精神保健福祉士の過去問
第18回（平成27年度）
社会理論と社会システム 問99

正解は2です。

1：ゲマインシャフトは、本質意思（愛情や信頼など）に基づき結合する共同社会です。よって誤りです。
ドイツの社会学者であるテンニースは、社会にある集団をゲマインシャフトとゲゼルシャフトとの2つに分類しました。
ゲマインシャフトは、自然に出来た家族や村などの本質意思に基づく親密な集団で、ゲゼルシャフトは、大都市や国家など、目的のために選択意思に基づいて作られる集団としました。
テンニースは、社会が近代化する中で、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへと移り変わるとしています。

2：インフォーマルグループとは、メンバーの親密な相互関係を通じて形成される集団ですので正解です。インフォーマルグループは、自然発生的に作られ、お互いの好意的な感情によって結びついている仲間関係の集団です。

3：第一次集団とは家族や親族などの集団ですので誤りです。
アメリカの社会学者であるクーリーは、個人と集団の接触の度合いや親密さに着目し、集団を第一次集団と第二次集団に分類しました。
第一次集団は、直接的に接触する親密な関係の集団で、連体感が強い集団です。家族や近隣、仲間などがこれにあたります。
第二次集団は、間接的に接触する関係が希薄な非対面的集団で、会社や政党などがこれにあたります。

4：コミュニティとは、地域性に基づく自然発生的な集団ですので誤りです。選択肢はアソシエーションの説明です。

5：アソシエーションとは、特定の関心を共同して追求するために結集される集団ですので誤りです。選択肢は、コミュニティの説明です。

◯4と5のコミュニティとアソシエーションの類型に基づく社会集団の理論を展開したのはマッキーバーです。マッキーバーはアメリカの社会学者・政治学者で、人間の態度と利害関心を基礎概念にしてコミュニティとアソシエーションの分類をしました。
コミュニティは村落や都市などの地域性に基づく親密な共同体で、アソシエーションは学校や家族などの人工的な集団・組織と定義しています。
※家族がコミュニティではなくアソシエーションに分類されていることに注意しましょう。

正解は２です。

１．ゲマインシャフトは、本質意思に基づく結合がされた、近代以前の社会集団です。これに対し、選択意思に基づく結合がされた、近代以降の社会集団をゲゼルシャフトといいます。

２．インフォーマルグループとは、メンバーの親密な相互関係を通じて形成される集団です。

３．家族や親族などは第一次集団、会社や学校などは第二次集団です。

４．特定の関心を共同して追求するために設立された、人為的な機能集団は、アソシエーションです。

５．地理的・文化的な地域性を結合要素とした社会集団は、コミュニティです。

正解は２です。

１、ゲマインシャフトとは、本質意思に基づく自然発生的にできた集団を指します。
この記述はゲゼルシャフトの説明です。

２、インフォーマルグループとは、組織内で自然発生的にできる、好意的な感情を通じて作られる集団です。
友人関係や趣味のグループ等の人間関係が該当します。

３、第一次集団とは、家族や親族などの直接的な親密関係が存在する集団のことです。

４、コミュニティとは、地域性、共同生活などを満たす集団のことです。都市や村落が該当します。

５、アソシエーションとは、特定の目的や関心を実現するために作られた集団で、コミュニティの内部に作られる集団のことを指します。家族が該当します。

以上のことから、正解は２です。

ゲマインシャフトとは、人間が血縁や精神的結び付きによって、自然に結成された集団のこと。ちなみに対義のゲゼルシャフトは、同じ目的を持つ人間が作り出した集団のこと。

インフォーマルグループとは、組織の内部で私的なやりとりから自然に発生する人間関係のこと。

第一次集団とは、家族など日常的に接触し、相互に連帯感を持つ集団のこと。

コミュニティとは、目的や意思を共有している集団のこと。

アソシエーションとは、共通の関心や目的意識のもと、それらを追求するために集まった集団のこと。

社会集団に関する正しい記述は2。