精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
精神疾患とその治療 問85

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 精神疾患とその治療 問85 (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、気分障害よりも統合失調症が強く疑われる症状として、正しいものを1つ選びなさい。
  • 考想化声
  • 自殺念慮
  • 罪業妄想
  • 観念奔逸
  • 思考制止

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この過去問の解説 (3件)

01

〇1 . 考想化声(自分の思っていることが声になって聴こえてくる)は、統合失調症の基本症状のひとつです。

×2 . 自殺念慮は、気分障害(うつ病)の症状のひとつです。

×3 . 罪業妄想(重大な罪を犯してしまったと思い込む)は、気分障害(うつ病)の症状のひとつです。

×4 . 観念奔逸(爽快気分とともに、次から次へとアイデアが浮かび、一貫せずまとまりがなくなる)は、気分障害(躁病)の症状のひとつです。

×5 . 思考制止(考えが進まない、頭が回転しない状態)は、気分障害(うつ病)の症状のひとつです。

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02

正解は1です。

1.考想化声(こうそうかせい)は、自分の考えていることが他人の声として聞こえてくる幻聴のことです。統合失調症に多くみられ、気分障害には見られません。

2.自殺念慮(じさつねんりょ)は、自殺をしたいという思いです。統合失調症よりも気分障害に多く見られます。

3.罪業妄想(ざいごうもうそう)は、罪を犯してしまったと思い込むことです。統合失調症よりも気分障害に多く見られます。

4.観念奔逸(かんねんほんいつ)は、考えが次々に浮かんできて、まとまりがなくなってしまうものです。気分障害の躁(そう)状態で多く見られます。

5.思考制止(しこうせいし)は、考えがなかなか出てこない状態のことで、気分障害のうつ状態で多く見られます。統合失調症に多くみられ、思考が突然止まってしまう思考途絶(しこうとぜつ)とは異なることに注意が必要です。

参考になった数23

03

正答【1】

1.正答
考想化声(思考化声)は、自分の考えている内容が、他者の声として聞こえてくる幻聴の一つで、統合失調症でみられる特徴的な症状です。
幻聴と対話したり、複数人がうわさ話をしているなど、会話形式の幻聴が多いのが特徴です。

2.誤答 
自殺念慮は、統合失調症でも稀に見られますが、多くはうつ病などの気分障害でよくみられる症状です。強い絶望感や不安感から死にたいと思いつめる状態で、その思いが自殺企図といった行動にうつされます。

3.誤答 
罪業妄想は、反復性うつ病性障害やうつ病でみられる、うつ病の三大妄想(罪業妄想・心気妄想・貧困妄想)の一つの症状です。
自分は罪を犯してしまったので罰せられるという妄想です。
ちなみに「心気妄想」は自分は治らない病気にかかっていると思い込む妄想で、「貧困妄想」は自分はお金がなく生活することもできないという妄想です。

4.誤答
観念奔逸は、双極性障害や躁病でみられる特徴的な症状です。
思考の速度や量が異常に亢進し、さまざまな考えがとめどなく湧いてきて、話の内容が飛躍したり、話がそれるなど、話の目的から逸脱してしまう状態です。

まとまりのない会話は統合失調症でもみられますが、観念奔逸は、統合失調症の特徴でもある「まとまりのない会話」とは異なります。
観念奔逸は、思考のプロセスが異常に亢進して、次から次へと考えが浮かんできます。また、話したいという強い欲求から早口、多弁傾向になり、ダジャレなども頻出します。思考に一貫性がなくなっているものの話の脈絡はあります。しかし、話の目的からは逸脱している状態です。
一方、統合失調症でみられる「まとまりのない会話」とは、観念奔逸同様に思考に一貫性のない状態です。しかし、「まとまりのない会話」は「言葉のサラダ」といわれるように、一つの話題からまったく別の話題に話が飛んだり、無関係な言葉の羅列、つじつまが合わないことを言うため、会話がかみ合わなくなります。

5.誤答
思考制止は、反復性うつ病性障害やうつ病でみられます。
思考の速度や量が低下することによって頭の回転が鈍くなり、会話のスピードが遅くなったり、会話が減少したりする状態です。
統合失調症でも急に思考が止まることがみられますが、これは思考制止とは異なり、「思考途絶」です。

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