精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問51
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問題
第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問51 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事 例〕
Mさん(67歳、男性)は大学を卒業し会社員として勤めていたが、35歳で統合失調症を発症したため退職し、障害厚生年金を受給した。56歳からU精神科病院に6回目の入院をしていた。両親は既に他界しており、きょうだいがいないMさんには身寄りがない。Mさんは時に幻聴と被害妄想が再燃して頭を抱えて臥床することもあるが、同室の患者と談笑する一面もあった。長期間の入院で生活能力や身体的機能の低下がみられ、身の回りの整理や着替えなどに一部介助が必要な状態である。U精神科病院のA精神保健福祉士は、退院に消極的なMさんを何とか退院に導きたいと、2年前からMさんに外出グループのリーダーをお願いしていた。また、長期入院経験者を病院に招いて、退院後に利用できるサービスや、自分なりの生活が送れる楽しさを語ってもらうなど、退院後のイメージが持てるように、様々な働きかけを続けた。(※1)
その結果、少しずつMさんの気持ちが退院に向くようになってきた。A精神保健福祉士は院内のカンファレンスでMさんの変化を伝え、退院に向けたケア会議を開いた。会議にはMさんも含め、地域包括支援センターの社会福祉士と、指定一般相談支援事業所のB相談支援専門員に参加してもらった。会議の結果、Mさんの退院に向けて取り組むことを全員で共有した。社会福祉士からは、Mさんの退院後の支援については介護保険も利用できるため、要介護認定申請と介護保険サービスに関する説明があった。(※2)
B相談支援専門員がMさんに地域移行・地域定着支援に関して丁寧に説明したところ、Mさんは時々夜になると不安が大きくなることや、年をとってきたため家事や金銭管理に自信がないと語った。その後Mさんは要介護1の認定を受けるとともに、地域移行・地域定着支援を利用して退院した。(※3)
現在Mさんは、地域で展開している「ふれあい・いきいきサロン」に時々顔を出すなど、自分なりの生活を楽しんでいる。
(※3)退院時にB相談支援専門員が立てた地域移行支援計画に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Mさん(67歳、男性)は大学を卒業し会社員として勤めていたが、35歳で統合失調症を発症したため退職し、障害厚生年金を受給した。56歳からU精神科病院に6回目の入院をしていた。両親は既に他界しており、きょうだいがいないMさんには身寄りがない。Mさんは時に幻聴と被害妄想が再燃して頭を抱えて臥床することもあるが、同室の患者と談笑する一面もあった。長期間の入院で生活能力や身体的機能の低下がみられ、身の回りの整理や着替えなどに一部介助が必要な状態である。U精神科病院のA精神保健福祉士は、退院に消極的なMさんを何とか退院に導きたいと、2年前からMさんに外出グループのリーダーをお願いしていた。また、長期入院経験者を病院に招いて、退院後に利用できるサービスや、自分なりの生活が送れる楽しさを語ってもらうなど、退院後のイメージが持てるように、様々な働きかけを続けた。(※1)
その結果、少しずつMさんの気持ちが退院に向くようになってきた。A精神保健福祉士は院内のカンファレンスでMさんの変化を伝え、退院に向けたケア会議を開いた。会議にはMさんも含め、地域包括支援センターの社会福祉士と、指定一般相談支援事業所のB相談支援専門員に参加してもらった。会議の結果、Mさんの退院に向けて取り組むことを全員で共有した。社会福祉士からは、Mさんの退院後の支援については介護保険も利用できるため、要介護認定申請と介護保険サービスに関する説明があった。(※2)
B相談支援専門員がMさんに地域移行・地域定着支援に関して丁寧に説明したところ、Mさんは時々夜になると不安が大きくなることや、年をとってきたため家事や金銭管理に自信がないと語った。その後Mさんは要介護1の認定を受けるとともに、地域移行・地域定着支援を利用して退院した。(※3)
現在Mさんは、地域で展開している「ふれあい・いきいきサロン」に時々顔を出すなど、自分なりの生活を楽しんでいる。
(※3)退院時にB相談支援専門員が立てた地域移行支援計画に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
- 就労継続支援A型事業所に通う。
- 成年後見制度を利用する。
- 夜間の電話連絡が取れる体制を作る。
- 通院時に行動援護を使う。
- 訪問入浴介護を利用する。
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この過去問の解説 (4件)
01
1.退院時にMさんは就労に対する希望を持っておらず、事例からもその必要性が読み取れないため、就労継続支援A型事業所に通う計画は適切ではありません。就労継続支援A型事業所の利用開始は65歳未満ということも適切でない理由になります。
2.成年後見制度は、判断能力が十分でない人が利用するものです。Mさんには生活能力や身体的機能の低下が見られるものの、判断能力が十分でないとは事例から読み取ることができないため、適切な回答とはいえません。
3.Mさんが時々夜になると不安が大きくなることから、夜間の電話連絡が取れる体制を作ることは、地域移行・地域定着支援の支援内容としても適切な回答といえます。
4.行動援護は、知的障害や精神障害などにより、行動する上で著しい困難のある人に対して必要な支援を行うものです。その他の理由で通院の支援が必要な場合は、通院介助のサービスを検討することになります。
