精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問114

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問題

第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問114 (訂正依頼・報告はこちら)

ある日、E精神保健福祉士の下に、以前支援していたFさんから手紙が届いた。次の手紙(事例)を読み、答えなさい。
〔事例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。

しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。

相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直、驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。

今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ

次のうち、下線部の時にE精神保健福祉士が行ったアプローチとして、適切なものを1つ選びなさい。
  • 課題中心アプローチ
  • ナラティブアプローチ
  • 解決志向アプローチ
  • システムズアプローチ
  • ストレングスアプローチ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は5です。
E精神保健福祉士が行ったアプローチに関する問題です。

1→課題中心アプローチ:利用者の課題を明確にし、達成可能な目標を設定しながら課題解決に向かうアプローチのことです。

2→ナラティブアプローチ:ナラティブとは「語ること」を意味します。このアプローチは利用者が体験してきたことや人生観を尊重しながら、対話を持って関わっていくアプローチです。その中では利用者のものの見方や考え方を再構築していく援助が含まれます。

3→解決志向アプローチ:問題の追求ではなく、課題の解決に焦点を当てるアプローチのことです。

4→システムズアプローチ:課題の対象を個人ではなくシステムとして捉えるアプローチのことです。

5→ストレングスアプローチ:利用者の強みに焦点をあてたアプローチです。

今回はFさんが「仲間同士が支え合う活動に興味」が湧き、自ら「自分の経験をいかせるのではないか」と発見しました。E精神保健福祉士は本人の強みと環境の強みを把握し、アプローチをしたといえます。

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02

 E精神保健福祉士は、Fさんの今までの辛い思いを受容しつつ、規則正しく生活を送っていることや向上心があるという強みに着目し、評価していることから、選択肢5のストレングスアプローチが正解となります。

1.×
 課題中心アプローチとは、ある問題に対して、その問題を解決するために取り組むべき課題を設定し、期間を決めて進めていく方法のことです。

2.×
 ナラティブアプローチとは、クライエントが話す物語を通して援助をする方法のことで、ストレングスモデルの一種です。

3.×
 解決志向アプローチとは、クライエントが解決のエキスパートであることを念頭に、直接的に解決することを目指して治療する方法のことです。

4.×
 システムズアプローチとは、家族療法ともいわれ、クライエントを取り巻く家族などの環境との相互作用に着目して援助する方法のことです。

5.○
 ストレングスアプローチとは、長所や強さに着目することで、クライエントの残存能力の強みを見出し、評価するもので、クライエントの否定的な考え方から脱却させる方法のことです。

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03

正解は、 です。

1 E精神保健福祉士は、Fさんの課題を明確にし課題解決に向けてアプローチをしているわけではないので不適切です。

2 E精神保健福祉士は、Fさんのこれまでの母との人生を傾聴していますが、そこから解決方法を見出しているわけではないので不適切です。

3 E精神保健福祉士は、Fさんの思いについて解決策を探っているわけではないので不適切です。

4 E精神保健福祉士は、Fさんの思いをシステムと捉えている記述はないため不適切です。

5 E精神保健福祉士は、「Fさんが退院後も規則正しい生活を送っていること」「何かをしてみたいという向上心がある」というFさんの持つ強みからアプローチしていますので適切です。

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