精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問113
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問題
第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問113 (訂正依頼・報告はこちら)
ある日、E精神保健福祉士の下に、以前支援していたFさんから手紙が届いた。次の手紙(事例)を読み、答えなさい。
〔事例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。
相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直、驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。
今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ
次のうち、下線部の時点でのFさんの状態を示す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。
相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直、驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。
今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ
次のうち、下線部の時点でのFさんの状態を示す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
- パターナリズム
- バーンアウト
- モラトリアム
- インスティテューショナリズム
- カタルシス
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この過去問の解説 (3件)
01
パターナリズム(父親的温情主義)とは、クライエント自身の自己決定よりも、クライエントの利益や保護を優先して、過保護にかかわることです。
2.×
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、あることに対して過度なエネルギーを使い、疲弊して抑うつ状態になり、そのことへの興味・関心、自信が低下した状態のことです。
3.×
モラトリアム(猶予期間)とは、学校を卒業しても就職しなかったり、転職を繰り返したり、就職することを回避したりする人のことです。
4.○
インスティテューション(施設症)とは、施設に入っている人に起こる社会性の喪失状態のことです。
5.×
カタルシス(浄化作用)とは、ある状態が一時的に良くなったように見えることです。
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02
1.パターナリズムは、父性的温情主義といい、医学的観点からのクライエントの利益や保護を優先する結果、クライエント本人の自由意志や自己決定の排除に傾き、過保護にかかわることです。
2.バーンアウトは燃え尽き症候群といい、つらい仕事が原因で心身のエネルギーを失います。労働意欲をなくし、何もしなくなる状態のことです。
3.モラトリアムは猶予期間といい、学校を卒業しても就職しない人や、転職を繰り返したり職業の安定化を回避する人のことです。
4.インスティテューションは、ホスピタリズムの意味です。インステテューショナリズムは、長年の閉鎖的な入院生活で意欲が乏しく感情もにぶく自立を難しくすることです。
5.カタルシスは、おさえられたストレスや苦痛、葛藤を言葉や行動で表出させることです。
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03
1→パターナリズム:父性的温情主義という意味です。
2→バーンアウト:燃え尽き症候群という意味です。
3→モラトリアム:猶予期間のことをいいます。
4→インスティテューショナリズム:制度尊重主義という意味です。=ホスピタリズム(施設症)です。
5→カタルシス:浄化という意味です。
今回は「あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。」というFさんの状態について問題で訊かれています。
施設で生活するがゆえに発生したFさんの状態がうかがえますのでインスティテューショナリズムが正解です。
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