5.Mさんは着替え時に一部援助が必要な状態であるものの、訪問入浴介護の利用が必要かどうかまでの情報を事例から読み取ることはできません。
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02
1:就労継続支援A型事業所は、障害者総合支援法に規定された就労支援事業の一つです。対象となるのは、一般企業への就職が困難な65歳未満(利用開始時65歳未満)の障害者です。事業所は、障害者と雇用契約を結び、原則として最低賃金を保障します。
Mさんは67歳で対象となりませんし、事例中に就労のニーズについての表記もありません。よって誤りです。
2:成年後見制度は、知的障害、精神障害、認知症などの精神上の障害により判断能力が十分でない人が不利益を被らないよう家庭裁判所に申し立て、援助してもらう制度です。
Mさんは金銭管理に自信がないと話してはいますが、Mさんの判断能力が不十分であるという表記はありません。よって誤りです。
3:Mさんは、時々夜になると不安が大きくなると話しています。地域定着支援の支援内容として、24時間体制での連絡を確保し、必要に応じて家庭訪問を行うこと等が求められています。よって夜間の電話連絡が取れる体制を作ることは正解です。
4:行動援護は、障害者総合支援法の自立支援の中の介護給付の一つです。知的障害や精神障害などによって、行動する上で著しい困難のある人へ行動する際の危険を回避するために必要な援護、外出する際の移動中の介護、排泄や食事の介護などを行います。障害者支援区分が3以上で障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目(11項目)等の合計が8点以上である人が対象です。
Mさんは当てはまりませんので誤りです。
5:訪問入浴介護は、介護保険の訪問サービスの一つです。自宅での入浴が困難な人へ看護職員や介護職員が居宅を訪問し入浴の介護を行います。要介護1以上の認定を受けた介護保険制度の給付対象者が受けるサービスです。
Mさんは一部介助が必要な状態ではありますが、本人からのニーズとして訪問入浴の表記もありませんし、入院中の入浴介護の必要な状態の表記もありません。よって誤りです。
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03
まず生活能力や身体的機能の低下に関しては、介護サービスの利用でフォローができると考えられます。消極的な気持ちに対しては、グループリーダーという役割を任せたり、サービスの具体的提案や、経験者による話を聞いたりすることで、退院に気持ちを向けることができてきています。家事や金銭管理は地域移行・地域定着支援を利用する具体的な策が講じられています。
ということは、身寄りがないという不安要素と、夜に不安感が増幅することをフォローできる選択肢を選べば良いわけです。
1、2、4、5はそれぞれ就労・責任能力・日中活動・入浴を援助する方法であるので、3の夜間の電話連絡が適切と言えます。
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04
1.就労継続支援A型事業所は、18歳から65歳未満の障害や難病を持っている人が、サポートを受けながら働くサービスです。雇用契約を結ぶので、労働基準法などの労働法規等の適用を受けます。そのため最低賃金はかそれ以上の賃金を受け取ることが可能で、仕事内容は事業所によりますが、軽作業から委託業務、販売店やカフェ、パソコンのウェブ作業など多岐にわたります。
現在のМさんの状況から、A型事業所に通う計画は適切ではありません。
2.成年後見制度は、例として認知症で判断能力が衰えてしまった方に、後見人を選定し、その方の財産や権利を守る制度です。法定後見制度と任意後見制度があります。法定後見制度は、家庭裁判所で選任された後見人が法的に支援します。後見人がつくということは、自分で判断が不可能な状態(全くないか、著しく不可能な状態、不十分な方)ということです。任意後見制度は、将来、自分が判断能力が不十分になったときに備えて元気なうちに任意後見人を選び、公正証書で契約を結ぶものです。
ケア会議の中では、Мさんの金銭管理の問題があるなどといった成年後見制度の必要性は話し合われていませんし、Мさんは「金銭管理に自信がない」と話されていますが、実際能力がないとアセスメント評価されているわけではありません。
3.「地域移行・地域定着支援」は平成22年度からこの名称になり、地域移行支援は、入院や施設の障がい者を対象に住居の確保その他の地域生活への移行の支援を行います。地域定着支援は、居宅において単身で生活している障がい者等を対象に、常時の連絡体制を確保し、緊急時には必要な支援を行います。
4.行動援護は、知的障害や精神障害などによって、行動する上で著しい困難があり、常時介護が必要な人へ危険を回避するために必要な援護(移動、排泄、食事の介護など)を行います。МさんはADLが一部介助のレベルなので、当てはまりません。
5.訪問入浴事業は、自宅のお風呂で入浴することが難しい人のために、事業者が簡易浴槽を自宅まで運んで入浴介護を行うものです。厚労省の介護給付費実態調査からも、平均の要介護度が4で、半数以上が要介護5の利用というデータがでています。要介護1で利用するかたはほとんどいません。
訪問入浴とは別に、訪問介護でヘルパーが利用者の自宅の浴室で、入浴介助や見守りができます。
今回のケア会議から、Мさんの入浴に関する問題点は出てきておらず、介護保険の認定調査の結果からも入浴介護に関するニーズが出ているとは読み取れません。
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