精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
社会理論と社会システム 問20

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 社会理論と社会システム 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、「共有地の悲劇」に関する説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 公共財の供給に貢献せずに、それを利用するだけの成員が生まれる状況を指す。
  • 協力してお互いに利益を得るか、相手を裏切って自分だけの利益を収めるか、選択しなければならない状況を指す。
  • 他の成員の満足度を引き下げない限り、ある個人の満足度を引き上げることができない状況を指す。
  • それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果、全体としては不利益な状況を招いてしまうことを指す。
  • 社会全体の幸福が、諸個人の快楽から苦痛を引いた後に残る快楽の総計と一致する状況を指す。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「4」です。

1. フリーライダーについての説明です。

2. 囚人のジレンマについての説明です。

3. ある経済主体の行為がほかの経済主体の不利益になる、という外部不経済についての説明です。

4. 正解です。例えば、共有の牧草地があった時に、各メンバーが個人の利益を追求して無尽蔵に草を取るとすぐに資源が枯渇してしまい、全体の不利益になってしまいます。しかし、一人でもルールを守らないメンバーがいると資源が枯渇してしまうので、自分が取らなければ誰かが取って自分の取り分が減ると考え、結果として全体の不利益になる行動を各人が取り易くなってしまいます。

5. ベンサムの功利主義についての説明です。

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02

正答【4】

1.誤答
「フリーライダー問題」の説明です。
「フリーライダー」とは、自分は活動に必要な労働やコストを負担せず、利益だけを受け取ろうとする人のことです。


2.誤答 
ゲーム理論の一つでもある「囚人のジレンマ」の説明です。
お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなるというジレンマです。


3.誤答
「パレート最適(効率化)」の説明です。
資源配分を行う際に、「誰かの状況を改善しようとすれば、他の誰かの状況を悪化させることになること」です。限られた資源がその社会内で最大限利用されている状態です。


4.正答 
「共有地の悲劇」の説明です。
「共有地の悲劇」とは、共有資源が、多くの人の利己的な行動によって枯渇することです。
生態学者のハーディンが提案したモデルが由来となり、心理者ドウズによってにゲーム理論として定式化され、環境問題などに言及する際に取り上げられる社会的ジレンマです。


5.誤答 
「快楽計算」の説明です。
功利主義のベンサムが提唱した指標です。個人と社会全体の「最大多数の最大幸福」の実現状態を計量化するために考案されました。「快楽の強度」「持続性」「確実性」「遠近性」「多義性」「純粋性」「適用範囲」7つの項目があります。

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03

正解は4です。

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)は、多くの人々が自身の利益を求めるあまり、全体としては不利益な結果をもたらしてしまうことです。例えば、共有地である牧草地に複数の人が牛を放牧した場合。自分だけの所有地であれば「牛が牧草を食べつくさないように」と牛の数を調整しますが、共有地では自分が損をしないためにほかの農民よりも牛を増やそうとします。その結果牧草地が荒れ、資源が枯渇してしまう現象が『共有地の悲劇』です。

その他の選択肢については、以下のとおりです。

1.物財やサービスに必要なコストを負担せず、利益だけを受ける『フリーライダー』の説明です。

2.お互いに協力した方がよい結果になることがわかっていても、協力しない者が利益を得る状況下では協力しなくなってしまう『囚人のジレンマ』の説明です。

3.ある集団が1つの資源を配分するとき、同じ集団の誰かの満足度(効用)を犠牲にしなければ、ある個人の満足度を高めることができないという『パレート効率性』の説明です。

5.ベンサムの功利主義に関する説明です。ベンサムは、個人の幸福の総計が社会全体の幸福であり、社会全体の幸福を最大化すべきであるという『最大多数個人の最大幸福』を唱えました。

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