精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問115
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問題
第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問115 (訂正依頼・報告はこちら)
ある日、E精神保健福祉士の下に、以前支援していたFさんから手紙が届いた。次の手紙(事例)を読み、答えなさい。
〔事例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。
相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直、驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。
今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ
次のうち、下線部の時点でのFさんの状態を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。
相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直、驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。
今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ
次のうち、下線部の時点でのFさんの状態を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
- アンビバレンス
- 対処能力
- 役割葛藤
- 二重拘束
- スティグマ
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この過去問の解説 (3件)
01
Fさんの心境について考える問題です。
1→アンビバレンス:ある一つの対象について「好きでもある反面嫌いでもある」というような相反する感情を同時に持つことをいいます。
2→対処能力:「コーピング」ともいいます。主にストレスについての対処方法のことをいいます。
3→役割葛藤:自分の役割に対して葛藤することをいいます。
Fさんは現在、利用者からスタッフに変わることによる立場(役割)の変化に戸惑いを覚えています。
4→二重拘束:「ダブルバインド」ともいいます。二つの違う矛盾した意味のメッセージを相手に命令することで、相手を混乱させることです。そのことにより強いストレスを与える状態になるといえます。
5→スティグマ:「汚名」「烙印」という意味があります。弱者というレッテルを張る意味合いがあります。
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02
1.×
アンビバレンス(両面価値)とは、肯定的な感情と否定的な感情など、相反する感情を同時に持っている状態のことです。
2.×
対処能力とは、ある物事に対して適切な対応ができる力のことです。
3.○
役割葛藤とは、複数の役割を持ち、その役割間での矛盾や対立などから、葛藤が生じることです。
4.×
二重拘束(ダブルバインド)とは、2つの矛盾したことを同時に命令され、板挟みの状況に置かれることです。
5.×
スティグマ(偏見)とは、否定的・差別的な感情を持つときに用いられ、汚名の烙印を押されることから用いられる用語のことです。
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03
正解は、3 です。
1 アンビバレンスは、「両面価値」などと訳されます。Fさんは驚きや戸惑っているだけで、相反する感情を同時に持っているわけではありませんので不適切です。
2 Fさんは利用者からスタッフに変わることに戸惑いを覚えており、対処能力を感じているとは言えません。
3 「利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えた」という記述があることから、役割が変化することに葛藤を感じている状態であると言えますので適切です。
4 Fさんは、二つの矛盾したことを言われたわけではありませんので、不適切です。
5 スティグマは、恥・差別・偏見などを意味しますので、不適切です。
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