精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問104

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問題

第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問104 (訂正依頼・報告はこちら)

U精神科病院に勤めるA精神保健福祉士は、担当患者のBさんへの支援が思うように展開できないでいた。Bさんは、障害年金と親の多額の遺産金で暮らしているが、「お金がない。生活保護を受けられないか」と何度も訴えていた。A精神保健福祉士は、Bさんが他の患者にお金を貸したり、欲しいものをすぐに買ったりして無駄遣いをしているのに生活保護を受けたいと主張することを好ましく思っていなかった。そのため、どうしてBさんが同じ主張を繰り返すのかについて、その背景に何かあるかもしれないということは気になっていたが、いつも一方的な態度をとるBさんを受け入れられず、「遺産金があるので、生活保護を申請することは難しい」と繰り返し説明していた。次のうち、A精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマとして、適切なものを1つ選びなさい。
  • 自己決定とパターナリズム
  • 専門職的価値と個人的価値
  • バウンダリーとクライエントの利益
  • クライエントの利益と所属機関の利益
  • 秘密保持とプライバシー

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

A精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマについての設問です。
倫理的ジレンマとは、意に反している状態とそこにいる利用者の希望のすり合わせが難しいことをいいます。最善の対応に迷ったときの判断基準としては、精神保健福祉士の倫理綱領に従うことを考えます。


1→パターナリズムとは、父性的温情主義といい、親が子どもを保護・管理するという意味があります。

2 →専門職的価値と個人的価値
今回のケースでは、担当患者のBさんが生活保護を主張する点、またA精神保健福祉士がBさんを受け入れられずにいる状況がジレンマをうんでいると考えられます。

3 →バウンダリーとは、境界線という意味です。目に見えない関係ともいいます。

4 →クライエントの利益と所属機関の利益
今回のケースでは利益という視点は含まれないと考えられます。

5 →秘密保持とプライバシーは、精神保健福祉士の仕事において大前提です。今回のケースでは特別その部分がジレンマになっているとは考えにくいです。

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02

 A精神保健福祉士はBさんが他の患者にお金を貸したり、欲しいものをすぐに買ったりして無駄遣いをしているのに生活保護を受けたいと主張することを好ましく思っていません。そのため、どうしてBさんが同じ主張を繰り返すのか、その背景に何かあるかもしれないということは気になっていましたが、いつも一方的な態度をとるBさんを受け入れられず、「遺産金があるので、生活保護を申請することは難しい」と繰り返し説明していました。これは、A精神保健福祉士個人が持っている価値観で関わってしまっていることから、選択肢2の「専門的価値と個人的価値」が適切であるといえます。

1.×
 本人の自由意思を尊重し、本人が自己の判断で決定することを尊重する立場(自己決定)と、本人に代わって正しい判断をするべきであるという立場(パターナリズム)の二つの考え方のことを指します。

2.○
 精神保健福祉士が専門職として持つ価値(専門職的価値)と、精神保健福祉士個人が持っている価値(個人的価値)の二つの考え方のことを指します。

3.×
 精神保健福祉士とクライエントは違う価値観を持っており、お互いに尊重するという心の境界線(バウンダリー)と、精神保健福祉士が業務を遂行する上で、クライエントの利益を最優先にすること(クライエントの利益)の二つの考え方のことを指します。

4.×
 精神保健福祉士が業務を遂行する上で、クライエントの利益を最優先にすること(クライエントの利益)と、所属機関等がクライエントの人権を尊重し、業務の改善や向上が必要な場合に、精神保健福祉士は適切な方法によって提言できるように努め、改善を図ること(所属機関の利益)の二つの考え方ことを指します。

5.×
 精神保健福祉士は、業務上知りえた個人情報について秘密を保持すること(秘密保持)と、クライエントのプライバシーの権利を擁護すること(プライバシー)の二つの考え方のことを指します。

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03

正解は2です。

1.自己決定はクライエントが自分の意志で決めたことを尊重することです。パターナリズムは本来はラテン語の「父」からきた父権主義からなり、父が子に干渉、介入するという意味です。相手に十分な情報を与えず相手のためより自分の利益を考えます。

2.専門職としての価値観と個人の価値観の違いをさします。

3.バウンダリーは境界、限界のことです。相手との境界線のことをいいます。例えばクライエントと距離感がうまく取れず、クライエントを優先しなくてはという気持ちで話を聴きすぎてしまうことです。

4.所属機関の利益についてはジレンマとなっていません。

5.本人の所有についてはお互い了承されています。

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