精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
精神疾患とその治療 問87

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 精神疾患とその治療 問87 (訂正依頼・報告はこちら)

患者の訴えと精神症状に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
  • 「ある時点から後のことを思い出せない」との訴えは、前向健忘である。
  • 「壁に掛けた着物が人間に見える」との訴えは、幻覚である。
  • 「頭の中に他人の考えを吹き込まれる」との訴えは、考想伝播である。
  • 「不合理とは考えるが、否定すると不安になる」との訴えは、強迫観念である。
  • 「人前では手が震えて字が書けなくなる」との訴えは、精神運動制止である。

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この過去問の解説 (3件)

01

〇1 . 「ある時点から後のことを思い出せない」との訴えは、前向健忘です。新しいことが覚えられなくなります。反対に、逆向健忘は、以前のことを思い出すことが出来なくなることです。

×2 . 「壁に掛けた着物が人間に見える」との訴えは、錯覚です。幻覚は、見えないものが見える状態を指します。

×3 . 「頭の中に他人の考えを吹き込まれる」との訴えは、思考吹入です。
考想伝播は、自分の考えが他人に伝わっていると感じることです。
どちらも、統合失調症の陽性症状です。

〇4 . 「不合理とは考えるが、否定すると不安になる」との訴えは、強迫観念です。

×5 . 「人前では手が震えて字が書けなくなる」との訴えは、振戦です。精神運動制止は、うつ病等の症状で、何事もおっくうになり、何もできなくなるような症状を指します。

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02

正解は1、4です。

1.「ある時点から後のことを思い出せない」のは前向健忘です。

2.実際に存在するもの(着物)を違って知覚することを錯覚といいます。幻覚は実際に存在しないものを知覚することをいいます。

3.「頭の中に他人の考えを吹き込まれる」というのは思考吹入です。考想伝播とは、「自分の考えが他人に伝わる」というものです。

4.不合理とは分かっていつつも、否定をすると不安になってしまうのは、強迫観念です。

5.「人前では手が震えて字が書けなくなる」のは、書痙です。精神運動制止は、うつ状態で何もできない状態になることです。

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03

正答【1・4】

1.正答
健忘は、原因となる事象が起きた時点を基準として、「前向健忘」と「逆向健忘」があります。
「前向健忘」は、ある時点から後のことを思い出せない(新しいことを記憶することができない)状態です。
「逆向健忘」は、ある時点より前の一定期間のことを思い出すことができない状態です。

2.誤答
「壁に掛けた着物が人間に見える」との訴えは、幻覚ではなく「錯覚」です。
実際に存在するものを見間違えるのは「錯覚」です。
実際にないものが見える、聞こえるなど知覚の対象となるのは「幻覚」です。

3.誤答 
「頭の中に他人の考えを吹き込まれる」との訴えは「思考吹入」です。
考想伝播(思考伝播)とは「自分の考えが他人に伝わってしまう」ことです。

4.正答
自分の意思に反する、不合理でばかばかしいと思っていても、ある考えが頭から離れず不安になることです。

5.誤答 
「人前では手が震えて字が書けなくなる」との訴えは、対人関係における不安と緊張が強い「社交恐怖」でよくみられる症状です。
精神運動制止は、うつ病などでみられる活動性の減退です。

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