精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問107
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問題
第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問107 (訂正依頼・報告はこちら)
社会における正義の実現に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- ロールズ(Rawls, J.)が『正義論』で主張した格差原理は、その社会において最も恵まれない人が有利となるよう、資源の配分を目標とした。
- キムリッカ(Kymlicka, W.)による多文化主義は、固有の文化や生活様式を保持するため、同化政策の確立を目標とした。
- ベンサム(Bentham, J.)による功利主義は、人々の直感から得られた快の総量を計り、「最大多数の最大幸福」の実現を目標とした。
- サンデル(Sandel, M.)によるコミュニタリアニズムは、自己の在り方を「負荷なき自己」と捉え、共同体への帰属から自由になることを目標とした。
- フリーダン(Friedan, B.)らによる第二波フェミニズムは、「個人的なことは政治的なことである」というスローガンの下、家父長制の維持を目標とした。
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この過去問の解説 (3件)
01
ロールズ(Rawls, J.)は『正義論』を著し、「所与の制約条件下で、最も不遇な人々の期待を最大限に高めること」を目的とする格差原理と呼ばれる分配原理を提案しました。
2.×
キムリッカ(Kymlicka, W.)による多文化主義は、考え方、生き方などの多様性があることを認め、さらに、その多様性は人が生きていく中で貴重なものであるという肯定的な価値を与えることであり、リベラル(自由主義的)な思想のことです。
3.×
ベンサム(Bentham, J.)による功利主義は、「最大多数の最大幸福」とも言われますが、最終的には「最大多数」というところが省かれ「最大幸福」となり、古典的功利主義とも呼ばれています。功利主義には、帰属主義、帰結、最大多数の最大幸福、公平性という特徴がありますが、ベンサムの「最大幸福」は公平性にかけるとされています。
4.×
サンデル(Sandel, M.)によるコミュニタリアニズム(共同体主義)は、「負担なき自己」ではなく、「負担ありし自己」であるとしました。『自由主義と正義の限界』でロールズ(Rawls, J.)が考える自己を「負担なき自己」とし、それを批判しました。
5.×
フリーダン(Friedan, B.)らによる第二波フェミニズムは、家父長制を問題視しているものであって、維持を目標としていません。家父長制は、男性が女性に対して支配的な権力関係を持つことをいいます。
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02
1.ロールズ(Rawls, J.)はアメリカの政治学者です。「公正としての正義」のため、①平等な自由②機会均等③格差の原理の3つの原理を提唱しました。
富が成功者に集中し偏りますが、社会が格差の是正に努めるならば格差は認めるというものです。
2.キムリッカ(Kymlicka, W.)による多文化主義は、同化していくのではなく、異なる文化、生き方など対等なものとして尊重することです。
3.ベンサム(Bentham, J.)はイギリスの哲学者です。社会全体の幸福量が増大することが正しいとしました。全体の幸せを多くしていこうという考えです。直観的ではなく、客観的に喜びと苦しみを量で計算しています。
4.サンデル(Sandel, M.)は「これから正義の話をしよう」の著者で、NHK「ハーバード白熱教室」でも有名な政治学者です。共同体主義(コミュニタニアリズム)とは文化的な共同体(国・地域・家族)の中で培われる価値観を重要視しました。村社会のしきたりを大事にするという意味ではなく、共同体の社会保障、育児休暇、両親の子の教育など、善を目指して生きていく価値観を指します。
5.フリーダン(Friedan, B.)はアメリカのフェミニスト・作家・ジャーナリストです。全米女性組織を確立しました。家父長的制度が存在することを認めませんでした。
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03
1→ ロールズ(Rawls, J.)が『正義論』で主張した格差原理は、その社会において最も恵まれない人が有利となるよう、資源の配分を目標としました。
2→多文化主義とは、「マルチ・カルチュラリズム」と呼ばれています。固有の文化や生活様式を保持するのではなく、異なる文化を持つ者が社会で「対等に」扱われることを説いています。
3→功利主義とは、社会的な望ましさは、結果として生じる功利によって決定されるという考え方です。最大多数の最大幸福は、社会は個人の総和として考えていきます。
4→サンデル(Sandel, M.)によるコミュニタリアニズムは、社会における「共通善」を確定し、人々がそれを推進し確保を目指すことを中心に置く考え方です。
5→フリーダン(Friedan, B.)らによる第二波フェミニズムは、「個人的なことは政治的なことである」というスローガンの下、男女平等を目指していくことに重きをおいています。
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