精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問133
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問題
第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問133 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Cさん(50歳、女性)は精神科病院に入院している。Cさんは、専門学校在学中に統合失調症を発症し、退院後に中退した。その後は就職をせずに実家で家事手伝いをしながら、同居する姉夫婦の子どもの面倒を見ていた。両親は既に亡くなっている。これまでCさんは何度か入退院を繰り返しており、今回の入院は3年間となっている。現在の症状は安定している。
Cさんの病棟に新たにD精神保健福祉士が配置された。D精神保健福祉士は、早速Cさんと面接を行った。担当看護師からCさんは退院に否定的ではないと聞いていたが、面接でCさんは退院したくないと言うばかりであった。
不思議に思ったD精神保健福祉士は、姉夫婦と面談したところ、来月には姉の長男が結婚して同居することになっているとのことであった。そのことを外泊時にCさんが知り、それから外泊もしなくなったという。姉夫婦も家族構成の変化や家が狭いことを考えると、Cさんとの同居はできれば避けたいとの意向であった。翌日、D精神保健福祉士は病棟での多職種チームによるカンファレンスに臨み、Cさんへの援助内容について提案した。
多職種チームの援助によって退院したCさんは、デイケアに週3日通い始めた。通所当初はメンバーとの交流も少なく、プログラム参加も消極的であった。ある日、就職した元メンバーがデイケアに顔を出し、働く生活について生き生きと話していた。それを聞いたCさんはとても驚き、担当のE精神保健福祉士に、「私なんかなんにもできていないし、とてもあんな人にはなれない」とポツリとつぶやいた。(※2)
その後、Cさんは少しずつプログラムに参加するようになり、メンバーとの交流も増えていった。処理能力の低さや緩慢な動作がありながらも、6か月後にはミーティングの司会を担当するまでになった。ある時、E精神保健福祉士との面接でCさんは、「この歳だけど、私も一度でいいから会社勤めをしてみたいんです」と語り、就職の意欲を示した。
次のうち、(※2)の時点のCさんにとって必要なデイケアの役割及び機能として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Cさん(50歳、女性)は精神科病院に入院している。Cさんは、専門学校在学中に統合失調症を発症し、退院後に中退した。その後は就職をせずに実家で家事手伝いをしながら、同居する姉夫婦の子どもの面倒を見ていた。両親は既に亡くなっている。これまでCさんは何度か入退院を繰り返しており、今回の入院は3年間となっている。現在の症状は安定している。
Cさんの病棟に新たにD精神保健福祉士が配置された。D精神保健福祉士は、早速Cさんと面接を行った。担当看護師からCさんは退院に否定的ではないと聞いていたが、面接でCさんは退院したくないと言うばかりであった。
不思議に思ったD精神保健福祉士は、姉夫婦と面談したところ、来月には姉の長男が結婚して同居することになっているとのことであった。そのことを外泊時にCさんが知り、それから外泊もしなくなったという。姉夫婦も家族構成の変化や家が狭いことを考えると、Cさんとの同居はできれば避けたいとの意向であった。翌日、D精神保健福祉士は病棟での多職種チームによるカンファレンスに臨み、Cさんへの援助内容について提案した。
多職種チームの援助によって退院したCさんは、デイケアに週3日通い始めた。通所当初はメンバーとの交流も少なく、プログラム参加も消極的であった。ある日、就職した元メンバーがデイケアに顔を出し、働く生活について生き生きと話していた。それを聞いたCさんはとても驚き、担当のE精神保健福祉士に、「私なんかなんにもできていないし、とてもあんな人にはなれない」とポツリとつぶやいた。(※2)
その後、Cさんは少しずつプログラムに参加するようになり、メンバーとの交流も増えていった。処理能力の低さや緩慢な動作がありながらも、6か月後にはミーティングの司会を担当するまでになった。ある時、E精神保健福祉士との面接でCさんは、「この歳だけど、私も一度でいいから会社勤めをしてみたいんです」と語り、就職の意欲を示した。
次のうち、(※2)の時点のCさんにとって必要なデイケアの役割及び機能として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 居場所
- 疾患の回復
- 生活リズムの改善
- 自己効力感の回復
- 社会的機能の回復
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この過去問の解説 (3件)
01
1.Cさんは現段階ではプログラムへの参加などは消極的ですが、精神科デイケアに週3日通所ができています。居場所がないというよりも、就職した元メンバーの生き生きした姿と自分自身を比較して自信を失っているのであり、Cさんの自信を回復するような支援が求められます。
2.Cさんの疾患の回復が必要な状況は読み取れません。Cさんが自信を喪失しているのは、元メンバーの話を聞いたことによるものであると考えられます。
3.生活リズムを整えることは、デイケアのひとつの役割ではありますが、Cさんが生活リズムを崩しているという記述はありません。
4.Cさんは就職した元メンバーが生き生きと話す姿から自信を喪失しており、自己効力感の回復を図る必要があると考えられます。
5.社会的機能の回復はデイケアのひとつの役割であり、今後Cさんへの重要な支援となり得ますが、まずは自信を喪失したCさんの自己効力感の回復が必要です。
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02
Cさんの発言より、元メンバーの話を受け、Cさんの「働くこと」に対する自己効力感が下がっていることが読み取れるため、まずは自己効力感の回復を図る必要があるといえます。
1. 居場所づくりは、デイケアの役割の一つではありますが、Cさんの後ろ向きな発言はデイケア内に居場所がないからというよりも、就職している元メンバーの話を受けた就職を意識してのものであると考えられます。
2. Cさんの後ろ向きな発言は、病気の症状によるものである可能性もありますが、状況を考慮に入れると、就職している元メンバーの話を聞いたことによる影響が大きいものであると考えられます。
3. 生活リズムの改善は、デイケアの役割の一つではありますが、Cさんに生活リズムの改善が必要だという記述は特にありません。
5. 社会的機能の回復は、デイケアの役割の一つであり、Cさんの就職に向けても重要な要素になりますが、まずはCさんの自己効力感の回復に努め、デイケアでの自身の努力が社会的機能の回復につながっていくことを意識してもらえるようになる必要があるといえます。
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03
正解は、4 です。
1 Cさんは週3回デイケアに通っており、※2の時点で居場所としての機能は既に果たしていると言えます。この場面では、就職した元メンバーの生活と自分の生活を比較した発言を受けてのデイケアの役割を考える必要があります。
2 ※2の時点で、疾患が悪化しているということは読み取れません。それよりも、元メンバーの話を聞いた上でのCさんの発言に注目する必要があります。
3 Cさんは週3回デイケアに通うことができており、生活リズムが悪化しているという記述もないことから不適切です。
4 Cさんの発言から、就職した元メンバーの話を聞いて自己効力感を喪失していることが読み取れます。そのため、適切です。
5 この時点では、自己効力感が喪失していることが伺えますので、そこが回復してから社会的機能の回復について検討する方が適切です。
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