服薬により安定した。本人が退院したいと口にするようになったので、Y精神科病院のF精神保健福祉士が退院に向けて具体的な支援を開始した。


次のうち、F精神保健福祉士が退院支援を行う上で、Cさんに提案した社会資源として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 保護観察所
  • 地域包括支援センター
  • グループホーム
  • 更生保護施設
  • 精神保健福祉センター

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

1.Cさんは刑務所を出所しており、保護観察処分がついている様子は事例から読み取れないため、保護観察所が関わることは適切ではありません。

2.地域包括支援センターは、介護保険法に規定された機関です。61歳で特定疾病を有していないCさんが利用することはできません。

3.単身生活で服薬管理がうまくできなかったことから、グループホームで退院後の生活を行うことは選択肢の一つとして考えられるため、適切な解答といえます。

4.更生保護施設は、行き場のない保護観察者を一定期間保護する施設です。Cさんは刑務所を出所しており、保護観察者ではないため、更生保護施設を利用することはできません。

5.精神保健福祉センターは、地域において精神保健福祉活動の中核となるセンターで、複雑で困難な相談を受けることはありますが、今回の事例では保健所や市町村、特定相談支援事業所が関わる方が自然です。そのため3.の方がより適切な解答といえます。

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02

✕1 . 保護観察所 :Cさんが仮釈放であれば満期まで保護観察をすでに受けているでしょう。満期であれば、保護観察所との関連は終了しています。いずれにせよ今回提案しても意味はありません。

✕2 . 地域包括支援センター :介護保険法による65歳以上の高齢者等の相談機関なので、現段階でCさんが利用できる対象ではありません。

◯3 . グループホーム :Cさんは、民間アパートでの独居生活で服薬管理が出来ずに病状悪化となり再犯に及んでいます。日常生活の援助を提供できる福祉的居住施設としてのグループホームを検討するのは適切と言えるでしょう。

✕4 . 更生保護施設:刑務所を出所したり少年院退院後、生活の場を確保できない者を保護し、社会復帰の支援を行う施設です。出所後、一旦自立しているCさんには、適切ではありません。

✕ 5 . さまざまな相談を受ける精神保健福祉センターではなく、現在支援するべきことが具体的な生活支援を提供できるサービス機関を必要としています。

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03

 生活保護を受給してアパートで一人暮らしをしながらY精神科病院に通院していましたが、服薬管理が難しくパニック障害の症状の頻発やイライラ・不穏も強まったことから、任意入院することになりました。入院後、規則正しい服薬によって症状が安定し、Cさん本人の要望もあり退院に向けての具体的な支援を開始しました。このときの社会資源の提案について、何が適切なのかが求められています。

1.×
 保護観察所は、犯罪をした者および非行のある少年に対し、再発防止と改善更生を図る目的で行われます。Cさんには服薬管理ができるような支援へと導くことが重要であるため、適切とはいえません。

2.×
 地域包括支援センターは、65歳以上で要支援1・2に認定された者に対するケアプランの作成やサービスの調整などを行う介護予防支援などを行っていますが、Cさんはこの対象者には該当しません。

3.○
 グループホームとは、障害のある人が日常生活の介護や支援を受けながら共同生活をする場のことです。専門のスタッフが常駐しており、その人に応じた支援を行ってくれるため、服薬管理やその他の支援においても適切であるといえます。

4.×
 更生保護施設は、犯罪をした者及び非行のある少年のうち、頼ることのできる人がいない、生活環境に恵まれない、本人に社会生活上の問題があるなどの理由で、すぐに自立更生ができない人を対象に行われます。その対象者を一定期間保護し、社会復帰を助け、再犯を防止することを目的としています。Cさんは再犯防止のためではなく、服薬管理のための支援が必要となるため、適切とはいえません。

5.×
 精神保健福祉センターとは、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及、調査研究を行い、相談及び指導のうち複雑困難なものを行う専門的機関のことです。Cさんはこれに該当するほどの事例ではないため、適切とはいえません。

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