精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
地域福祉の理論と方法 問112

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は5です。

1.マッキーヴァーがとらえたのは、コミュニティではなくアソシエーションです。

2.ペストフは、政府・市場・コミュニティの欠点を補う組織として、第三セクターであるNPO・NGOをあげています。

3.共同体の共通善や歴史的な価値を重視し、個人に先立つ共同体を重視するコミュニタリアニズムの思想を説いたのは、サンデルです。ロールズは、格差原理を提案し、最も不遇な人々の利益を最大化することを説きました。

4.トクヴィルが観察したのは、イギリスではなくアメリカです。

5.ウェルマンは、各個人が空間の縛りを離れ選択的に絆を築いていくとする、新しいコミュニティの可能性を説きました。

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02

正解は5です。

1:マッキーヴァーは、教会、学校、会社のような共通の関心事や目的意識を持った人々により意図的作られた機能的・結社的集団を「アソシエーション」として捉えました。よって誤りです。
村落や地域社会など、自然発生的な共同社会を「コミュニティ」と捉えています。

2:ペストフは、社会福祉のサービスの提供を誰がどのようにしているかを「ペストフの三角形」で説明しました。それによると、政府、市場、コミュニティの三つを主体とし、各主体と重複させた第3セクター(民間非営利組織)を重視しています。個人主義の徹底の必要性を説いているわけではありませんので誤りです。
第3セクターは、国と民間企業の共同出資で行われる事業体(半官半民)です。

3:ロールズは正義論のなかで、言論の自由や政治的自由などの「自由が保障されている事」を第1原則としています。ロールズは、「自由な個人」を起点とするリベラリズム(自由主義)を提唱しています。よって誤りです。
コミュニタリアニズムは、リベラリズムのように個人を優先するのではなく、個人は必ず共同体(共同社会)や他者との関係性の中で生きているのだから、そこからの自由はありえない。まずは共同体を重視するという思想です。コミュニタリアニズムの思想家にはサンデルやテーラーがいます。

4:トクヴィルが1830年代に観察をしたのは、イギリスではなくアメリカです。後に『アメリカの民主政治』を著作しました。よって誤りです。

5:ウェルマンは、交通手段や通信手段の発展等により各個人が居住地域という空間的なものに縛られない新たなコミュニティを築く可能性を説いています。よって正解です。この考えは、「コミュニティ解放論」と呼ばれています。

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03

近代アメリカの思想哲学に関わる地域社会の問題です。

1× 意図的につくられた機能的・結社的集団は「アソシエーション」です。

コミュニティは地域社会に根付いた集団を指します。

2× 政府・市場・コミュニティのそれぞれの関係性に着目し、分析をしました。

3× ロールズはコミュニタリアニズムではなく、「リベラリズム(自由主義)」の立場をとっています。

4× トクヴィルが観察対象にしたのは、建国期のアメリカです。

1830年代の著書『アメリカのデモクラシー』で、市民社会の核心は市民一人一人の地域への関心にあるとしました。

5〇 正しいです。

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04

正解は5です。

1→マッキーヴァー(MacIver、 R.)は、社会学の対象である社会を社会関係としてとらえ、コミュニティーとアソシエーションを中心概念としてその分析を行いました。

2→ペストフ(Pestoff、 V.)は、行政学、公共政策の分野において、ボランタリーな組織、協同組合などの役割に注目した議論を展開しました。

3→ロールズ(Rawls、 J.)は、福祉的分配の倫理と市民的自由への権利との整合化を図るカギは「政治的自由への権利」にあると説きました。

4→トクヴィル(Tocqueville、 A.)は、アメリカ社会の観察を行い、『アメリカの民主政治(アメリカのデモクラシー)』を著作しました。

5→ウェルマン(Wellman、 B.)は、各個人が空間の縛りを離れ選択的に絆を築いていくとする、新しいコミュニティの可能性を説きました。

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