精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
社会理論と社会システム 問96
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問題
第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 社会理論と社会システム 問96 (訂正依頼・報告はこちら)
日本におけるコミュニティ政策の展開に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1970年代におけるコミュニティ政策は、既存の自治会・町内会を基盤としてそれまでの地域のつながりを保持しようとしたものであった。
- 1970年代におけるコミュニティ政策は、過疎化によって村落の連帯感や凝集性が弱まったことへの対応を目的としていた。
- 1990年代のコミュニティ政策では、地方分権改革により、地域社会の自律・自立の担い手としてのコミュニティが改めて注目されるようになった。
- 1990年代のコミュニティ政策では、その焦点が、行政と住民の協働から住民同士の協働へと移行した。
- 1990年代のコミュニティ政策では、地域社会全体での対応よりも、治安・介護・災害などの課題領域ごとに分化した行政サービスによる対応の方が重視されるようになった。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は「1990年代のコミュニティ政策では、地方分権改革により、地域社会の自律・自立の担い手としてのコミュニティが改めて注目されるようになった。」です。
1970年代は、既存の自治会・町内会によるコミュニティを見直す形で、当時の小学校区を基盤とした新しいコミュニティ政策に取り組むことが多く見られました。
1970年代におけるコミュニティ政策は、経済の高度成長や都市化の進展に伴い、連帯感や凝集性が弱まったことへの対応を目的としていました。
1990年代のコミュニティ政策では、1995年の地方分権推進法にみられるような地方分権改革により、地域社会の自律・自立の担い手としてのコミュニティが改めて注目されるようになりました。
1990年代は阪神大震災を機に、行政と住民が協働する政策が進められ、2000年代以降、新しい公共という言葉が使われるようになっています。近年ではその流れをふまえて住民同士の協働も模索され始めていますが、1990年代のコミュニティ政策ではありません。
1990年代のコミュニティ政策は、阪神大震災の影響もあり、治安・介護・災害などの課題領域ごとに分化した行政サービスよりも、地域社会全体で対応していくことが重視されるようになりました。
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02
1969年(昭和44年)には、都市化やモータリゼーションによって従来の地域共同体が崩壊しつつあることを前提として、市民の社会目標としての主体的自主的なコミュニティの形成を課題とする機運があったそうです。
× 1970年代におけるコミュニティ政策は、既存の自治会・町内会ではなく、別の地域社会(コミュニティ)を形成しようとするものでした。
× 1970年代におけるコミュニティ政策は、過疎化だけではなく、高度成長期の日本社会の構造変動への対応として行われてきました。
〇1990年代のコミュニティ政策では、地方分権改革により、地域社会の自律・自立の担い手としてのコミュニティが改めて注目されるようになりました。
×1990年代のコミュニティ政策では、その焦点が、自治から、「行政と住民の協働」へと移行していきました。
×1990年代のコミュニティ政策では、治安・介護・災害などの課題領域ごとに分化した行政サービスによる対応が重視されるようになったということはなかったようです。
NPOや市民運動の隆盛によって、コミュニティ政策は「自治」から「協働」へ方向転換していったとのことです。
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03
選択肢「1990年代のコミュニティ政策では、地方分権改革により、地域社会の自律・自立の担い手としてのコミュニティが改めて注目されるようになった。」が正解となります。
誤り。1969年 「コミュニティ生活の場における人間性の回復 」 1971年「 コミュニティ対策の推進について 」によると1970年代は高度成長などにより地域共同体崩壊が問題視されるようになり新たなコミュニティの想像、市町村は住民参加のもとに、コミュニティ整備計画を策定することになりました。
誤り。1960年代は都市部は過密化し村落の過疎化や連帯感・凝集性が弱まっていました。1980年代になるとバブル景気に沸き住民の連帯感は更に希薄化しました。
正しい。1995年の阪神淡路大震災によりコミュニティが改めて注目されるようになりました。
誤り。最近の考え方では住民同士で助け合う「互助」という形も見られるようになりましたが1990年代には「行政と住民の協同」が行われていました。
誤り。落ち着いて文章を読むと分かるかと思いますが行政サービスが重視されるようにはなっておらず逆に地域や住民の力、支え合いの必要性が求められています。
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