精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問111
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問題
第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問111 (訂正依頼・報告はこちら)
精神科病院で精神保健福祉士が行う人権擁護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 「退院はさせないでください」という家族からの求めに応じ、患者に入院の継続を勧める。
- 「もう歳だから」と退院を諦めている長期入院の患者に対して、退院の動機づけを行う。
- 「もう家に帰ります」と突然怒り出した患者を心配し、隔離室に入室させる。
- 「迷惑電話で困っている」という近所の店舗からの苦情を受け、患者が電話をかける機会を制限する。
- 「二人だけで面会させてください」と希望する患者の病状を面会時に判断して、面会に立ち会う。
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この過去問の解説 (3件)
01
「退院はさせないでください」という家族の意見があったとしても、本人の意思を尊重しながら支援していくことが重要であるため、適切とはいえません。
2.○
「もう歳だから」と退院を諦めている気持ちを受け止めつつ、退院できるという自信に繋がるような働きかけを行っていくことが適切といえます。
3.×
「もう家に帰ります」と突然怒り出した患者の気持ちにまず寄り添うことが大切であり、隔離室に入室させなければらないような状態でもないため、適切とはいえません。
患者の隔離は、「本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法ではその危険を回避することが著しく困難であると判断される場合に、その危険を最小限に減らし、患者本人の医療又は保護を図ることを目的として行われるものとする」と規定されています。
また、隔離の対象となる患者は、主として次のような場合に該当すると認められる患者であり、隔離以外によい代替方法がない場合において行われるものとしています。①他の患者との人間関係を著しく損なう恐れがある等、その言動が患者の病状の経過や予後に著しく悪く影響する場合、②自殺企図又は自傷行為が切迫している場合、③他の患者に対する暴力行為や著しい迷惑行為、器物破損行為が認められ、他の方法ではこれを防ぎきれない場合、④急性精神運動興奮等のため、不穏、多動、爆発性などが目立ち、一般の精神病室では医療又は保護を図ることが著しく困難な場合、⑤身体的合併症を有する患者について、検査及び処置等のため、隔離が必要な場合です。
4.×
「迷惑電話で困っている」という近所の店舗からの苦情の事実確認をするとともに、患者が行ったことなのだとしたら、その理由や意図など本人の気持ちを引き出しつつ、今後どうすればよいかを一緒に考えていくことが必要であり、電話する機会を制限することが適切とはいえません。
「電話及び面会に関しては患者の医療又は保護に欠くことのできない限度での制限が行われる場合があるが、これは、病状の悪化を招き、あるいは治療効果を妨げる等、医療又は保護の上で合理的な理由がある場合であって、かつ、合理的な方法及び範囲における制限に限られるものであり、個々の患者の医療又は保護の上での必要性を慎重に判断して決定すべきものである」と規定されています。
5.×
選択肢4にもあるように、面会に関しては患者の医療又は保護に欠くことのできない限度での制限が行われる場合がありますが、個々の患者の医療又は保護の上での必要性を慎重に判断して決定すべきものであるため、面会時に判断することは適切ではありません。また、「二人で面会させてください」という患者の意思を尊重すべきであるため、立ち会うことは適切とはいえません。
面会は原則として自由に行われることが必要で、通信・面会は基本的に自由であることを、文書又は口頭により、患者及びその家族等、その他の関係者に伝えることが必要です。
「面会する場合、患者が立ち会いなく面会できるようにするものとする。ただし、患者若しくは面会者の希望のある場合又は医療若しくは保護のため特に必要がある場合には病院の職員が立ち会うことができるものとする。」と規定されています。
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02
1.「退院はさせないでください」という家族からの求めは、患者さんの意向は無視されています。
2.「もう歳だから」と退院を諦めている長期入院の患者に対して、退院の動機づけを行うことは大事です。
3.「もう家に帰ります」と突然怒り出した患者さんを隔離室に入室させる権限は精神保健福祉士にはありません。怒りの表現だけでは隔離をする必要があると医師は判断できません。病状が悪化しているのかをみて必要性を判断することになります。
4.電話の制限は治療の必要性があって、患者さんとご家族に説明をした上で、制限をしなくてはいけません。具体的なガイドラインは精神保健および精神障害者福祉に関する法律の中で明記されています。
5.精神保健福祉士が面会時に判断するものではありません。原則、立ち合いなく面会ができますが、治療上必要な場合は医師が判断し制限を行います。
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03
1→家族の申し出を聞き、勝手に患者に入院を押し付けることは患者の人権を侵害しています。この場合は、まず家族の気持ちを時間をかけて聞くことが求められます。
2→「もう歳だから」と退院を諦めている長期入院の患者に対して、退院の動機づけを行うことは適切な行いです。なぜ入院しているのかや今の状況、そこから回復しているところなどをかみ砕いて探していき、退院への道筋を一緒に考えることは精神福祉士に求められることといえます。
3→突然怒り出したから、すぐに隔離室へ入院させるのは適切ではありません。仮にそのような判断は医師が行うことであると考えられます。
4→患者が電話をかける機会を制限する前に、患者と迷惑電話の件について話し合うことが大切だと考えられます。
5→「二人で面会したい」という患者の希望を大切にすることが求められます。またそのような希望に不安がある場合は、医師の判断を仰ぐ必要があると考えられます。
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