精神保健福祉士の過去問
第17回(平成26年度)
権利擁護と成年後見制度 問158

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問題

第17回(平成26年度) 精神保健福祉士国家試験 権利擁護と成年後見制度 問158 (訂正依頼・報告はこちら)

親権者の行為に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
※ <改題>
元となる設問文を一部改題し、現行法に沿う形に修正しました。
<参考>
<参考>
  • 子どもの監護教育に必要な範囲内であっても、その子どもを懲戒することは違法である。
  • 未成年の子どもの携帯電話サービス契約を取り消すことはできない。
  • 子どもの年齢が18歳以上の場合、子は親権者が指定した場所以外に居所を定めることができる。
  • 未成年者に代わって、労働契約を締結できる。
  • 子どもと利益が相反する法律行為であっても、自ら子どもを代理して行うことができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

解説は以下の通りです。

選択肢1. 子どもの監護教育に必要な範囲内であっても、その子どもを懲戒することは違法である。

旧民法では、「親権を行う者は監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することが出来る」とされていました。

しかし近年、児童虐待防止の観点からこれを禁止しています。

選択肢2. 未成年の子どもの携帯電話サービス契約を取り消すことはできない。

民法によると、未成年者が親権者の同意を得ないで契約した場合、その契約は後で取り消すことができるとされています。

選択肢3. 子どもの年齢が18歳以上の場合、子は親権者が指定した場所以外に居所を定めることができる。

民法第822条により、子は親権者が指定した場所に居所を定めなければなりませんが、18歳以上であれば成年ですので、その必要はありません。

ちなみに、民法改正(令和4年4月1日施行)にともない、結婚による成年擬制は成立しなくなっています。

選択肢4. 未成年者に代わって、労働契約を締結できる。

労働基準法第58条により、未成年者に代わって労働契約を締結することはできません。

選択肢5. 子どもと利益が相反する法律行為であっても、自ら子どもを代理して行うことができる。

親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない、と民法で規定されているので、全ての事柄が自ら子どもを代理して行えるものではありません。

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02

正解は以下の2つです。

選択肢1. 子どもの監護教育に必要な範囲内であっても、その子どもを懲戒することは違法である。

民法第821条に規定されています。

選択肢2. 未成年の子どもの携帯電話サービス契約を取り消すことはできない。

民法第5条より、未成年の子どもが契約したサービスは取り消すことができます。

選択肢3. 子どもの年齢が18歳以上の場合、子は親権者が指定した場所以外に居所を定めることができる。

民法第822条により、子は親権者が指定した場所に居所を定めなければなりませんが、18歳以上であれば成年ですので、その必要はありません。

選択肢4. 未成年者に代わって、労働契約を締結できる。

労働基準法第58条により、未成年者に代わって労働契約を締結することはできません。

選択肢5. 子どもと利益が相反する法律行為であっても、自ら子どもを代理して行うことができる。

民法第826条により、子どもと利益が相反する法律行為については、特別代理人を選任するよう家庭裁判所に請求しなければなりません。

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03

民法改正のため、出題時(平成26年当時)とは設問の解釈が若干異なります。

2023年時点での現行法に沿って解説いたします。

選択肢1. 子どもの監護教育に必要な範囲内であっても、その子どもを懲戒することは違法である。

 旧民法では第822条において、「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲でその子を懲戒することができる」として、親権者の懲戒権を定めていましたが、児童虐待の防止の観点から削除されました。

また、親権者による体罰や子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動を禁止する民法821条が新設され、しつけを理由とした体罰や暴言は禁止されています。

選択肢2. 未成年の子どもの携帯電話サービス契約を取り消すことはできない。

×

 民法第5条において、「未成年が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に利益を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」と規定されています。

選択肢3. 子どもの年齢が18歳以上の場合、子は親権者が指定した場所以外に居所を定めることができる。

 旧民法では第753条において、「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす」と規定されていましたが、民法改正(令和4年4月1日施行)により成人年齢が18歳に引き下げられ、結婚による成年擬制は成立しなくなりました。

また、新設された民法第822条により、子は親権者が指定した場所に居所を定めなければなりませんが、18歳以上であれば成年ですので、その必要はありません。

選択肢4. 未成年者に代わって、労働契約を締結できる。

×

 労働基準法第58条において、「親権者又は後見人は、未成年者に代って労働契約を締結してはならない」と規定されています。

選択肢5. 子どもと利益が相反する法律行為であっても、自ら子どもを代理して行うことができる。

×

 民法第826条において、「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」と規定されています。

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